次期スーパーコンピュータ「富岳」に向けた日本の開発戦略が明らかになった。

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Reference News Networkは11月5日、毎日新聞が10月16日付の記事「『富岳』後継機開発戦略、もはや計算速度重視ではない」を掲載したと報じました。記事の内容を以下に翻訳します。

日本のフラッグシップ・スーパーコンピュータ・プロジェクト「富岳」の後継機となる「富岳NEXT(仮称)」の開発が本格的に始動しました。新薬開発から災害予測まで、スーパーコンピューティングは様々な社会課題を解決するための重要なインフラとなっています。この記事では、これら2世代のスーパーコンピュータの開発を担う理化学研究所計算科学センターの松岡聡センター長にインタビューを行い、スーパーコンピュータのあるべき姿について伺いました。

田中允記者は、「富岳NEXT」はどのような開発理念に基づいているのでしょうか?と質問しました。

松岡聡氏は次のように答えました。「2021年3月に「富岳」が本格稼働を開始して以来、コンピューティング技術の未来、そして次世代スーパーコンピュータの設計のあり方について議論が始まりました。

単に新しいマシンを作るだけでは不十分です。人工知能(AI)や量子コンピューティングといった最先端技術を取り入れ、コンピュータの進化と反復を実現することで、コンピューティングの領域を拡大していく必要があります。世界的には、米国だけでなく欧州や中国も巨額の予算を投入しており、研究開発競争は激化しています。

先進的な技術を推進する一方で、10年に一度しか新しいコンピュータを作るのではなく、研究開発サイクルを継続的に短縮していく必要があります。

もう一つの重要なポイントは省エネです。「富岳」の省エネ対策は、まるで雑巾から水を一滴残らず絞り出すように、そのプロトタイプは世界的な省エネ競争で1位を獲得しました。

それでもなお、年間の電気代は50億円(1米ドル約154円)にも上ります。環境保護の観点からもコストの観点からも、省エネルギーは追求すべき目標であり、「富岳」よりもさらに高いエネルギー効率の実現を目指し、研究開発を継続的に進めていきます。資源が限られているため、「富岳NEXT」だけでなく、世界中のデータセンターや研究機関も同様の取り組みが必要です。

Q:「富岳NEXT」の特徴は何ですか?

A:次世代スーパーコンピュータは、AIや量子コンピューティングに適したアルゴリズムを搭載する必要があります。そのため、「富岳NEXT」は、グラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)を搭載した日本初のフラッグシップ・スーパーコンピュータとなります。

GPUはAIに対応した高性能半導体であり、AIに適した高速コンピューティングの心臓部です。世界有数の半導体企業であるNVIDIAが開発に参画します。

NVIDIAは、スーパーコンピュータ向けのチップとソフトウェアの開発で事業を築き上げ、現在では時価総額5兆ドルを超える業界リーダーへと成長しました。 NVIDIAは、「富岳」のアナログ性能と日本の既存のスーパーコンピューティング技術を高く評価し、科学界および産業界における魅力を高めるため、この共同プロジェクトを提案しました。

「京」および「富岳」に続き、「富岳NEXT」のCPUとメインフレームは、引き続き富士通が開発します。

卓越した実績に加え、AI時代に最適なCPUを開発するなど、日本の理化学研究所(RIKEN)のチームも高い技術力で高い期待を集めています。

CPUとGPUを組み合わせて演算性能を向上させることで、最強のマシンが誕生します。そのため、競争入札を経て、3社は国際的な連携体制を構築します。この次世代スーパーコンピュータは、アプリケーション開発も含め、富岳の100倍の性能を誇り、2030年の本格稼働を目指しています。

理化学研究所は、AIを活用した革新的な科学研究の推進を目指す「AIサイエンス」プロジェクトに全力で取り組んでいます。

AIの急速な発展は科学コミュニティに大きな変革をもたらし、仮説立案から検証までの全プロセスを自動化し、研究開発を飛躍的に加速させています。

スーパーコンピューティングとAIの連携は、今後の重要な一歩となるでしょう。

しかし、この目標を日本だけで達成することは困難です。AI関連技術はますます複雑化し、多様な人材と、日本が提供できないリソースを必要としています。「純血の日本製スーパーコンピュータ」に注力するのではなく、AIを活用して科学技術の向上に貢献できる人材の育成や研究環境の整備を含むエコシステムを構築することが望ましいでしょう。

Q:日本のスーパーコンピュータ開発は転換期を迎えていますか?

A:2009年は、日本のスーパーコンピュータ開発における大きな転換期でした。

当時、「京」の開発は国家プロジェクトとして推進され、世界最速の計算速度と汎用性を目指していました。 「京」は2012年から2019年にかけて、世界性能ランキングで常に1位を獲得し、スーパーコンピュータによる超並列計算の潮流にうまく乗ってきました。

しかし、汎用性は低く、多くのユーザーが利用できるマシンではありませんでした。スーパーコンピュータは、製造業などの最前線のシミュレーションアプリケーションにも欠かせないものになるでしょう。科学技術計算だけでなく、様々な産業分野にも浸透しているため、誰もが利用できるスーパーコンピュータの開発は喫緊の課題となっています。

後継機の検討は、「富岳」が本格稼働した頃から始まりました。

Q:「富岳」の開発プロセスはどのようなものでしたか?

A:「富岳」という名前は、理想的なスーパーコンピュータは富士山のように高さと幅を持ち、汎用性と高性能を兼ね備えているべきであることから付けられました。私は長年この理念を貫き、「スーパーコンピュータの良し悪しは、人々が使いたくなるかどうかで決まる」と強調してきました。世界最速の計算速度を持っていても、使いにくく用途が限られては意味がありません。「富岳」は「誰もが使えるスーパーコンピュータ」である必要がありました。

汎用性と高性能を両立させるため、このスーパーコンピュータは「京」の2倍となる約16万個のCPUを搭載しました。鍵となるのは「命令セット」です。CPU言語でありながら、一般的なパソコンやスマートフォンで既に普及している命令セットを採用することで、多様な用途に対応できます。「京」が「高性能だが使いにくい」と評された理由の一つは、当時主流ではなかった命令セットを採用していたことです。これに対し、「富岳」は既にスマートフォンで使用されているOSを多く採用し、実用性と高性能を両立させています。

富岳は誕生当初から、世界最速を目指したわけではありません。ユーザー志向の設計により、市場投入からまだ日が浅いにもかかわらず、新型コロナウイルスの飛沫感染シミュレーションやウイルス表面タンパク質の構造解析など、感染症対策への適用に成功しています。この新設スーパーコンピュータを精密に制御することで、富岳はKシリーズスーパーコンピュータが1年かかるシミュレーションタスクをわずか1~2か月で完了させ、世界的な社会課題解決における卓越した能力を示しました。

新型コロナウイルス感染症のパンデミックにおける富岳の優れたパフォーマンスは、広く社会から高く評価されました。

富岳による数々のシミュレーションは感染症対策において重要な役割を果たしましたが、ソフトウェア自体は当初、自動車エンジンの燃焼やタービン設計といった産業分野のシミュレーション用に設計されていました。研究者たちは感染症対策への応用を模索し、最終的に成功を収めました。

開発者として、スーパーコンピュータが人々の生活に深く関わる重要な社会インフラであることを改めて認識させられます。さらに、「富岳」は、気象庁の線状降水帯予測、南海トラフ地震の避難シミュレーション、心臓疾患の病態解明研究など、様々な分野における基礎研究成果の迅速な社会実装に貢献してきました。

スーパーコンピュータとは、その名の通り、通常のコンピュータの性能を凌駕する高性能計算機です。今日、AIは私たちの社会に欠かせないものとなっており、その発展は、膨大なデータを高速に処理するスーパーコンピュータの能力と切り離すことはできません。その意味で、スーパーコンピュータは現代社会の発展の源泉であり、今後も進化を続け、広く活用されることを期待しています。(劉林訳)

出典: 元記事を読む

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