この記事のポイント
- 福島第一原発の廃炉作業や宇宙開発など、高放射線環境下で利用可能なWi-Fi受信チップが開発されました。
- このチップは、生物にとって致死量とされる放射線量の500倍に相当する環境でも連続稼働します。
- ロボットやドローンによる遠隔操作の普及、作業員の被ばくリスク低減を目指しています。
- 従来の有線接続の課題であった、ロボットの機動性や展開の制約を解消する可能性があります。
- 放射線に強い設計にするため、トランジスタ数を減らし、一部を放射線に弱い受動素子に置き換えるなどの工夫が施されています。
高放射線環境下で稼働するWi-Fiチップ開発
日本の研究機関が、極めて高い放射線環境下でも数時間連続して動作するWi-Fi受信チップを開発しました。これは、損傷を受けた福島第一原子力発電所の廃炉作業への応用が期待されています。
圧倒的な耐放射線性能
東京科学大学と高エネルギー加速器研究機構の研究者によると、このチップは500キロラド(kGy)という強烈な放射線量に耐えることができます。これは、一般的に生物にとって致死量とされる放射線量の500倍に相当します。この技術は、極限環境下での宇宙ミッションにおいても、無線通信技術や無線インフラの応用を可能にするものです。
作業員の被ばくリスク低減とロボット活用の推進
東京科学大学先進統合電子研究センターの白根合志准教授は、このチップの活用により、「ロボットやドローンによる無線遠隔操作の普及を促進し、作業員の放射線被ばくリスクを低減できる」と期待を寄せています。
廃炉作業における有線接続の課題
2011年3月の地震と津波により炉心溶融事故が発生した福島第一原発では、事故後の廃炉作業において、人間が立ち入れない区域でのロボットの活用が拡大しています。しかし、現状ではほとんどのロボットが有線接続で制御されており、これが制約となっています。
有線接続の限界と無線化のメリット
今年2月にサンフランシスコで開催された国際会議で発表された研究報告によると、有線接続はロボットの同期展開や機動性を制限し、ケーブル管理などの課題も生じさせます。この研究チームによれば、原発の燃料デブリから放出される強力なガンマ線は、チップに漏電を引き起こし、信号を減衰させる原因となります。
放射線耐性を高める設計
研究者たちは、受信機を放射線に対してより強くするために、トランジスタの数を削減し、一部のトランジスタを放射線に比較的影響を受けにくい受動素子に置き換えました。さらに、残りのトランジスタは、放射線による損傷を受けにくいように、より大きなサイズに設計されています。
性能テストで証明された実用性
研究チームは、性能テストにおいて、このチップが宇宙活動向けに設計された半導体の限界値の1000倍もの放射線量にさらされても、正常な無線通信を実現できることを確認しました。
出典: 元記事を読む
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