AI需要に迫られるストレージチップ、供給不足が価格高騰の要因に

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この記事のポイント

  • AIの算力需要がストレージチップの供給不足と価格高騰の主要因となっています。
  • AIの進化は、大容量化、高帯域幅化、低遅延化といったストレージへの多岐にわたる要求を生み出しています。
  • 供給側の制約も深刻で、生産能力の増強には時間がかかるため、短期間での需給バランス回復は困難と見られています。
  • HBM(高帯域幅メモリ)やサーバーDRAMなど、AI関連製品への供給優先が、一般消費者向け製品の品薄を助長しています。
  • CXL(Compute Express Link)や3D DRAMなどの技術革新が、長期的なストレージ効率向上に期待されています。

ストレージチップ価格高騰の背景

最近、世界のストレージチップ市場で価格上昇の兆しが見られています。特に、SKハイニックスやサムスン電子といった大手企業の株価が過去最高を更新し、市場の活況を示唆しています。米国の市場でも、QualcommやWestern Digitalの株価が大幅に上昇しました。これは、市場が過去15年間で最も深刻なストレージチップの供給不足に直面していると分析されており、第2四半期には価格が大幅に上昇すると予測されています。

AI需要の急増がストレージチップ不足の鍵

このストレージチップ価格高騰の主な要因として、人工知能(AI)の算力需要の急増が挙げられます。AIの進化は、処理するデータ量の増大と、それらを高速に処理するための高性能なストレージを不可欠にしています。特に、AIシステムにおいては「高速なストレージ容量」と「ストレージ帯域幅」が、その性能を左右する重要な指標となっています。

東芯半導体の潘惠忠副総経理は、AIの運用がストレージに「三重の圧力」をもたらしていると指摘します。まず、AIモデルのパラメータ数が兆単位に増加し、格納するための「大容量化」が求められています。次に、AIの推論プロセスでは、GPUやNPUの演算能力がメモリの供給速度をはるかに上回るため、計算ユニットがデータ待ちになる時間が長くなり、これが「高帯域幅ストレージ」への需要を爆発的に増加させています。さらに、クラウド上の大規模モデルからスマートフォンや自動車などのエッジデバイスまで、AIが普及するにつれて、あらゆるデバイスにおけるストレージへの需要が増加しています。

潘氏は、AIによるストレージ需要は一時的な景気変動ではなく、AIアプリケーションの広範な普及に支えられた「長期的な構造的増加」であると強調しています。この増加は、各産業からの具体的な受注に基づいています。

供給側の制約も需要逼迫を加速

一方で、供給側の制約も無視できません。ストレージ業界における生産能力の増強は、ファウンドリ、EUV(極端紫外線露光装置)、先進的なパッケージング、テスト検証など、多くの段階を経る必要があり、時間とコストがかかります。このため、供給側の柔軟性が限定的であり、需要と供給のギャップがさらに拡大しています。

AI時代に求められるストレージの新たなニーズ

AI時代においては、ストレージに対して多角的な要求が生まれています。英韧科技の創業者兼会長である呉子寧氏は、AIにおけるストレージのニーズは「立体的」であると述べています。例えば、生データセットの保存には「大容量かつ高コストパフォーマンス」なソリューションが求められます。データクリーニングや精製段階では、「複雑な混合読み書き」と「高頻度のランダムアクセス」という課題に直面します。モデルのトレーニングや推論においては、「高並列・低遅延」のKVキャッシュが重要となります。さらに、エッジコンピューティングの台頭は、デバイスの「小型化、低消費電力化、高性能化」といった厳しい要求ももたらしています。

呉氏は、AI時代におけるストレージ製品のコアなニーズは単一ではなく、アプリケーションごとに異なるため、ストレージベンダーは「各シナリオに最適化されたソリューションを提供する能力」が不可欠であると指摘します。

増大する算力需要と限られた生産能力の中で、メーカーは希少な生産能力をAI関連の高付加価値製品に優先的に割り当てる傾向にあります。業界関係者によると、ストレージメーカーは、限られたウェハーやパッケージング能力を、HBM(高帯域幅メモリ)やサーバーDRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ)などの製品に優先的に供給しています。その結果、コンシューマー向けのメモリ、スマートフォン用ストレージ、コンシューマー向けSSD(ソリッドステートドライブ)などの供給が不足し、これも価格上昇の一因となっています。

ストレージチップ不足の緩和に向けた道筋

ストレージチップの供給不足を緩和するためには、「技術革新」と「産業連携」の両面からのアプローチが必要です。短期的な解決策としては、高帯域幅、先進的なパッケージング、そしてストレージとコンピューティングを統合するアーキテクチャの再構築が挙げられます。今後1年から2年においては、HBMの歩留まり向上、先進パッケージングの生産能力拡大、サーバーDRAMおよびエンタープライズ向けSSDの生産能力増強、そして大手クラウドベンダーとの長期契約による生産計画の安定化が、需給改善の鍵となるでしょう。

より長期的には、CXL(Compute Express Link)によるメモリプーリング、HBMのさらなる多層化、3D DRAMといった方向性が、システム全体のストレージ効率と実効供給量を大幅に向上させる可能性があります。

しかし、業界関係者は、ファウンドリ建設のサイクル、装置の納期、顧客の検証プロセスなどに制約があるため、ストレージ供給の実質的な改善にはまだ時間がかかると見ており、短期間で供給不足の状況が完全に解消されることは難しいとの見方が一般的です。

出典: 元記事を読む

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