EUは2025年9月、自国よりも炭素価格が低い国から輸入される鉄鋼、セメント、アルミニウムなどの特定の製品に対して、製品に組み込まれた温室効果ガスの排出量に応じて課金する制度である「炭素国境調整メカニズム(CBAM)」の簡素化規則で政治合意に達し、9月29日に理事会が採択、10月20日に官報公示・発効した。公示の3日後に発効し、本格運用は2026年1月から始まる。
簡素化の核は年間50tの非課税基準しきい値の導入で、CBAM対象品(鉄鋼・アルミ等)の輸入が年50t未満の小口輸入者は主に事務負担を軽減される。一方で、対象排出の約99%は大口側に集中しており、実際に環境負荷を低減し、環境目標を達成する効果的は維持される。
価格は、CBAM証書の価格はEU排出量取引制度の“週平均”を参照したうえで決定される。半導体(HS85)は現行で直接対象外だが、装置・治具に含まれる鉄鋼・アルミ、建屋のセメント、工場の電力、欧州向け海運などからによる“周辺CO₂”が見積・契約・監査の中で数値化され、TCO(総保有コスト)に直結することになる。
本稿は、このようなEUの“炭素国境”化が半導体の購買力にどういった影響を与えるか、を考察する。
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