2023年の在庫調整を経て、半導体業界は再び成長基調に復帰した。世界半導体市場統計(WSTS)の春季予測(2025年6月)によれば、2024年は前年比19.7%増の6,305億ドル、2025年はさらに11.2%増加し 7,009億ドルへ到達する見通しだ。このように、市場規模は過去最高を更新し続け、「アフターコロナの踊り場」を完全に抜け出したことが統計的にも裏付けられている。
本稿では、このWSTSの予測から2024~25年の半導体市場を動かしている潮流を読み解き、7,000億ドル時代の勝者となるための方策を考察する。
1. ロジックとメモリが成長のけん引役に

まず、前述したWSTSの予測をグラフにした。WSTSは、ロジック(23.9%増)とメモリ(11.7%増)を成長のけん引役として挙げている。一方、マイクロ(1.0%減)やオプトエレクトロニクス(4.4%減)は小幅縮小と予測しており、製品カテゴリ間で二極化が鮮明になっている。
地域別では米州18.0%が増、アジア太平洋が9.8%増と高い伸びを示している。一方、欧州は3.4%増、日本は0.6%増とそれぞれ為替と景気減速の影響が色濃く、微増にとどまっている。
2. HBMとGPUが押し上げるメモリとロジック
台湾の調査会社TrendForceは、生成AI向けサーバー需要が、HBM3eの大量採用を促すためHBM市場は2025年に仕様転換で単価5〜10%上昇と分析する。
ロジック側ではGPU・専用AIプロセッサが伸長し、WSTSもロジックの2ケタ増を想定している。

3. 車載半導体はSDV化で16%台の大幅増に
自動車関連インサントを提供するS&P Global Mobilityは、2025~26年の車載半導体売上高を前年同期比16.5%増と予測しており、在庫調整後の強いリバウンドを示唆している。EV電動化に加え、ソフトウェア定義車両(SDV)の実装数の増加が、パワー半導体(SiC/GaN)や高性能SoCの搭載比率を右方上がりに伸長させている。
4. 端末は停滞するもインフラは市場回復へ
調査会社IDCは、2025年のスマートフォン出荷を0.6%減に下方修正した。一方、通信、エンタープライズネットワーク、データセンター、セキュリティインフラ市場の調査と市場情報提供を行うDell’Oroは、RAN(無線アクセス網)収入が2025年に5〜10%回復すると見込んでいる。
資本配分の最適化や顧客ポートフォリオ再構築を
では、これらの予測に対しどのように対応すべきだろうか。以下にそれ等の策を示す。
- 資本配分の最適化
- メモリ:HBM4へ向けた技術ロードマップ策定と供給リスク分散
- ロジック:GAA/2 nmノードの収容量確保を最優先
- 顧客ポートフォリオ再構築
- 車載:SDV/E/Eアーキテクチャ変革に合わせたTier 1共創モデルの深化
- 通信:プライベート5G×エッジAIを見据えたソリューション営業
- ESG・レジリエンス投資
- Scope 3削減要求とジオポリティクス対応を同時に満たす「グリーン&フレキシブル」サプライチェーン設計が競争軸に
一気通貫で戦略を策定できる企業が勝者に

2025年は「復調」ではなく「質的転換」の起点となる一年だ。数量より価値、単価より付加価値──数字の裏にある構造変化を読み解き、前工程からアプリケーションまで一気通貫で戦略を策定できる企業こそが、7,000億ドル市場の勝者となるだろう。
*この記事は以下のサイトを参考に執筆しました。
参考リンク
- WSTS Semiconductor Market Forecast Spring 2025
- WSTS 2025年春季半導体市場予測解説(EDA EXPRESS)
- S&P Global Mobility「Automotive semiconductor market tracker — March 2025」
- TrendForce「HBM Market Bulletin – Jun. 13 2025」
- IDC Press Release「Worldwide Smartphone Forecast to Grow 0.6% in 2025」
- Dell’Oro Group Blog「What to Expect from RAN in 2025」
The World Semiconductor Trade Statistics (WSTS) organization has released its updated Spring 2025 forecast, confirmed growth for 2025 and highlighting continued robust growth for the global semiconductor market through 2026.
※すべて2024年7月〜2025年7月に公開された一次情報を掲載。