インテルの次世代SoC「Panther Lake」は、“顧客最優先主義”へ立ち返るための起爆剤となるか?

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2025年10月9日、Intel(インテル)は、クライアント向け次世代SoC「Panther Lake(Core Ultra Series 3)」を正式発表した。製造は、同社の1.8ナノメートル世代に相当するプロセスノード技術「Intel 18A」によって行われる。米国・アリゾナ州チャンドラーの「Fab 52」で製造され、2025年内に高ボリューム生産(HVM)へ移行し、2026年1月に販売開始される。

この記事では、この「Intel 18A」技術の採用がPC設計の電力・熱・基板に与える影響をまとめる。

発表から量産フェーズへ

インテルは、同社の次世代SoC「Panther Lake」の販売開始計画により、年末までに量産承認(PVT)前後の設計確定、冷却モジュールの量産仕様、OSイメージの最終最適化など、量産前提の準備を進めている。

サプライヤにとっては、露光・成膜・金属配線・CMP・検査といった18Aの条件安定化に歩調を合わせ、供給計画と品質安定の最低条件を決定する段階となっている。

18A技術の特徴

18A技術は、GAAトランジスタ(RibbonFET)と背面給電(PowerVia)の組み合わせが特徴だ。同社の「Intel 3」との比較でPerf/W最大15%増、トランジスタ密度30%増という社内比較値が示されている。

PowerViaは電源配線をダイ背面へ分離し、標準セル利用率を5〜10%増、同電力(ISO-P)での性能を最大4%向上させるとされる。さらにOmni MIMコンデンサにより、負荷変動時の電源安定性を底上げする。

結果として、同じ電力枠で性能を伸ばす、あるいは同じ性能で消費電力と発熱を下げる——SKU設計上の選択肢が広がる。

「タイル化」設計でSKUの作り分けと資産を共通化

「Panther Lake」は、1つの大きなデータや画像を扱いやすい小さな正方形の「タイル」に分割して敷き詰める処理である「タイル化(チップレット)」設計を採用しており、CPU/GPU/IOの組み合わせでSKU(在庫管理の最小単位)を策定する。

タイル化の利点は、(1)歩留まりの取りやすさ、(2)SKUの柔軟性、(3)共有資産の拡張性にある。単一大面積ダイよりも健全ダイを組み合わせやすく、価格帯や用途に応じて同一パッケージで構成差を付けやすい。基板レイアウトや冷却モジュール、筐体の共通化を維持しつつ、上位から普及までを短いリードで展開できる。

グラフィックス性能は「前世代比で大幅向上(最大50%という報道の言及あり)」といったトーンで語られており、実効値は熱設計やTDPの設定、メモリ構成で変わる。

“顧客最優先”へ立ち戻るための3つの見極めポイント

ここでは、“顧客最優先”へ立ち戻るための3つのポイントを解説する。

(1)供給安定性:2025年内の高ボリューム生産移行に合わせ、前工程と後工程の安定度が初期需要を支えられるか。歩留まりに関する懸念は夏時点の報道に見られたが、その後の改善計画と年末の実力値が焦点になる。

(2)SKU網羅率:薄型モバイルからゲーミング、小型デスクトップまで、共通プラットフォーム資産でどれだけ早期に幅広い価格帯を満たせるか。

(3)実効Perf/W:前世代比の向上が、バッテリ駆動・静音・スロットリングといった実運用条件下でどの程度再現するか。ベンチマーク値と現場条件の差分を見る必要がある。

「Intel 18A」技術の採用は一過性か、今後のトレンドになるか

「Panther Lake」は、18A×PowerVia×タイル化という3点セットで、PCの電力・熱・基板設計に“余裕”をもたらす。節目は「2025年内HVM移行」「2026年1月販売開始」。量産側では18Aのプロセス条件を量産最適へより近づけ、品質安定の最低条件を確立できるかが初期の勝負どころだ。

製品側では、SKUの広がりと実効Perf/Wの裏付けが大切だ。確認すべきKPIは、(1)供給(歩留まり・後工程の安定度)、(2)SKUカバレッジ、(3)実効Perf/Wの3つ。

年明けの実機計測が出そろうタイミングで、熱設計・騒音・バッテリの実測とSKU拡張の速度を照らし合わせれば、「Intel 18A」技術の採用が、果たして一過性のもので終わるか、今後のトレンドになるのか、おおよその予測がつくようになるだろう。

*この記事は以下のサイトを参考に執筆しました。
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