AIブームで激化!世界の記憶体半導体5大巨頭の投資合戦

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この記事のポイント

  • AIブームにより、世界の記憶体半導体市場に巨額の投資が流入
  • DRAMおよびNANDフラッシュ市場は、Samsung、SKハイニックス、マイクロン、キオクシア、ウェスタンデジタル(サンディスク)の5社で約9割を占める
  • 記憶体半導体メーカーの自由資金流は前年同期比92倍増の14.8兆円に達する一方、米大手IT企業の自由資金流はマイナス
  • キオクシアは資金力で日米韓勢に追いつくのが困難と認識、技術優位性の蓄積に注力
  • 中国の長鑫存儲技術(CXMT)がDRAM市場に参入、新たな競争要因に

AIブームが記憶体半導体市場を牽引

世界的なAI(人工知能)ブームを背景に、米国のIT大手各社が記憶体半導体(ストレージチップ)大手に巨額の資金を投じています。競争激化の中、各社は投資を加速させていますが、AIの成長性や収益性についてはまだ不透明感が残っており、関連企業の株価は大きく変動しています。

記憶体半導体メーカーであるキオクシアホールディングスの河村芳彦副社長は、「(自律的に判断する)『エージェントAI』の普及拡大を背景に、記憶体半導体の需要はまだ始まったばかり」と、将来への強い楽観的な見方を示しています。

この流れの起点となっているのは、米IT企業を中心としたAIへの巨額投資です。AIを駆動させるデータセンターでは、記憶体半導体が情報の保存を担っており、IT企業がAIに投じる投資額がそのまま記憶体半導体の需要の強さにつながります。

記憶体半導体市場の寡占構造と資金の流れ

記憶体半導体市場の高度な寡占構造も見逃せません。短期的な記憶を担うDRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ)市場では、韓国のサムスン電子、SKハイニックス、米国のマイクロン・テクノロジーの3社で世界シェアの約9割を占めています。一方、長期的な記憶を担うNAND型フラッシュメモリ市場では、これら3社に加え、キオクシアと米国のウェスタンデジタル(サンディスク)の5社で約9割を占めています。

これら5大巨頭の2026年4~6月期(マイクロンは3~5月期、サンディスクは市場予想)の決算を合算すると、経営活動によるキャッシュの収支を示す営業キャッシュフローと、設備投資などの収支を示す投資キャッシュフローを足し合わせたフリーキャッシュフロー(純キャッシュ収支)は、前年同期比92倍増の14.8兆円の黒字となりました。

同期間、米国の4大IT企業(アルファベット、マイクロソフト、アマゾン、メタ)のフリーキャッシュフローはマイナスとなっています。これは、データセンター投資のためにIT企業から流出した資金が、記憶体半導体市場へと流れ込んでいる構図を示しています。

記憶体半導体価格の高騰と巨額投資

記憶体半導体価格の急騰も、この流れを後押ししています。調査会社集邦諮詢(エナジープラス)によると、4~6月期にはDRAMとNANDの価格が前年同期比で5~6割上昇しました。データセンター向け製品だけでなく、一般消費者向け製品の価格も上昇しています。

各メーカーは、急増したキャッシュを原資に、巨額の設備投資を計画しています。6月下旬、サムスンとSKは、韓国国内に4つの半導体工場を新設し、今後5年間で韓国国内の記憶体半導体生産能力を倍増させる計画を発表しました。

マイクロンも7月、2035年まで米国国内の記憶体半導体生産および研究開発に2500億ドルを投資すると発表しました。

キオクシアの課題と戦略、そして新たな競合

日本国内唯一の上場記憶体半導体企業であるキオクシアにとって、資金力で日米韓勢に追いつくことは極めて困難です。

キオクシアの4~6月期のフリーキャッシュフローは7490億円の黒字で、前年同期比28倍増となりましたが、サムスン(約6兆円)、SK(約4兆円)には遠く及びません。2028年度までの設備投資計画も約1.4兆円にとどまっており、日米韓の競合他社と比較して一桁異なります。

キオクシアも、自社が直面する課題を認識しています。重要なのは、米半導体大手エヌビディアとの協業です。河村氏は、「市場シェアを盲目的に追いかけるための投資ではなく、技術的な優位性を着実に積み上げていくべきだ」と述べています。

新たな競合企業も浮上しています。DRAMに特化した中国の記憶体半導体大手、長鑫存儲技術(CXMT)の親会社が7月27日、上海証券取引所に上場しました。同社は生産能力を3倍以上に引き上げる計画です。

市場の楽観論と潜在的リスク

現在の需給逼迫状況を踏まえ、記憶体半導体市場の見通しに楽観的な見方を示す声は少なくありません。一方で、需要側の米IT企業の投資姿勢が変化した場合、記憶体半導体メーカーの業績に少なからず影響を与えることは避けられません。これは、IT企業への過度な依存が、将来的な反動リスクにつながる可能性もはらんでいます。

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