この記事のポイント
- 国家政策による後押しと大手テック各社の設備投資拡大により、計算能力インフラの需要が急伸しています。
- AIモデルの訓練から推論側への需要シフトが進み、実運用シーンの拡大が新たな成長曲線を形成しています。
- 「創業板算力インフラ指数」に連動するETFなど、関連インフラに特化した指数化投資ツールへの資金流入が加速しています。
政策・資本・需要の三位一体で高まる計算インフラ需要
計算能力(演算性能)は、2026年の世界資本市場において避けて通れない重要キーワードです。北米クラウド大手4社による設備投資計画の上方修正から、中国国内におけるインテリジェント計算能力規模が前年比87.9%増と力強い成長を見せている予測に至るまで、計算インフラ分野の好況は期待先行から現実のものへと移行しています。
一般の投資家にとって計算能力の産業チェーンは細分化されていて複雑であり、適切な細分化セクターを選択することは容易ではありません。こうしたなか、今年9月には「創業板算力インフラ指数」に連動する中国市場初の計算能力テーマETF10本が一斉に登場し、中国国内の計算能力産業チェーンへ一括で投資できる指数化ツールを提供しました。なかでも「創業板算力ETF易方達(158050)」は応募者数が1万8,161口座に達し、初回組成された計算能力ETFのなかで首位となりました。
中国工業情報化部のデータによると、今年6月末時点で中国全土の計算能力ハブを結ぶ主要ネットワーク回線は70本以上整備され、全国一体型の計算能力ネットワークの構築が加速しています。
政策面では、トップダウンによる基本方針の強化が続いています。先ごろ発表された「情報通信業界発展『第15次5カ年計画』」では、2030年までにインテリジェント計算能力の規模を9,800EFLOPS、先進ストレージ容量を1,700EBに引き上げ、2025年比でそれぞれ5倍超および2倍超に拡大する目標が明記されました。この目標は、今後5年間にわたりインテリジェント計算能力が年平均約40%の複合成長を維持することを意味します。さらに今年以降、国から地方自治体に至るまで計算インフラを支援する政策が相次いで施行され、戦略的地位が一段と向上しています。
資本面でも、計算インフラは新たな投資のピークを迎えています。阿里(Alibaba)を例に取ると、今年の雲栖大会(Apsara Conference)において、AIモデル、AI半導体チップ、AIクラウドの3大領域に関する最新進捗が集中して発表されました。傘下の半導体企業である平頭哥(T-Head)は、自社開発したAI半導体チップ「真武V900」を発表しました。このチップは前世代の「真武M890」の3倍の計算能力を持ち、単一クラスタで最大50万基まで拡張可能です。また、新アーキテクチャに基づく「Qwen4」大規模言語モデルの訓練が進んでおり、将来的にはQwen4.5やQwen5などのバージョンで5兆から10兆パラメータ規模へ拡張される予定です。阿里はさらに、2032年までに阿里云(Alibaba Cloud)が運営する世界データセンターの総規模を20GW超とする目標を掲げています。
業界トップ企業による開発競争も激化しています。华为(Huawei)の昇騰(Ascend)エコシステムの拡大が続き、百度(Baidu)の昆侖芯第3世代の量産が進展しているほか、字節跳動(ByteDance)や騰訊(Tencent)といった大手インターネット企業も大規模な計算インフラの調達を実施しています。海外市場においても、マイクロソフト、グーグル、アマゾン、Metaのクラウド大手4社は2026年の設備投資について前年比約30%増を見込んでおり、その大半がAI計算インフラへ投じられる見通しです。
需要面に目を向けると、AIアプリケーションがPoC(概念実証)から本格的な業務環境への導入へと進むにつれ、計算能力への需要は集中型の学習(トレーニング)から高頻度の推論(インファレンス)およびマルチシナリオでの呼び出しへと広がっています。自動運転におけるリアルタイムの検知・意思決定や、金融分野の高度リスク管理、産業製造ラインでのAI外観検査に至るまで、推論側における需要の爆発的増加が産業チェーンの第二の成長曲線を拓いています。市場では、演算処理、データセンター、電力インフラの協調的な投資拡大が加速し、業界の高い景況感が維持されるとの見方が大勢を占めています。
業界関係者は、直近でAI計算能力セクターの株価調整が見られたものの、市場全体の慎重姿勢やこれまでの急上昇に伴う利益確定売りによるものであり、インフラ整備における中長期の成長ストーリーに変化はないと指摘しています。指数連動型投資の観点からは、株価調整後のバリュエーション低下により、むしろ中長期的な仕込みに適した価格帯が提供されているといえます。
指数化ツールでインフラ投資の機会を捉える
計算インフラへの投資は、本質的にAI産業チェーンのなかで「確実性の高い領域」を見極める作業といえます。大規模言語モデルの技術トレンドが激しく変化し、アプリケーション側の競争優位がまだ確立されていない段階においては、「ツルハシを売る(ゴールドラッシュ時の道具売り)」ビジネスの方が高い視認性を持ちます。どのモデル開発会社が勝者になろうとも、計算インフラに対する需要は高水準で持続するためです。
データセンター内のハードウェア需要を捉えるうえで、「創業板算力インフラ指数」は重要な指標の一つとなります。金融情報サービスWindのデータによると、同指数は創業板(ChiNext)市場のなかから、計算インフラ領域で時価総額が大きく流動性に優れた有力銘柄50社を選定しており、計算、ネットワーク、ストレージ、保守管理(運用)などの主要工程を網羅しています。組み入れ上位銘柄には協創データ、太辰光、網宿科技などが含まれ、ストレージやPCB、通信といった細分化領域のトップ企業が顔を並べています。
今年9月には、同指数に連動する「創業板算力ETF易方達(158050)」をはじめとする10本のETFが発売されました。なかでも創業板算力ETF易方達の応募口座数は1万8,161口座と首位を記録しました。10月に入ってからも(10月15日時点)、同ETFには月間約1億4,000万元の純資金流入があり、同種のETF内で首位を維持しています。
また、創業板に上場する銘柄は日々の値幅制限が20%に設定されているため、連動するETFも価格弾力性が高くなります。計算能力産業に期待を寄せ、相応のリスク許容度を持つ投資家にとっては、上昇局面で機動的なリターンが期待できる一方、調整局面では変動が大きくなる点への留意が必要です。
ETFのラインナップ拡充がハードテック投資の間口を広げる
易方達をはじめとする中国の大手資産運用会社は、計算インフラのみならず、AIの各細分化領域を網羅するETFのラインナップを整備しており、ハードテック分野へ多角的にアクセスできる環境を整えています。
例えば易方達基金では、新設された創業板算力ETFのほかに、AI産業全般をカバーする「人工知能ETF易方達(159819)」や、半導体チップ全般を対象とする「科創芯片ETF易方達(589130)」「芯片ETF易方達(516350)」、さらに設計や製造装置に特化した「科創芯片設計ETF易方達(589030)」「半導体設備ETF易方達(159558)」などを展開しています。
資金動向を見ても、ETFはハードテック領域へ投資するための主要な選択肢として定着しつつあります。易方達の製品では、年初から10月14日までの期間に「半導体設備ETF易方達(159558)」への純流入額が186億元に達し、株式ETF全体で上位5位に入りました。また、「科創芯片ETF易方達(589130)」も年初来の純流入額が40億元を超え、同指数を対象とするETFでトップとなっています。
これは、投資先を個別銘柄からETFへと置き換えるメリットが評価されている表れといえます。近年、大手運用会社は産業チェーンを詳細に分解し、より純度が高く特化した指数商品を組成することで、投資家が個別株リスクを抑えながら産業成長の果実を享受できるよう支援しています。
政策による支援から企業の設備投資、モデル学習から推論の実装に至るまで、計算インフラは長期的な成長軌道の起点に立っています。技術の進化スピードが速い領域であるからこそ、個別銘柄を追うよりも、透明性が高く低コストな指数化ツールを活用して長期の成長機会を捉えるアプローチが有効視されています。
出典: 元記事を読む
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