この記事のポイント
- ソニーが業界最速※1の撮像速度と低ノイズ性能を両立したX線CMOSイメージセンサー『IMX711』を商品化。
- 広範囲なダイナミックレンジと光子単位のデータ取得を1チップで実現し、検査・計測技術の高度化に貢献。
- 電池・半導体検査、材料開発、生命科学研究など、多様な分野での応用が期待される。
- 理化学研究所との共同開発により、高感度化、X線照射耐性、高電圧耐性を実現。
ソニー、新X線CMOSイメージセンサー『IMX711』を発表
ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社は、検査・計測機器向けに、業界最高※1の撮像速度と低ノイズ性能を両立した直接変換積分型X線CMOSイメージセンサー『IMX711』を商品化し、量産出荷を開始しました。この新製品は、X線を直接受光し、そのエネルギー量に比例した信号を出力する革新的なセンサーです。
革新的な性能で検査・計測の可能性を広げる
『IMX711』は、独自の回路技術などを駆使し、業界最速※1となる最大毎秒26,100フレームでの高速撮像を実現しました。これにより、電荷の飽和を抑えた正確な測定が可能となり、ノイズ発生を大幅に低減することで、低照度下での信号検出精度が向上し、微小な光子エネルギーの差をとらえることができます。これにより、従来のセンサーでは両立が困難だった、広いダイナミックレンジでの高精度なX線の総エネルギー量の測定と、光子単位でのエネルギー情報の取得を、一つのセンサーで実現しました。これは、X線検査・計測技術の高度化と多様化に大きく貢献します。
幅広い分野への応用が期待される
X線を用いた検査・計測は、電池や半導体などの先端デバイスの検査、材料開発、生命科学研究など、幅広い分野で活用されています。AIを含むデータ解析技術の進化に伴い、X線センサーにも効率的で信頼性の高いデータ取得性能が求められています。本製品は、最大26,100fpsの高速フレームレートと、34e-rms※4の低ノイズ性能を両立することで、これらの技術的課題に対応します。
具体的には、以下のような応用が想定されています。
- 電池・半導体などの高速動体検査における定量精度やスループットの向上
- 光子エネルギーの違いと二次元分布を可視化する元素マッピング
- 光子エネルギー情報とエネルギー情報と空間情報の活用による結晶構造解析と元素分析の同時測定
主な特長
業界最高速度と低ノイズを両立した撮像
ソニー独自の回路技術により、最大26,100fpsの業界最速※1フレームレートを達成。1フレームあたりの電荷蓄積量を低減し、高い飽和特性を実現しました。同時に、ランダムノイズを34e-rms※4まで低減。これにより、微弱なX線信号もノイズに埋もれず検出でき、X線光子単位でのエネルギー測定が可能になります。低照度から高照度まで正確な測定ができ、照度差が大きい検査にも単一センサーで対応し、装置のスループット向上やダイナミックレンジ拡大に貢献します。
高いエネルギー分解能による高度な検査・計測への応用
積分型方式を採用し、事前の閾値設定なしに光子のエネルギー情報を取得可能。ノイズや信号のばらつきを抑えた読み出しにより、高いエネルギー分解能を実現し、光子エネルギー値の違いを明確に捉えます。これにより、元素レベルでの構成要素の違いや僅かな状態変化を定量評価する構造解析や材料分析など、従来複数回の測定を要していた高度な検査・計測の精度向上や効率化に貢献します。また、全画素の測定データを収集し、空間情報と組み合わせたり、特定のエネルギーデータを抽出したりするなど、検査・計測の多機能化にも貢献します。
理化学研究所との共同開発による高精度化
本製品の開発は、ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社と理化学研究所が共同で行いました。理化学研究所の初井宇記博士により発案された画素構造を基盤に、高感度化、高いX線照射耐性、高電圧耐性を実現するための技術開発に共同で取り組みました。ソニーは、回路技術に加え、製造プロセスやパッケージング技術を開発することで、本製品の量産化を実現しました。
『IMX711』は、2026年度第1四半期からの量産出荷が予定されています。
『IMX711』製品ページ: https://www.sony-semicon.com/ja/products/is/scientific/x-ray.html
出典: 元記事を読む
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