近年、生成 AI や高性能サーバーの需要拡大に伴い、3D-IC(3 次元集積回路)と呼ばれる次世代チップ構造が主流になりつつある。これは、従来の平面的なチップ(2D)を縦方向に積み重ねる技術で、同じ面積でより高密度・高性能な回路構成を可能にする革新的手法である。
しかし、この「チップ立体化」によって、新たな課題が浮上している。それが「熱設計の最適化」だ。チップ同士を重ねることで放熱経路が複雑になり、発熱の集中や局所的な温度上昇が起こりやすくなる。このため、温度上昇を放置すれば、動作不良や寿命短縮の原因にもなりかねないからだ。そこで「熱設計の最適化」が重要になってくる。
熱設計では、通常「熱シミュレーション」と呼ばれる数値解析法を用いて、パッケージ内の温度分布を仮想的に予測する。しかし現在、この熱シミュレーションにも大きな課題が指摘されている。それが「材料特性や接合部に関するデータの欠損」である。本稿ではこの「材料特性や接合部に関するデータの欠損」という課題とはどういうものか、また、どういう解決策が提示されているのか、考察する。
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