2026年1月28日、韓国のSK hynix(SKハイニックス)は2025年通期の連結業績を公表し、売上高97兆1,467億ウォン、営業利益47兆2,063億ウォン、純利益42兆9,479億ウォンを計上した。第4四半期(4Q25)も売上高32兆8,267億ウォン、営業利益19兆1,696億ウォン、純利益15兆2,460億ウォンとなり、通期・四半期とも過去最高を更新した。営業利益率は通期49%とされ、AI向け高付加価値メモリ(HBMなど)が収益を押し上げたことがわかった。
同日、同社は米国にAIソリューション企業(仮称AI Company:AI Co.)を設立し、投資枠として100億米ドルをコミットすると発表した。加えて決算リリースでは、清州M15Xの能力最大化、龍仁クラスター第1工場、清州・米国での先端パッケージング施設など、前後工程にまたがる供給網投資を列挙した。
政策面でも、韓国政府は2025年4月15日に半導体分野の投資支援を33兆ウォンへ拡大すると公表し、送電線路地中化への国費支援などクラスターの前提条件を整備する方針を示した。さらに「国民成長ファンド」を軸に、AI・半導体を含む先端産業に資金供給枠を設ける施策を重ねている。
本稿は、企業の決算・事業再編と政策パッケージを突き合わせ、韓国半導体の動線を考察する。
決算で可視化されたAIメモリの収益構造

SKハイニックスは2026年1月28日の決算発表で、AI需要中心の市場構造に対応し「HBMを含む高付加価値品」で成長と収益性を同時に確保したと位置づけた。DRAMではHBM売上が前年比2倍超となったほか、4Q25はHBMに加えてサーバ向け従来型メモリ需要が急増したとし、需要変化への供給対応を強調した。
プロセス面では、従来型DRAMが「1cnmプロセス(10nm世代第6世代)」で量産に入ったと記載。32Gbの第5世代10nmクラス(1b)DRAMを用いた256GB DDR5 RDIMMの開発も、サーバモジュール領域の成果として明記された。
このRDIMMは「Intel Xeon 6」向け互換性検証を完了し、推論性能が従来比最大16%向上、消費電力も約18%低減できるとされる。
NANDでは321層QLC製品の開発完了と、eSSD中心の需要対応により年次売上が過去最高となった。
株主還元では、追加配当1兆ウォン、自己株1,530万株の消却方針を示し、資本政策も同時に打ち出した。
供給網の再設計:M15X・龍仁クラスター・先端実装・HBM4量産準備

今回の決算の特徴は、収益要因(AIメモリ)と並べて、生産能力と拠点配置を「次の競争要件」として提示している点にある。
清州M15Xの能力最大化、龍仁クラスター第1工場の建設、清州および米国インディアナ州での先端パッケージング施設など、前後工程を跨ぐ製造網を整備する。
HBMではHBM3EとHBM4を同時に安定供給。HBM4は2,048 I/O端子、帯域幅2倍、電力効率40%以上改善、10Gbps超の動作速度を実装し、Advanced MR-MUF工程・1bnmプロセスを適用。
技術力だけでなく「供給能力の明示」が競争力として強調された点がポイントである。
米国にAIソリューション事業を新設

同日、米国にAIソリューション企業(仮称AI Co.)を設立すると発表。Solidigm法人をAI Co.に転換し、既存事業は新設子会社Solidigm Inc.へ移管。AI Co.に100億米ドルをコミットする構成とした。
AI Co.は、HBMなどを軸にAIデータセンター向けシステム最適化を担う位置づけで、戦略投資・協業も想定。メモリ単体の販売から、顧客最適化・エコシステム構築へと拡張するメッセージを含む。
韓国政府の「33兆ウォン投資」

2025年4月15日、韓国政府は半導体分野の投資支援を33兆ウォンへ拡大すると公表。送電線路地中化に対する70%国費支援、新たな支援上限1,000億ウォンなど、クラスター条件の制度設計が進められている。
これは補助金のみならず、操業に不可欠な電力・冷却・物流などの前提条件整備であり、稼働率と歩留まりに直結する土台づくりといえる。
メモリ偏重から「実装・実証」へ拡張

2025年9月10日、韓国政府は「国民成長ファンド」を150兆ウォン規模で造成し、AIへ30兆ウォン、半導体へ21兆ウォンを配分すると発表。株式投資・間接投資・インフラ・低利融資を組み合わせた多層支援が示された。
2025年12月16日には、2026年の運用計画として30兆ウォン超を提示。AI転換に6兆ウォン、地域に12兆ウォン超、株式投資3兆ウォン、インフラ10兆ウォンなどが含まれる。
「実装・実証」の制度として、国産AI半導体を活用した「K-クラウド技術開発」プロジェクトも本格化し、性能を2030年にグローバル上位3水準へ引き上げる目標が掲げられた。
2026年の韓国は「供給能力」と「資本の実行」を競う局面へ

SKハイニックスの決算は、AIメモリの成長と収益性を実証し、営業利益率49%という数字で可視化した。
同時に、前後工程を包括した製造能力と、米国での事業開発(AI Co.設立+100億米ドルコミット)を打ち出し、量産・販売・事業最適化の三位一体を示した。
政策面では、33兆ウォン投資の拡大、国民成長ファンドによる150兆ウォン構想と2026年運用開始、K-クラウドによる商用AI半導体の実装支援が並行して進む。
2026年の韓国半導体は、製造能力と資本政策を両輪に、AIインフラを「届け切る」体制へと進化しつつある。
参考リンク
- SK hynix Announces FY25 Financial Results
- SK hynix to Establish U.S. Arm Specialized in AI Solutions
- SK hynix Completes World’s First HBM4 Development
- 대한민국 정책브리핑|33兆ウォン投資・地中化支援
- 대한민국 정책브리핑|국민성장펀드150조원構想
- 대한민국 정책브리핑|K-클라우드 기술개발
- MOEF|2026年 National Growth Fund Plan
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