ここ1年、生成AIや大規模言語モデル(LLM)、さらにHPC(高性能計算)がデータセンター需要を押し上げ、関連投資は過去にないほど高い水準になっている。米国では2025年6月のデータセンター建設支出は、前年同月比約30%増の年率400億ドルとなった。しかし一方で、その伸び率は2024年の50%増からは鈍化に転じた。この「量は増えるが、伸び率は鈍る」という二つのベクトルは、拡張フェーズの次に来る現実を同時に浮かび上がらせている。
すなわち、次は電力調達・冷却設計・ネットワーク帯域の問題という効率面での問題が伸し掛かってくる。このため、単にデータセンターの規模を拡張するだけでは、対応できないという局面に入るのだ。
各調査会社の予測も、同じような方向に向いている。IDCは2025年の世界半導体市場が前年比15%成長と公表し、牽引役は、膨大なデータを高速に処理するHPCのシステムと、人間のような知能を持つAIを統合し、より高度な分析やシミュレーションを短時間で実現する技術であるAI/HPCだとする。Goldman Sachsは2030年までにデータセンター電力が最大165%増のレンジを示し、MicronはHBMを中心とするAI需要を背景に業績見通しを上方修正した。これらの予測が示すのは、AIインフラが“量の拡張”から“効率の最適化”へと主戦場を移しつつあるという事実だ。
そのような中、幕張で「CEATEC 2025(10/14–17)」が、開催される。テーマ・趣旨は「経済発展と社会課題の解決を両立する「Society 5.0」の実現を目指し、あらゆる産業・業種の人と技術・情報が集い、「共創」によって未来を描く」。そして、その趣旨のもと企画展示として「AX(AI Transformation)パーク」を実施する。そこでは、AIが社会・産業にもたらすインパクトを多角的に展示すると謳っている。
本記事では、この「CEATEC 2025」の出展内容から、AIインフラ“量の拡張”から“効率の最適化”へ移行の現状を読み解く。
続きを読むには・・・業界の第一線で役立つ情報を、
無料会員限定で公開中。