2025年11月18日~21日、ドイツ・ミュンヘンで開催される「SEMICON Europa 2025」は、単なる業界展示会ではない。併催される世界最大級の製造技術見本市「productronica」とともに、欧州が再び「製造の舞台」に立とうとする決意を映す場となるのだ。
今年のテーマに掲げているのは「欧州経済のレジリエンスを高めるためのグローバル協調」。サプライチェーン分断とエネルギー危機を経験した欧州が、自動車と電力、そして製造業を軸に再生を図る姿勢が見て取れる。
背景には二つの大きな潮流がある。一つは自動車産業の電動化が一気に進み、従来の内燃機関部品に代わってパワー半導体や高耐圧部品が不可欠になったこと。もう一つは再生可能エネルギーの普及が進むなかで、インバータや電力変換装置に用いられるSiCやGaNといったワイドバンドギャップ半導体の需要が爆発的に拡大していることだ。エネルギー政策と自動車産業の構造転換が同時に進み、欧州に「製造を取り戻す必然性」を突き付けているのである。
こうした転換点に立つ欧州を、世界の半導体業界が見つめている。日本企業にとってもSEMICON Europaは単なる出展・視察の機会にとどまらず、欧州市場の特性を現場で可視化し、商談の方向性を定めるための羅針盤になるだろう。
本稿では、今回の「SEMICON Europa」についてそれを取り巻く背景を整理し、事前の案内ガイドとする。
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