2026年1月時点の半導体市場の動向と投資判断に資する重要テーマをまとめたマーケットレポートをお届けします。
※本レポートは公開情報に基づく整理であり、投資助言・勧誘を目的とするものではありません。
AI「実需」が牽引するスーパーサイクルと、鮮明化する「勝者の条件」
2026年1月、半導体市場はAI需要が「期待」から「実績(実需)」へと移行し、WSTSの2025年秋季予測では、2026年の世界半導体市場は約9,755億ドルとされ、1兆ドルに近づく見通しが示されました。
メモリ市場におけるスーパーサイクルの到来、AIインフラへの巨額投資の継続、そして地政学リスクの織り込みが進む中、注目点は「AI実装力」と「供給網の再編」です。

1. メモリ市場:「HBMスーパーサイクル」とSKハイニックスの先行
メモリセクターは、AIサーバー向けのHBM(広帯域幅メモリ)需要が牽引する強力なアップサイクルに入りつつあります。
● SKハイニックスの決算:SKハイニックスの2025年通期決算は、売上高97兆ウォン、営業利益47兆ウォンと過去最高を記録しました。特に第4四半期の営業利益率は58%に達し、HBM市場での先行が収益に直結しています。同社はCES 2026で16層HBM4を展示し、技術的優位性を誇示しました。
● 「配分」による価格上昇:マイクロンは消費者向けブランド「Crucial」からの撤退を発表し、リソースを高収益なAIデータセンター向けに集中させる「ポートフォリオ変革」を断行しました。HBMへの生産能力シフトにより、汎用DRAM(DDR4/DDR5)の供給が絞られる場合、スポット価格の上昇圧力が強まる可能性があります。
● キオクシアの上場後戦略:2024年末に上場を果たしたキオクシアは、生成AI需要を背景に、サンディスクとの製造合弁を2034年まで延長しました。AI向け大容量SSD(eSSD)の成長がテーマとして位置づけられています。
2. AIインフラ:投資の「第2フェーズ」へ
AIインフラ投資は、チップ単体から、エネルギー、冷却、ネットワークを含むシステム全体へと広がっています。
● 「フィジカルAI」への拡張:CES 2026では、NVIDIAがロボットや自動運転車などの「フィジカルAI」向けプラットフォーム「Rubin」を発表しました。AIがデジタル空間から物理世界の制御へと領域を広げており、センサー、パワー半導体、エッジAIチップの需要拡大余地を示しています。
● 電力と冷却のボトルネック:AIデータセンターの電力消費量が急増する中、電力効率の改善が喫緊の課題です。インフィニオンが全拠点の100%グリーン電力化を達成し、キオクシアがGoogleと水力発電の活用で連携するなど、電力確保が競争力の源泉となっています。また、光半導体(シリコンフォトニクス)への注目が高まっており、三菱電機は光デバイスの生産能力増強に向け、投資配分のシフト方針を示しています。
3. サプライチェーンと地政学:「脱・中国」と「米国回帰」のコスト
地政学リスクは、個別の企業制裁から、サプライチェーン全体の再構築コストとして顕在化しています。
● TSMCの米国投資とリスク:TSMCは米国での生産力拡大を進めています。米国での高コスト生産は利益率を圧迫する要因となり得ますが、AIチップの主要顧客(NVIDIA、Appleなど)が米国に集中しているため、顧客近接や供給分散の観点から重要度の高い戦略です。
● 中国の対抗措置:中国はデュアルユース品目(レアアース等)の対日輸出規制強化を発表しており、日本の自動車・エレクトロニクス産業にとってリスク要因となっています。一方で、中国国内では国産半導体製造装置の導入が進み、独自のエコシステム構築が加速しています。
4. ロジック・ファウンドリ:2nm量産競争の幕開け
最先端ロジック分野では、2nmプロセス(N2)の量産準備が最終段階に入っています。
● TSMCの優位性:TSMCは2025年第4四半期決算で純利益35%増を記録し、3nmプロセスの好調が寄与しました。2nmの量産が開始しており、2026年は立ち上げ・拡大局面に入っています。AppleやNVIDIAなどの需要を取り込むことで、引き続き市場をリードすると見られます。
● インテルの苦境:インテルは第4四半期決算で純損失を計上し、2026年第1四半期の見通しも公表されています。財務体質改善のためにNVIDIAへ株式を売却するなど、私募で引き受けを受ける資本取引を含め、再建に向けた厳しい道のりが続いています。
まとめ
2026年1月の市場は、「AI向けメモリ(HBM/eSSD)とインフラ関連(電力・光・冷却)」のスーパーサイクルが継続する一方で、「地政学リスクとコスト増」が企業の収益性を選別する局面に入っています。
「HBMで圧倒的シェアを持つSKハイニックス」、「AIインフラのシステム全体を押さえるNVIDIA」、「光半導体やグリーン電力など、AIのボトルネック解消に貢献する企業(三菱電機、インフィニオン等)」など、構造的な優位性を持ち得るプレイヤーに注目する必要があります。
また、メモリ市場全体の需給引き締まりによる恩恵を受けるマイクロンやキオクシアも、事業ポートフォリオの変化と供給制約の影響を踏まえ、評価軸に含められます。
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