SUMCO(サムコ)は2026年2月10日、2025年12月期(2025年1月1日〜12月31日)の連結決算を公表した。売上高は4,096億7,000万円(前年比3.3%増)と増収となった一方、営業利益は13億4,200万円(同96.4%減)まで減少し、経常損益は38億8,600万円の赤字、親会社株主に帰属する当期純損益は117億5,100万円の赤字となった。
会社側は、AI用データセンター向けの伸長で300mm(12インチ)ウエハの先端品需要が堅調だった一方、先端品以外は顧客の在庫調整の影響が残り、200mm以下は出荷が伸び悩んだと説明した。併せて、先端300mmの能力増強投資に伴う減価償却費の増加が利益を下押ししたとしている。総資産は1兆1,279億円、現金及び現金同等物は752億円まで減少した。
2026年12月期について同社は、短期の需給変動を踏まえて四半期ごとに見通しを更新する運用を継続する方針を示した。2026年1〜3月期(第1四半期)は売上高1,000億円、営業損益60億円の赤字を見込む。
本稿では、この同社の決算を詳しく解説する。
増収でも利益が急減、コスト負担が利益を下押し

2025年12月期は売上高が増加した一方で、売上総利益は縮小した。決算短信によれば、売上高409,670百万円に対し売上原価は355,168百万円となり、売上総利益は54,502百万円にとどまった。販売費及び一般管理費は53,160百万円となり、営業利益は1,342百万円まで低下した。
売上総利益と販管費が接近し、増収であっても営業利益が伸びにくい状況となった。会社側が挙げた先端300mmの減価償却費増に加え、非先端領域の回復が緩やかな局面では、固定費の吸収が進みにくいことが利益の下押し要因となり得る。
市場はAI向けが堅調、その他用途は伸び悩み
同社は2025年の半導体市場について、AI用データセンター向けが伸長した一方で、民生・産業・自動車向けは伸び悩み、用途別の濃淡が続いたと整理した。
300mmではAI用半導体の増産を背景に先端品の需要が堅調に推移したが、先端品以外は顧客の在庫調整の影響を受け、回復は緩やかにとどまった。200mm以下は年間を通じて出荷が伸び悩んだ。
先端300mmは能力増強と近代化を目指す

会社側は、先端300mmの生産能力増強のために実行した設備投資に伴い、減価償却費の負担が増加したと明記した。これに対し、顧客の高精度化要求や製品差別化への対応として技術開発を進め、先端品の高シェア維持を掲げたとしている。さらに、AIを活用した生産性向上などを通じ、コスト競争力の強化を推進したという。
2026年1〜3月期の見通しでは、300mmはAI用データセンター向けの先端ロジックとDRAM向けの需要が堅調で、サーバーSSD拡大に合わせてNAND向けも需要の伸びを見込む一方、ロジックの非先端品は顧客が在庫適正化を計画しており、購入量の調整が行われる見通しを示した。200mm以下は、AI関連で需要増加もみられるとしつつ、当面は現在の需要規模が続くとの見立てを示した。
こうした前提の下、同社は事業構造改革を進め、300mmでは新工場の戦力化と既存工場の製造設備の近代化を進めるとした。200mm以下では生産体制の再編成を進め、効率化と収益改善を図る方針を掲げた。
総資産は前期末比で447億1,700万円減少

2025年12月期末の総資産は1兆1,279億6,600万円と、前期末比で447億1,700万円減少した。会社側は、原材料及び貯蔵品が増加した一方で、有形固定資産合計と現金及び預金が減少したことが主因と説明している。有形固定資産については、減価償却の進行や勘定の組み替え等により残高が増減し得るとしている。
負債は4,801億8,100万円、純資産は6,477億8,500万円で、自己資本比率は51.3%だった。
キャッシュフローは、営業活動によるキャッシュフローが1,000億4,000万円の収入、投資活動によるキャッシュフローが1,114億4,700万円の支出、財務活動によるキャッシュフローが87億2,900万円の支出となり、現金及び現金同等物の期末残高は752億9,600万円に減少した。営業キャッシュフローでは、棚卸資産の増減や法人税等の支払いがあった一方、減価償却費が1,156億9,200万円となった点が主要因に挙げられている。投資キャッシュフローは、有形及び無形固定資産の取得による支出が中心となった。
株主還元では、2025年12月期の年間配当を1株20円(中間10円、期末10円)とし、2026年12月期の配当は未定とした。為替前提について、2026年1〜3月期の業績予想は1米ドル=155円を置いている。
需要の回復が先端と非先端で揃わない

SUMCOの2025年12月期は、AI向けを起点とする先端300mm需要が売上を支えた一方、非先端の在庫調整と200mm以下の出荷低迷が重なり、利益が急減した。先端投資に伴う減価償却費が増加する局面で、需要の回復が先端と非先端で揃わないことが、収益の変動要因となり得ることがうかがえる。
2026年1〜3月期は、先端ロジック/DRAM/NAND向けの堅調さと、非先端の在庫適正化に伴う調整が同居する見通しで、売上高1,000億円に対し営業損益60億円、経常損益100億円、純損益100億円の赤字を見込む。同社は、短期の需給変動に応じて見通しを更新する運用を継続する方針を示している。
ウエハ需要の濃淡は、前工程の稼働率だけでなく、材料の消費や保守・改造を含む設備対応のタイミングにも波及し得る。決算短信では、地政学的リスクや各国政策が半導体を搭載する最終製品需要へ与える影響を注視するとしており、需要の戻り方に加え、政策・為替・投資負担の組み合わせが短期の収益変動に影響する局面が続く。
*この記事は以下のサイトを参考に執筆しました。
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