連載:半導体の世界をのぞいてみよう②どんな種類の半導体があるの?

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半導体と聞くと「なんだか難しそう」「全部同じチップに見える」と感じる人も多いかもしれません。
しかし実際の半導体は、役割や得意分野に応じて多様な種類に分かれ、スマートフォンやパソコンだけでなく、クルマ、工場、発電所まで幅広い分野を支えています。
ITを中心とした調査会社Gartner(ガートナー)や業界統計WSTSによると、2024年の世界半導体売上高は6,000億ドル超、2025年には7,000億ドル規模へと拡大する見通しが示されています。
この巨大な産業を理解する第一歩として、「半導体にはどんな種類があるのか」をわかりやすく整理していきます。

役割でざっくり分けると「3つのグループ」

半導体は細かく分類すると数百種類に及びますが、まずは次の3つに大別すると理解が進みます。

1. ロジック半導体
 CPU・GPU・スマホ向けSoCなど。「計算」や「制御」を担当する“頭脳”の役割。

2. メモリ半導体
 DRAMやNAND型フラッシュメモリ。データを一時的・恒久的に「記憶」する“記憶装置”。

3. アナログ・パワー・センサ系半導体
 電圧や電流を扱うパワー半導体、温度・光などを扱うアナログ半導体、カメラ向けイメージセンサなど。

この記事では、よく目にする代表的な種類に絞って、順番に見ていきます。

「考える」半導体:ロジック(CPU/GPU/SoC)

ロジック半導体とは?

ロジック半導体は、計算処理や機器の制御を担う半導体です。代表例は次の通りです。

・CPU(中央演算処理装置)
 パソコンやサーバーで、OSやアプリの処理を行う中心的なチップ。

・GPU(画像処理プロセッサ)
 ゲームやグラフィックス用に発展してきましたが、現在は生成AIの計算にも幅広く使われています。

・SoC(System on Chip)
 スマートフォンなどで、CPU・GPU・通信など複数の機能を1つのチップに集約したもの。

主な用途

・スマートフォン:アプリ処理、カメラ画像の処理、通信
・パソコン/サーバー:OS・クラウドサービスの処理
・クルマ:運転支援、車載情報システム
・工場設備:ロボットや生産ラインの制御

日本企業との関わり

日本では、自動車向けマイコンや産業機器向けのロジック半導体に強い企業が多く、ルネサスエレクトロニクスなどが代表例です。

「覚える」メモリ半導体:DRAMとNAND

メモリ半導体とは?

データを保存するための半導体で、次の2種類が中心です。

1. DRAM(ディーラム)
 ・電源を切るとデータが消える「揮発性メモリ」
 ・パソコンやサーバーの“作業机”のような存在

2. NAND型フラッシュメモリ
 ・電源を切ってもデータが残る「不揮発性メモリ」
 ・スマホのストレージ、SSD、USBメモリの“本棚・倉庫”のような存在

生成AIやクラウドの普及により、データセンター向けのDRAM・フラッシュメモリの需要は急増しています。

日本国内での生産

・マイクロンメモリ ジャパン(広島県)
 広島工場で先端DRAMを生産中。日本政府は2025年9月、研究開発と生産設備強化に最大5,360億円の支援を発表。

・キオクシア(岩手県・北上市など)
 フラッシュメモリ大手。北上工場では2025年、次世代製造棟(Fab2)の建設が進行中。

日本もメモリの重要拠点であり続けています。

電気をコントロールする「アナログ・パワー半導体」

アナログ/パワー半導体とは?

デジタルが「0か1か」を扱うのに対し、現実世界は連続的な値が中心です。そこで必要なのがアナログ半導体とパワー半導体です。

・アナログ半導体
 センサの電気信号を読み取ったり、増幅したりする役割。

・パワー半導体
 モーターやバッテリに合わせて電圧・電流を調整するデバイス。
 EV、エアコン、産業機械などで欠かせません。

日本での生産動向

・東芝デバイス&ストレージ(兵庫県・姫路)
 2025年3月、自動車向けパワー半導体後工程の新棟が完成。電動化需要の拡大に対応するため、生産能力を拡張しています。

“目や耳”になる半導体:センサとイメージセンサ

センサ半導体とは?

現実世界の情報を電気信号に変換する半導体です。

・光を読む:CMOSイメージセンサ
・音を拾う:マイク向け半導体
・温度・圧力・加速度などを検知する各種センサ

特にスマホ・車載カメラ向けのCMOSイメージセンサは、日本企業の強みが際立つ分野です。

日本の生産

・ソニーセミコンダクタソリューションズ(熊本県・合志市)
 イメージセンサ新工場を建設中。2025年度下期に建屋完成の見通し。スマホの高画質化や自動運転の高度化を下支えします。

用途で見ると、半導体はもっと身近になる

この記事では、半導体を次の3つに分類して見てきました。

・ロジック半導体:CPUやGPUとして「考える」
・メモリ半導体:DRAMやNANDとして「覚える」
・アナログ・パワー・センサ系:電気を制御したり、現実世界の情報を取り込む

これらは単独で動作するのではなく、1台のスマートフォンでも、計算・記憶・電源制御・センサが連動して動きます。
電気自動車、データセンター、工場ロボットなど、あらゆる電子機器も同じです。

日本国内では、
・広島のマイクロン(DRAM)
・北上のキオクシア(フラッシュメモリ)
・姫路の東芝(パワー半導体)
・熊本のソニー(イメージセンサ)
など、多様な半導体が実際に生産されています。

半導体が「難しいもの」に見えてしまうのは、用途とのつながりが見えにくいからです。
「何をする半導体なのか(計算/記憶/制御/検知)」「どんな製品のどこで使われているのか」
この2点を意識すると、半導体はぐっと身近な存在になります。

次回は、今回の分類を踏まえて、「身のまわりにある半導体を探してみよう」というテーマで、具体的な製品とのつながりを見ていきます。

連載「半導体の世界をのぞいてみよう」では、半導体の基本的な仕組みから、材料、企業ごとの役割まで、段階的にわかりやすく紹介していく予定です。
「半導体のNANDってどういうもの?」「半導体企業について知りたい」など、知りたいテーマがあれば、画面右側のコメント欄からお寄せください。読者の疑問にもできるかぎりお応えしながら進めてまいります。

用語解説

ロジック半導体
計算や制御を行う半導体。CPU、GPU、マイコン、スマホ向けSoCなどを含む。

メモリ半導体
データを記憶する半導体。電源断で消えるDRAMと、データが残るNAND型フラッシュメモリが代表的。

パワー半導体
電圧・電流を制御する半導体。EVや家電、産業機器など、大電力を扱う場面で重要。

イメージセンサー(CMOS)
光を電気信号に変換する半導体。スマホ・車載・監視カメラなど幅広く利用される。

SoC(System on Chip)
CPU/GPU/通信など複数の機能を1チップに統合した半導体。スマホや車載機器で広く使われる。

参考リンク

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