この記事のポイント
- 量子コンピュータのデータセンター機能を持つQRAMの拡張が、量子ルーターの規模拡大に伴う配線深度の増加で困難でした。
- 本源量子らが開発した「相関量子ルーティングシステム」は、超伝導量子ビットの補助準位を利用し、配線深度を大幅に削減します。
- 「本源悟空」上での実証実験では、高い情報伝達効率と保真度を達成し、QRAM拡張の可能性を示しました。
- この技術は、既存の超伝導ハードウェア上でのスケーラブルなQRAM構築に新たな道を開きます。
- 中国の量子計算研究が、性能最適化から複雑な量子機能の現実ハードウェアへの実装検証段階へと進んだことを示します。
量子コンピュータのデータセンター「QRAM」拡張の課題
記者2日、安徽省量子計算チップ重点実験室からの情報によると、本源量子は中国科学技術大学、合肥総合国家科学センター人工知能研究院などの研究チームと協力し、自主開発した超伝導量子コンピュータ「本源悟空」上で、バケット型量子ランダムアクセスメモリ(QRAM)向け「相関量子ルーティングシステム」を開発しました。これは、データセンターに「高速道路」を敷設するようなもので、QRAM拡張における業界の難題を効果的に解決しました。関連論文は、国際学術誌「Physical Review X」に掲載されました。
量子コンピュータを「スマートシティ」に例えるならば、QRAMはその中でもデータを保存・スケジューリングする「データセンター」に相当します。QRAMは、量子探索や量子機械学習などのアルゴリズムを実現するために不可欠な機能モジュールです。その中核となるのが量子ルーターであり、アドレス指示に従ってデータを正確にターゲット位置に送信する役割を担います。しかし、ルーティングネットワークの規模が大きくなるにつれて、従来の方式ではノードが1つ増えるごとに大量の標準量子ゲートを用いて指令を階層的に分解する必要があり、配線深度の劇的な増加と誤差の累積を招き、QRAMの拡張を制限していました。
「相関量子ルーティングシステム」によるブレークスルー
この難題に対し、研究チームは補助準位を利用した量子ルーター構築方案を提案しました。「相関量子ルーティングシステム」は、超伝導量子ビットの補助準位を活用することで、複雑な制御交換操作を、少数の2量子ビット遷移ゲートで構成される浅い配線で等価的に実現します。これは、混雑したデータチャネルの上に「高速道路」を建設し、データが冗長なノードを迂回して直接目的地に到達できるようにするようなもので、配線深度を大幅に削減し、誤差を低減します。
「本源悟空」上での実証実験とその成果
研究チームは、「本源悟空」自主開発超伝導量子コンピュータ上で、3つの独立した量子ルーターと2層の量子ルーティングネットワークを実際に構築してテストを行いました。その結果、単一の量子ルーターにおける情報伝達効率は98%に達し、2層ルーティングネットワーク全体の伝達効率も93%を達成しました。ランダムアクセス試験では、単一量子ルーターの平均忠実度は94.8%、2層ルーティングネットワークの平均忠実度は82.4%に達しました。これらのデータは、本方案が量子アドレスによって制御される相関的かつ可逆的なルーティングを実現し、より大規模なネットワークへの拡張ポテンシャルを持つことを示しています。
今後の展望と重要性
研究者によると、今回のブレークスルーは、既存の超伝導ハードウェア上にスケーラブルなQRAMを構築するための新たな経路を提供するだけでなく、中国の量子計算研究が単一性能の最適化から、複雑な量子機能を実際のハードウェア上で検証する段階へと進んだことを象徴しています。量子デバイス自体の特性に依存することで、より低コストで高効率な演算が実現可能となり、量子チップと配線の協調最適化に向けた新しいアイデアを生み出すものと期待されます。(記者:呉長鋒)
出典: 元記事を読む
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