2025年のSEMICON Westマーケットシンポジウムでは、一流のアナリストや戦略家が集結し、世界の半導体市場を形作る強力な要因を解読しました。プログラムの中心となったのは、地政学、貿易政策、そしてAI主導の投資からの影響です。
10月6日にアリゾナ州フェニックスで開催されたこのシンポジウムでは、SEMI市場情報担当シニアディレクタのClark Tsengが司会を務め、SEMI、Integrated Insights、Boston Consulting Group、Kearney、PwC、WSTS、TechSearchの専門家が、関税から技術競争まで、世界的な変化がどのようにサプライチェーンの強靭性や地域競争力を再定義しているかについて見解を共有しました。
米国の半導体貿易動向
米国の地政学的状況が複雑化する中、Boston Consulting Groupのグローバルトレード&インベストメント部門アソシエイトディレクタであるIacob Koch-Weser氏は、関税が米国産業に与える影響について説明しました。
米国の平均関税率は、同氏によると過去75年間で最も高い水準にあるといいます。半導体業界は他産業ほど高関税の影響を受けていませんが、政権が通商拡大法232条を拡大し、鉄鋼・アルミニウムおよびその派生品の関税を50%に引き上げると、状況が変わる可能性があります。Koch-Weser氏は、232条関税に関する4つのシナリオを提示し、適用を限定的にすることが理想であると強調しました。
半導体インセンティブを優先して関税の優先順位が下がる可能性
同盟国に対する特別な免除措置を講じる可能性
高関税を課しつつ限定的な例外を設ける可能性
関税率を100%に引き上げる可能性
関税の不確実性に企業が対応するため、Koch-Weser氏は方針の再構築、貿易コンプライアンスの徹底、可能であればサプライチェーンの再編を検討すべきだと提言しました。また、今後18~24か月で起こり得る米国貿易の4つのシナリオも示しました。
米国が独自のシステムを運用し、他国はWTOルールに従う可能性
北米諸国が強固なブロックを形成し、他国は北米同盟かWTO基準かを選択することになる可能性
各国が新たなブロックや特恵協定を形成し、複数の経済圏を生みだす可能性
世界的な協力体制が崩壊し、各国が自力で身を守ることを余儀なくされる可能性
総合的には、米国は依然として半導体投資に魅力的な市場であり、現政権は先端技術を国内に取り戻す重要性を認識しているとKoch-Weser氏は強調しました。
不確実性を乗り越える:AI主導の成長と米国半導体製造のルネサンス
関税に関する議論を引き継ぎ、SEMIのClark Tsengは米国半導体産業の現状を4つの重要領域に分割して説明しました。
短期的な経済不確実性:米国の関税政策はインフレ圧力と世界の貿易パターンの変化を招き、それによる国境を越えた不確実性が投資を減速しています。2025年1月に70億ドルだった米国の関税収入は、8月には295億ドルに増加し、企業は利益率を犠牲にすることで対応しています。
AIがすべてを変える:2028年まではAI関連のクラウドインフラ投資が堅調に成長することを指摘したTsengは、2030年にはAIが半導体設備投資の半分近くを推進すると述べました。AIはデータセンターだけではなく、さらにエッジコンピューティングやエンドポイントデバイスへと広がっています。
半導体製造装置市場の予測:今後3年間の装置市場は堅調な見通しであるとTsengは報告しました。ただし、AIの投資や実装の遅れが最大のリスクとなります。さらに、米国の輸出規制や地域サプライチェーンの変化にも対処しなければなりません。昨年は、中国が最大の装置市場でしたが、今後はより広範な市場調整の中で正常化が進むことが良そうされます。台湾と韓国はAIチップやHBM需要にけん引され、前年比で最も強い成長を遂げました。
材料市場の見通し:シリコンウェーハの出荷面積は、2025年第2四半期に旺盛な成長をしましたが、Tsengによると、これは関税がひとつの要因とする予想外のものでした。300mmウェーハが2025年に7%の成長を見込む一方、200mmウェーハの出荷面積は減少することが予測されます。また、ウェーハ材料市場全体でも今年は6%の成長が見込まれています。さらに、ウェットケミカルは2025年に16%の成長を記録する他、シリコンウェーハ、フォトリソグラフィー材料、CMP材料も回復傾向にあります。
半導体市場の現状と展望
WSTSのCEOであるTobias Pröttel氏は、業界の回復が順調に進んでいると述べました。WSTSの最新統計によると、2025年上半期の世界半導体売上は前年比19%増となりました。AIが主導するインフラや次世代データセンターの旺盛な需要に支えられ、上半期売上はトータルで3,460億ドルに達しました。好調な上半期を受け、WSTSは2025年通年予測を前年比15%増の7,280億ドルに上方修正し、2020年代末までに1兆ドルへ到達する軌道に沿って、2026年には約8,000億ドルに達すると予測しています。
ロジックとメモリが、GPU、AIアクセラレータ、HBMにけん引されて引き続き成長をリードする一方、他の製品カテゴリにも最近の低迷から着実に回復を見せています。成長は特定の地域に偏らず、米州、中国、アジア太平洋で二桁増を記録し、半導体バリューチェーン全体にわたる世界的な強い勢いが反映されています。
主要経済地域による半導体への戦略的アプローチ
Pröttel氏に続いて、Kearney社PERLab担当副社長、Sanjay Kumar氏が、韓国、日本、台湾、インドにおける半導体投資環境の概要を説明しました。
韓国は現在、メモリ分野での優位性維持、ロジック分野への多角化、サプライチェーンの現地化、先進的パッケージング能力の拡大、そしてスタートアップ企業への投資に注力しています。Kumar氏は、米国の直接的な補助金提供とは対照的に、韓国では融資を提供するというアプローチをとっている点を指摘しました。また、韓国政府は自国企業の成長戦略に積極的な役割を果たしているのに対し、米国はこの点でより受動的なアプローチをとっていることにも言及しました。
日本は材料やメモリといった主要分野でリーダーシップを強化しており、Kumar氏はさらに、先進的パッケージング能力の増強に向けた同国の取り組みにも言及しました。日本は補助金、融資、税額控除などを組み合わせた支援策を通じて、産業の成長を目指しています。中でも、TSMCへの50%の補助金(過去最大規模)や、Rapidusへの40億ドルの補助金などが注目されます。
台湾の半導体産業は、国家安全保障の要となっています。土地、電力、水資源が限られている台湾が現在注力しているのは人材育成だとKumar氏は指摘しました。政府は研究開発(R&D)と設備投資に対する税額控除を提供し、R&Dプロジェクトの費用の最大50%を負担しています。
インドの優遇措置は世界で最も野心的なもの一つだとKumar氏は述べました。インド半導体ミッション(ISM)を通じて、同国は半導体エコシステム全体を網羅する取り組みの一環として、20~30%の州補助金に加え、50%の連邦補助金を提供しています。ルネサス、CG Power and Industrial Solutions、Stars MicroelectronicsによるOSAT新工場建設の合弁事業など、インドの成功事例が紹介されました。
台湾から見た米国における新政策への適応と半導体業界の動向
台湾は米国にとって重要な貿易相手国であり、2025年7月時点での総貿易額は第4位となっています。台湾が米国のチップエコシステムで強固な地位を占めていることを踏まえ、PwC Taiwanの国際税務サービス担当シニアマネージャー、公認会計士のPaul Poliakov氏は、台湾企業による米国投資に関するボトルネックと進展の両面について詳述しました。
投資上のボトルネックとして指摘されたのは、米国における建設コストの高さ、新規参入企業にとって障壁となりうる多重のコンプライアンス要件、そして複雑なビザおよび税制規制などです。さらに、半導体に関する米国通商拡大法232条にもとづく調査が進行中であり、複数の政策変更が実施される可能性があります。
審議中の「米国・台湾二重課税救済促進法」は負担軽減に繋がる可能性があるものの、2025年10月現在、米国上院ではまだ可決に至ってはいません。可決されれば、台湾の個人および企業に対する優遇措置が米国税制に組み込まれ、製造、サービス、流通をはじめ、幅広い産業分野における台湾の対米投資に大きな恩恵をもたらす可能性があります。Poliakov氏は、企業が投資戦略の柔軟性を維持し、投資優遇措置を提供する米国の州政府や地方政府と連携し、規制遵守を確保するために専門家と協力するよう提案しました。
先進パッケージングの地政学的変化
2025年市場シンポジウムの最後の講演者、TechSearch International創設者兼社長のJan Vardaman氏は、現在の先進パッケージング市場の概要を説明しました。先進パッケージングは業界で最も成長率の高い分野ですが、Vardaman氏はパッケージの複雑性も急増していることを強調しました。将来のパッケージングニーズに対応するには、研究開発、試験、そして装置サポートインフラがますます重要になります。
組立工程の大半はアジアで行われているものの、変化の兆しは、Amkor、TSMCなどの米国内の先進パッケージング工場に現れている。しかし、Vardaman氏は、高密度アプリケーションに必要なビルドアップフィルムを用いた先進IC基板の生産能力が米国にはほぼ存在しないことを指摘しました。さらに、米国国内にシリコンファブを増設しても、国家安全保障やサプライチェーンの懸念は解決されないと強調しました。
米国が持続可能なパッケージングエコシステムを構築するには、組立工場への支援が不可欠だとヴァーダマン氏は結論づけました。最終的には、サプライチェーンのレジリエンスと国家安全保障上の利益を優先し、企業が米国製パッケージングの追加価格を負担する意思を示す必要があります。
Clark TsengはSEMIの市場情報チーム(MIT)のシニアディレクタです。Nisita RaoはSEMIのプロダクトマーケティング担当ディレクタです。
SEMICON JapanのマーケットフォーラムがAIと地政学が駆動する半導体市場を分析
本稿を執筆したClark Tsengが講演および司会を担当するSEMIマーケットフォーラムが、SEMICON Japanにおいて12月18日(木)に開催されます。その他の講演者は、AMDのMario Morales氏、モニターデロイトの柴田宗一郎氏、OMDIAの南川明氏が登壇し、それぞれの専門の立場からAI時代の半導体市場と潜在リスクを論じます。詳細ならびにお申込みについてはこちらをご覧ください。
出典: 元記事を読む
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