パワー半導体で日本の半導体産業は復活できるか?強みと課題を徹底分析

市場動向
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日本復活のカギを握るパワー半導体

かつて日本の半導体産業は世界をリードし、トップの座にあった。しかし、現在ではその地位を失い、2020年には世界シェアが6%にまで下がった。このため、日本の半導体業界はさまざまな復活策を模索している。
そこで、今復活の鍵を握っているかもしれないと目されているのがパワー半導体である。パワー半導体は需要が拡大しており、電動車(EV)、再生可能エネルギー、データセンターなどでの活用が進み、市場規模は成長を続けているからだ。
本記事では、パワー半導体における日本の強みと課題を分析し、その競争力を検証する。

日本のパワー半導体産業の強みと課題

1. パワー半導体世界市場と成長予測

市場調査会社 Yole Développement は、2021 年のパワー半導体市場規模は約 220億ドルで、2030 年には約 400 億ドルに達すると予測している。特に、SiC(シリコンカーバイド)や GaN(窒化ガリウム)といった次世代材料の採用が進み、EV インバーターや急速充電器への応用が加速しているという。

2. 日本の強み:材料と製造技術の優位性

日本は材料技術と製造技術の分野で優位性を持っている。信越化学工業や SUMCO は高品質な SiC ウェハの供給で世界トップクラスのシェアを誇る。
また、東京エレクトロンやディスコといった日本の製造装置メーカーも高精度な加工技術を提供し、パワー半導体の性能向上を支えている。

3. 日本が直面する課題:サプライチェーンの脆弱性と投資不足

日本の半導体サプライチェーンは、海外依存度が高く、特に製造装置や先端材料の一部を米国や欧州に依存している。これが地政学的リスクとして浮上している。
また、日本企業の研究開発投資は相対的に少ない。これ比べドイツのInfineon Technologies(インフィニオン・テクノロジーズ)や米国の Wolfspeed(ウルフスピード)は SiC や GaN 開発に巨額の投資を行っている。これらに追いつくには、日本企業の投資強化が求められる。

4. 日本はどう戦うべきか?

これから、日本がパワー半導体の優位性を生かし、どう戦っていくべきかを考察する。
ます、国内大学・研究機関と企業の連携を強め、より高性能の次世代パワー半導体開発が鍵となるだろう。たとえば、NIMS(物質・材料研究機構)や東北大学が SiC や GaN 研究をリードしており、これらの知見を産業界が活かすことが得策せはないだろうか。
また、国内市場だけでなく、米国のTesla(テスラ)や中国のBYD(比亜迪)といった EV メーカーと提携し、海外市場の開拓を進めることが必要と思われる。

日本はパワー半導体で世界に返り咲けるか?

このように日本の半導体産業が復活する鍵は、パワー半導体の競争力向上にあると言える。その場合も材料技術や製造装置に優位性を持つ反面、研究開発の遅れやサプライチェーンの脆弱性が課題になるだろう。
しかし、産学連携の強化、海外市場の開拓によって、日本はパワー半導体市場で再び存在感を示すことができる可能性も高い。今後、日本の半導体企業がどのように動くのか、注目していきたい。

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