速報一覧へ戻る
BREAKING ビジネス 技術

テニスロボットが切り拓く具身AIの新境地:深センのサプライチェーンが生んだ身体性AIの挑戦

2026.09.30
この記事を読むのにかかる時間: 3 分

この記事のポイント

  • 二輪足式の具身テニスロボット「TENNIIX ULTRA MAX」が元プロテニス選手と対決を披露
  • シミュレーション技術と深センのサプライチェーン連携により、わずか2カ月強で試作機を開発
  • スポーツは境界が明確で商業化モデルも成立しやすく、具身AI(Embodied AI)の理想的な実験場
  • 記号処理の盤上ゲームから、重力や摩擦が存在する物理世界でのリアルタイム制御へとAIが進化

わずか2カ月強で試作機を完成させた「深セン速度」

深センで開催された2026年ビリー・ジーン・キング・カップ決勝戦において、女子テニスの熱戦と並び、注目の「人機対決」が春繭体育館で繰り広げられました。引退した元プロテニス選手の王薔(ワン・チャン)氏の対戦相手となったのは、二輪足式の具身テニスロボット「TENNIIX ULTRA MAX」です。ロボットは自律移動しながら球筋を変え、フラット、トップスピン、ロブ(ムーンボール)を打ち分けました。

このロボットは、深セン企業の英漢思動力(Bioniks)と逐際動力(LimX Dynamics)が共同開発したものです。英漢思動力が打球を行う「上半身」を、逐際動力が移動を担う「下半身」を担当しました。プロジェクトの立ち上げから試作機の完成まで、要した期間はわずか2カ月強でした。

英漢思動力の創業者である朱瀚琦氏によると、ロボットは2本足で立つことで打球点の高さを1.2mまで確保でき、今後は屈伸や跳躍によって1mから1.8mの間で制御できるようになる見込みです。ネットより高い位置から打ち下ろすことで、攻撃的なショットが可能になります。

開発チームはシミュレーションツールチェーンを活用し、仮想環境で膨大なアルゴリズムの試行錯誤を事前に行うことで開発期間を大幅に短縮しました。さらに、珠江デルタ地域のサプライチェーンの集積を活かし、設計から加工・テストまでの反復サイクルを2週間に凝縮したことで、短期間での開発を実現しました。ただし、市場投入に向けては製造性や保守性、コスト管理などの課題があり、量産化にはさらに8〜10カ月を要する見通しです。リアルタイムな環境認識や動作分析には、端末側の半導体チップやクラウド側の高い演算性能が求められています。

ロボット企業がスポーツ分野に注力する3つの理由

北京で開催された第2回世界人型ロボット運動会をはじめ、近年多くの具身AI企業がスポーツ領域に参入しています。朱氏は、スポーツが具身AIにとって「天然の実験場」である理由として以下の3点を挙げています。

  • ルール境界とデータが明確:家庭環境や都市空間と異なり、スポーツはルールが明確でデータの次元が管理しやすく、参加者の意図も純粋で予測しやすい特性があります。
  • 過酷な統合ストレステスト環境:マシンビジョンによるリアルタイム認識、頭脳による迅速な意思決定、身体による高速実行、さらに現実世界の微小な外乱処理までを極めて短い時間で完結させる必要があります。
  • 自立的な商業エコシステムの構築:スポーツ利用者は対価を支払う意欲が高く、得られた収益を技術開発へ還元できます。事業を成立させながらハードウェアや基盤モデル、データを蓄積し、将来的に産業用や家庭用サービスへ展開する実効性の高いロードマップを描くことができます。

英漢思動力のテネスマシン利用者の月間アクティブ率は70〜80%に達し、毎月10万〜20万件の対戦データが蓄積されています。朱氏は、こうした実環境の対戦データこそが参入障壁であり、将来のロボット産業はモデル開発企業、ロボット本体企業、データ製品企業が分業するエコシステムになると指摘しています。

記号化された盤上から物理世界へと踏み出すAI

かつてIBMのディープ・ブルーがチェス王者に勝利し、AlphaGoがトップ棋士を破った事例は、ルールが明確で情報が高度に構造化された「記号の世界」での計算でした。

しかし、ロボットがコートやトラックに立つ現在、AIは光の変動、摩擦、重力、変形といった無数のノイズが存在する現実の物理世界に踏み出しています。AIは単なる推論や計算にとどまらず、物理的なハードウェアを直接制御し、「感知・意思決定・実行・フィードバック」の完全なループを形成しなければなりません。

朱氏によれば、ロボットの球速を時速200〜250kmまで引き上げることは技術的に難しくなく、テニスにおける決定的な瞬間も間もなく訪れるとしています。しかし、ロボットの真の役割は人間の代替ではなく、アスリートが自らの限界を突破するための「高度な練習パートナー(スパーリングパートナー)」になることだと述べています。膨大なトップレベルの対戦データを学習したロボットが、これまで見たこともない球筋を生み出すことで、スポーツ全体の進化を後押ししていく展望が示されています。

出典: 元記事を読む

この記事で取り上げた分野では、現在も採用が活発です。以下は、semicon.todayの編集部が記事のテーマをもとに選定した求人情報です。広告・PRではありません
※採用状況により求人内容が更新される場合があります

※現在お読みいただいているこの記事は、国内外のニュースソース等から取得した情報を自動翻訳した上で掲載しています。

内容には翻訳による解釈の違いが生じる場合があり、また取得時の状況により本文以外の情報や改行、表などが正しく反映されない場合がございます。

順次改善に努めてまいりますので、参考情報としてご活用いただき、必要に応じて原文の確認をおすすめいたします。

この記事は参考になりましたか?ぜひシェアしてください。