活況を呈する中古装置市場!レガシー半導体製造の向こうに見える未来とは

未分類
この記事を読むのにかかる時間: 2

再注目されるレガシー半導体

半導体業界では相変わらず最先端プロセス技術の進化が続いている。しかしその一方で、レガシー半導体の重要性が再び高まるという現象が起きている。これは特に、28nm 以上のプロセス技術を採用するレガシーチップに顕著で、自動車、産業機器、家電、IoT デバイスなどで不可欠な存在となっている。
加えて、2021 年以降の半導体不足により、レガシー半導体の安定供給が業界の最重要課題の一つとなった。
この現象の背景には、中古半導体製造装置市場が活況を呈しているという事実がある。最先端の EUV リソグラフィー装置が高騰する反面、200mm ウェハ向けの中古装置の取り引きも急速に拡大している。
ではなぜ今、中古装置市場が活発化しているのか?本記事では、レガシー半導体の需要増加とそれに伴う中古装置市場のその動向を分析する。

レガシー半導体の需要拡大に引きずられ中古装置市場も急成長

レガシー半導体の需要増加

レガシー半導体の市場は、今後も成長が見込まれている。2023 年時点で、28nm 以上の半導体の市場規模は約 800 億ドルと推定され、2027 年には 1,000 億ドルを超えると予測されている(出典:IC Insights)。
この成長の主要因は以下の通り。

  • 自動車業界の需要増:電動化や ADAS(先進運転支援システム)の発展に伴い、車載用半導体の需要が高まっていること。
  • 産業機器・医療機器の活用:レガシー半導体は、長期的な安定供給が求められる用途で広く使用されているから。
  • IoT デバイスの拡大:低消費電力・低コストのチップが求められる IoT 分野では、成熟プロセスが適していること。

需要が拡大する中古半導体製造装置市場

レガシー半導体の供給増に伴い、中古装置市場が急成長している。特に200mm ウェハ対応の製造装置は中古市場で高値で取引され、新規の 200mm ウェハファブ建設も増加している。この状況が生み出した動向を以下に記す。

    • 200mm ウェハ装置の供給不足:新規製造装置の生産が限定されており、中古市場での取り引き価格が 2020 年比で約 2 倍に上昇(出典:SEMI)。
    • 装置リファービッシュ市場の成長:中古装置を改造・再生するビジネスが拡大し、米Applied Materials(アプライド マテリアルズ) や米 Lam Research(ラムリサーチ) などの大手製造装置企業が積極投資。
    • 存在感を高める日本企業:東京エレクトロンや SCREEN ホールディングスなどの企業が、中古装置のメンテナンスやリファービッシュ市場で存在感を高める。

    レガシー半導体製造に未来はあるか?

    このようにレガシー半導体市場は、最先端プロセスとは異なる形で進化を続けている。これに引きずられる形ではあるが、中古装置市場の活況が続く限り、新規設備投資よりも既存設備のリファービッシュによる供給力強化が主流となるだろう。
    また、日本企業にとっては、技術力を活かした中古装置のメンテナンスやリファービッシュ市場の開拓が重要となるだろう。東京エレクトロンや SCREEN ホールディングスは、この分野での成長が期待される。

    半導体業界の成長要因は必ずしも「最先端」の追求だけではないと言える。レガシー半導体市場の動向を見極め、適切な戦略を立てることが、今後の競争優位性を決定づける鍵となる。そしてその先に見えるのがレガシー半導体の未来なのだ。

    TOP
    CLOSE
    SEARCH