「半導体市場の将来は非常に明るい」 TechInsightの半導体産業展望:2025年以降

市場動向
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半導体や精密機器向けメディアである 3D Insights Podcast が、半導体業界向けの情報プラットフォームで市場分析を行う Andrea Lati 氏をゲストに迎え、2025 年以降の半導体産業の展望についてインタビューした。今回はその一部をご紹介する。

アップターンの大部分は ASP 主導

―半導体産業は、現在新技術、進化するサプライチェーン、変化する市場の需要など、大きな岐路に立っていることは明らかです。この業界を形作っている主要な要因を分解していただけますか?成長を牽引しているものは何ですか?そして、最大の課題は何でしょうか?

Andrea Lati:
まず、2024 年は非常に興味深い年でした。半導体市場を見ると、予想していたよりもはるかに好調になっています。年初には多くの予測修正がありましたが、2024 年の半導体市場全体を見ると約 23 % 成長すると考えています。半導体市場のサブセットである IC 市場を見ると、IC 売上高は約 28 % 成長するでしょう。これは過去 10 年以上で最速の成長でした。半導体市場は循環的な市場であり成長市場ですが、2 〜 3 年ごとに訪れるサイクルにも対応しなければなりません。
問題は、この拡大がいつまで続くかということです。半導体市場は今年、非常に急速に拡大しています。まず今わかっているのは IC 市場が年初にトレンド線を上回ったということ。2022 年と 2023 年にはトレンド線を下回っていましたが、その後トレンド線を上回りました。非常に高い成長率を記録しているとはいえ、まだサイクルの初期段階にあります。過去のアップサイクルを見ると、アップサイクルは 2 〜 3 年続く傾向があります。今年の初めにトレンド線を上回ったので、2025 年と 2026 年は半導体業界にとって成長の年になると非常に楽観的に考えています。
今回のアップターンの興味深い点は、成長内容が非常に偏っていることです。成長を牽引しているのは主に ASP (平均販売価格)の上昇。IC の ASP は今年、20 年ぶりの高水準に達する見込みで、ASP は約 28 % 成長しています。背景にある大きな要因は、2023 年までのメモリ市場の急激な下降期からの反発と、NVIDIA / AI ブームです。
一方、半導体のユニット数量の伸びは一桁台前半、約 2 % にとどまるでしょう。AI による偏った成長であり、PC・スマートフォン・自動車など広範な市場はまだ回復期にあるのが現状です。

AI の拡大が鍵を握るファウンドリ

―次にファウンドリについてですが、政府が投じる資金の多くは製造に充てられており、ファウンドリが進化しています。Intel がファウンドリ事業に参入し、TSMC は相変わらず世界をリード。特に AI 全体で 50 〜 60 %以上の生産能力を占めています。GlobalFoundries はシリコンフォトニクスに焦点を移しています。現在の市場におけるファウンドリの役割は今後どう進化するでしょうか?

Andrea Lati:
最先端ファウンドリはほぼ TSMC の独占状態で、60 %以上のシェアを握り、先端ノードではさらに高い割合になります。TSMC と Intel はチップレットやインターポーザなど高度なパッケージングにも力を入れており、AI 拡大のため電力・帯域幅問題を解決するシリコンフォトニクスなど新技術の採用が進むでしょう。

筋縄ではいかない人材獲得

―2025 年は素晴らしい年になりそうですが、人材面についてはいかがでしょうか?世界的な人材不足が新しい半導体技術の開発に与える影響は?

Andrea Lati:
業界は「2030 年までに市場規模 1 兆ドル」を目指しています。そのためには工場建設・運営や設計を担う人材などエコシステム全体をスケールアップする必要があります。他産業との人材獲得競争も激しく、一筋縄ではいかない点が懸念です。

すべての企業に求められるイノベーション

――今後の課題とは何でしょうか?

Andrea Lati:
トランジスタ密度向上の鈍化で従来ほどの性能向上が得られなくなっていますが、これは新素材・新製造技術・新パッケージ技術などイノベーションを起こす好機でもあります。業界は課題をチャンスと捉え、改善と革新を継続すべきだと考えています。

このように Andrea Lati 氏は半導体業界の方向性と課題について語りました。最後に同氏は「半導体市場の将来は非常に明るい」と締めくくっています。

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