【後編】挑戦が未来を磨く ― 技術者が語る、日本半導体の再生と次世代への継承

SEMICON.TODAY

NANDが灯した再挑戦 ― 現場から見た半導体の再生

取材・文:SEMICON.TODAY編集部

■ プロフィール

長谷川 功宏(はせがわ・のりひろ)氏
1982年大阪大学工学部卒業後、東京芝浦電気株式会社(現・東芝)入社。プラズマを用いた微細加工技術開発に従事。IBM、Siemensとの共同開発を経て、四日市工場でDRAM・NAND Flashメモリーの量産技術を担当。
2007年博士(工学)取得。東芝執行役常務、上席常務として生産企画・調達・生産技術を統括。現在は株式会社ジェイテックコーポレーション社外取締役のほか、名古屋大学低温プラズマ科学研究センター客員教授、大阪大学工学部招聘教授として産学連携にも携わる。

プラズマ微細加工との出会い

「現場に立つと、すべてが理屈通りにはいかない。そこが面白いんです。」
東芝入社直後、長谷川氏が任されたのはプラズマを用いた微細加工の開発だった。1980年代初頭、LSIの微細化が急速に進み、1ミクロン以下の加工精度が求められる時代が始まっていた。

「プラズマは気まぐれなんです。理論では説明できない挙動が多く、実験データの積み重ねでしか前に進めない。当時は装置の癖を体で覚えるしかありませんでした。」

彼はIBMやSiemensとの国際共同開発にも携わり、研究室での理論と量産現場のギャップを痛感する。
「研究で得た理想的なプロセス条件が、実際の量産では通用しない。現場で使える技術に落とし込むには“翻訳力”が必要なんです。」

この経験が、のちのキャリア全体を貫くテーマ――“技術を現場で生かす力”の原点となった。

続きを読むには・・・

業界の第一線で役立つ情報を、
無料会員限定で公開中。

TOP
CLOSE
 
SEARCH