AIは「画面の中」から「現実世界」へ。ロボット、巨大工場、そしてメモリ不足の正体
2026年1月、ラスベガスで開催された世界最大級のテクノロジー見本市「CES 2026」を皮切りに、半導体業界は新たなフェーズに突入しました。これまでの「チャットボット(対話型AI)」ブームから一歩進み、AIがロボットや車を動かす「フィジカルAI(身体性AI)」の時代が到来しています。
今月、業界で何が起きたのか? 初心者の方が押さえておくべき4つのポイントを解説します。

1. AIが「体」を持ち始めた!「フィジカルAI」の衝撃
これまでパソコンやスマホの画面の中にいたAIが、現実世界のロボットや車を動かす頭脳になり始めました。これを業界では「フィジカルAI」と呼んでいます。
● NVIDIAの発表: AI半導体の大手であるNVIDIA(エヌビディア)のジェンスン・フアンCEOは、CESで「AIがあらゆる動きのあるもの(ロボットや車)に宿る」という未来を示しました。
● ロボットが同僚に: 人型ロボット(ヒューマノイド)が単なるデモンストレーションではなく、工場で働く「同僚」として、あるいは家庭の家事手伝いとして実用化に向けた取り組みが加速しています。これを支えているのが、最新の高性能なAI半導体です。
2. 「メモリ」が足りない? マイクロンが一般向け販売を終了へ
AIを動かすには、計算するチップ(GPU)だけでなく、データを記憶する「メモリ」が大量に必要です。この需要爆発により、私たちの身近な製品にも影響が出ています。
● マイクロンが「Crucial」終了: メモリ大手のマイクロンは、家電量販店などで販売していた一般消費者向けブランド「Crucial(クルーシャル)」の事業から撤退し、消費者向け製品の出荷を段階的に終了する方針を発表しました。
● なぜ?: データセンター向けなど、優先度の高い領域に経営資源を配分する意図があるとみられます(※企業の一般的な資源配分の文脈)。これにより、自作PCパーツなどの市場では選択肢が減る可能性があります。
3. 「光」で通信する技術が実用化へ
AIデータセンターは電気を大量に消費します。この問題を解決するために、電気の代わりに「光」を使ってデータを送る技術(シリコンフォトニクス)が注目されています。
● 電気から光へ: 従来の銅線による電気通信では、データの移動だけで多くのエネルギーをロスしていました。これを光に変えることで、大幅な省エネと高速化を目指しています。
● 実用化の加速: 半導体製造装置メーカーのラムリサーチなどが、量産に向けたプロセス/製造技術の高度化を進めています。将来のコンピュータは、中身が「光の回線」だらけになるかもしれません。
4. 国家レベルの巨大工場(メガファブ)建設ラッシュ
半導体は今や「産業のコメ」から「国家の戦略物資」になりました。各国で巨大な工場の建設や工場のためのエネルギー確保が始まっています。
● 米国内最大級(と同社が説明): マイクロンはニューヨーク州で、米国史上最大規模となる半導体工場の起工式を行いました。
● シンガポールでも: 同じくマイクロンはシンガポールでも新工場の建設を開始しました。
● 日本のキオクシア: 日本のキオクシアはGoogleと協力し、工場の電力を再生可能エネルギー(水力発電など)で賄うプロジェクトを開始しました。単に作るだけでなく、「クリーンな電気で作る」ことが求められる時代になっています。
私たちの生活への影響は?
2026年1月は、AIが「ソフト(プログラム)」から「ハード(ロボット・工場)」へと飛び出してきた月と言えます。
私たちの生活にとっては、家事ロボットや自動運転車の進化が期待できる一方で、パソコンやスマホの部品供給が後回しにされ、価格が下がりにくくなる(あるいは上がる)可能性があります。半導体は、目に見えない場所で、私たちの未来と財布の中身を左右しています。
この記事に関連するおすすめ求人特集:
※最新の採用状況により、リンク先の求人が更新されている場合があります。