この記事のポイント
- 「10分で1500km走行」という固態電池への期待は、現時点では「美好な理想」であると中国の専門家が指摘。
- 固態電池の産業化は2030年頃になると予想され、それまでの数年間は大規模な実用化は難しい見通し。
- 現状、固態電池は実験段階や小規模生産に留まっており、車載用量産にはエネルギー密度やコストなどの課題が大きい。
- より現実的な選択肢として、ナトリウムイオン電池が注目されており、低コスト・高安全性・広温度域といったメリットが期待されている。
固態電池への過熱気味な期待に待った
「10分で1500km走行」という、電気自動車(EV)の充電時間と航続距離を劇的に改善する可能性を秘めた固態電池。この革新的な技術への期待は近年、インターネット上で急速に高まっています。今年4月には、ある企業が「新世代超急速充電バッテリー」で6分間の満充電と1500kmの航続距離を実現すると発表。7月には、東風汽車が開発した固態電池が極寒テストをクリアし、10分で1200kmの航続距離を回復できるというニュースも報じられました。さらに、トヨタ自動車も次世代固態電池で1500kmの航続距離と10分での充電が可能になると公言しており、これらの情報が相まって、「固態電池がEV体験を根底から覆す」という期待が煽られていました。
専門家が語る、固態電池の実用化時期
しかし、中国科学院名誉主席である万钢氏は、こうした過熱気味な期待に対し、「これはあくまで美好な理想(素晴らしい理想)」であると明確に述べました。中国の新エネルギー自動車戦略を長年主導してきた権威ある専門家である万氏の見解によれば、固態電池の産業化は2030年頃になると予想されています。これは、今後3〜4年間は固態電池を大規模に自動車に搭載して量産することは難しいということを意味します。
量産化に向けた課題は依然として大きい
現在、業界内で見られる固態電池の多くは、まだ実験室での検証段階や小規模な試作段階にあります。エネルギー密度、充放電サイクル寿命、製品の良品率、そしてコスト管理といった、車載用量産に不可欠な主要な指標は、依然として実用化には大きな隔たりがあります。
現実的な選択肢としてのナトリウムイオン電池
一方で、万氏は現在より現実的なバッテリー技術の方向性として、ナトリウムイオン電池の発展に大きな期待を寄せています。ナトリウムイオン電池は、リチウムイオン電池と比較して、低コスト、高い安全性、そして広い温度域での使用が可能であるという利点があります。特に、商用車や極寒地域での応用が期待されています。昨年4月には、CATL(寧徳時代)が新世代ナトリウムイオン電池製品を発表し、ナトリウムイオン電池は急速に大規模生産段階へと移行しています。リチウム資源が輸入に依存しているのに対し、ナトリウム資源は埋蔵量が豊富で価格も安価です。さらに、北方の極寒地域における冬場の性能低下がリチウム電池よりもはるかに小さいとされており、新たな市場を開拓する重要な技術的方向性として注目されています。
出典: 元記事を読む
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