貿易統計からみる日本の半導体ポジション――「IC輸出の伸び」と「装置輸出の横ばい」が同居

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2026年1月29日、財務省は貿易統計(速報)として、2025年12月分および2025年(1〜12月)の集計を公表した。2025年通年の貿易収支は2兆6,484億円の赤字で、前年差では赤字幅が縮小した。一方、2025年12月単月は1,134億円の黒字となり、年末にかけて輸出入が拮抗することとなった。

半導体産業の観点で注目すべきは、(1)「半導体等(うち集積回路)」が輸出増の押し上げ要因として目立つこと、(2)「半導体製造装置等」が高水準を維持しつつ伸びは鈍いこと、(3)台湾・香港向けの伸びが確認できる一方、中国向けは輸入超過(赤字)が続くこと——の3点である。

本稿はこの3点を軸に現在の日本の半導体業界におけるポジションを考察する。

2025年は赤字縮小、12月は黒字

2025年(1〜12月)の輸出額は110兆4,448億円(前年比3.1%増)、輸入額は113兆0,932億円(同0.3%増)で、収支は2兆6,484億円の赤字だった。前年差では赤字幅が大きく縮小している。

12月単月では輸出10兆4,082億円(同5.1%増)、輸入10兆2,948億円(同5.2%増)となり、収支は1,134億円の黒字となった。輸出入とも増えたが、伸び率はほぼ同じで、年末は「輸出の伸び」と「輸入の戻り」が同時に進んだ格好である。

「半導体等(IC)」が輸出増の押し上げに寄与

2025年12月の輸出は、半導体等が6,649億円(前年比26.6%増)、うちICが4,993億円(同25.3%増)だった。寄与度でも、半導体等が1.4ポイント増、ICが1.0ポイント増となり、単月の輸出増の中で存在感が大きい。

通年でも半導体等は6兆5,764億円(前年比8.2%増)、うちICは4兆8,699億円(同6.1%増)とプラスで推移した。輸出品目としての比重は高く、年末にかけて伸びが強まった点は、受給の「数量」ではなく貿易金額の「単価・ミックス」側で変化が出やすいことを示唆する。

装置輸出は金額は大きいが伸びは横ばい

2025年12月の装置等輸出は4,437億円で、前年比は1.5%減と小幅マイナスだった。12月の輸出全体に占めるシェアは4.3%で、金額規模は大きいが、単月の伸びは半導体等(デバイス・IC)ほど強くない。

通年では4兆5,472億円(前年比1.1%増)で、装置輸出は「高水準を維持しつつ、伸びは緩やか」となった。設備投資は発注から出荷までのタイムラグが長く、単月の増減だけで景況判断するのは危険だが、少なくとも“急伸局面”とは異なるトーンが数字に表れている。

輸入もICが増加

2025年12月の輸入は、半導体等が4,103億円(前年比20.8%増)、うちICが3,598億円(同26.3%増)だった。輸出同様に、ICの伸びが目立つ。

ここで重要なのは、「輸出が伸びた=国内で完結している」ではなく、輸入も同時に増えている点である。国内に新設投資が進む局面でも、先端・汎用を問わずICの国際調達が不可欠である現実が、月次の輸入金額に残る。輸出(半導体等)と輸入(半導体等)の差分は12月でおおむね輸出超となるが、品目定義は“半導体等”の集合であり、用途やプロセス世代の内訳までは読み切れない。

地域別では台湾・香港の伸び、中国は輸入超

12月の地域別輸出では、台湾向けが7,928億円(前年比20.7%増)、香港向けが6,349億円(同31.1%増)と大きな伸びを見せた。

一方で中国向けは輸出1兆8,100億円(同5.5%増)に対し、輸入は2兆4,645億円(同14.7%増)で、輸入超が続く。通年でも中国向け輸出は18兆7,781億円(前年比0.4%減)、輸入は26兆6,952億円(同5.5%増)と赤字基調が続いた。

台湾向けは通年で7兆9,070億円(前年比15.1%増)とプラス。半導体の国際分業構造において、製造・組立・物流の結節点に対する取引が金額に反映されている。

ICの輸出が大きく伸び、輸出増への寄与も明確に出る

2026年1月29日公表の貿易統計では、2025年通年の赤字縮小と、12月単月の黒字が確認できた。

半導体産業の視点では、12月にICの輸出が大きく伸び、輸出増への寄与も明確に出た。一方、半導体製造装置等は高水準を維持しながらも、伸びは横ばいにとどまった。また、輸入側でもICの伸びが目立ち、国内での投資が進む中でも国際調達の比重は依然として大きい。

地域別では台湾・香港向けの輸出が伸びる一方、中国は引き続き輸入超。貿易統計は、単なる景気の動きだけでなく、サプライチェーンの重心や、日本がどのセグメント(装置、材料、デバイス)で稼いでいるかを見定める上での重要な資料となる。

参考リンク

統計(一次情報・公的機関)

定義(品目区分の説明)

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