High-NA量産準備本格始動!――フォトマスク周辺技術の重みが増す

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High-NA EUV(高NA極端紫外線)については、とかく露光装置そのものに注目が集まりやすい。もっとも、2025年末から2026年3月までの各社の発表を並べると、量産準備の焦点は装置単体ではなく、マスクブランクス、フォトマスク、補正、計測・検査まで含む周辺技術へ広がっている。

ASMLはEXEプラットフォームを2025〜2026年の高 volume chip manufacturing(半導体の量産)に対応する技術として位置づけ、ベルギーの研究センター、imec(アイメック)も2026年3月18日、ASMLの高NA EUV露光装置の量産向けモデル「EXE:5200」受け入れを公表した。

このようにHigh-NA周辺で起こっているのは、新型露光機の導入競争であると同時に、露光を支える一連の周辺技術を量産条件で成立させる競争でもあるのだ。

本稿では、High-NAを取り巻く状況を解説し、その今後を推測する。

装置の進化は、周辺技術への要求水準も引き上げる

ASMLによると、「TWINSCAN EXE:5200B」はsub-2nmロジックと先端DRAMの量産対応を想定したシステムで、NXE系に比べて40%高いイメージコントラストと8nm解像度を備える。単一露光でより小さなパターン形成を可能にし、高 volume manufacturingにおける工程数削減を通じて、欠陥機会、コスト、サイクルタイムの低減につなげる設計だという。これはHigh-NAの価値が単なる解像度向上にとどまらず、工程構成そのものの見直しに及ぶことを示している。

その一方で、工程を減らせる余地が広がるほど、1回の露光で狙い通りのパターンを安定して形成する重要性は増す。露光装置の性能向上だけでなく、マスク品質、補正精度、計測結果を踏まえた制御の完成度が、量産時の歩留まりや安定性を左右しやすくなるためだ。High-NAの進展は、解像度競争を前に進めるだけでなく、露光周辺技術の整合性を早い段階で問う局面を呼び込んでいる。

TOPPAN・テクセンドフォトマスクが示した開発の前倒し

その流れを示すのが、2025年12月の「SEMICON Japan 2025」でTOPPANとテクセンドフォトマスクが打ち出した展示内容である。7nm以下で使われるEUVブランクス/フォトマスクに加え、1.Xnmノード向け次世代材料を用いたEUVフォトマスクである。フォトマスクが既存量産ノード向けの供給品にとどまらず、次世代ノード対応を見据えた開発テーマとして前面に出てきたことを示す動きと読める。

また、テクセンドフォトマスクは、フォトマスクを高精度石英板に回路パターンを書き込んで作る「master circuit templates」と説明している。EUV世代では、この原版の品質がそのまま露光工程の安定性に影響しやすい。描画、加工、洗浄、検査を含む一連のプロセスを高い再現性で回せるかどうかが、フォトマスク企業の競争力を左右する局面に入りつつある。

HOYAはブランクス供給の起点で先行ポジションを維持する構え

完成マスクの前段階に位置するマスクブランクスでも、先端ノード対応はすでに事業上の重要論点になっている。HOYAは統合報告書2025で、マスクブランクス分野で「exceptionally high market share」を持つとしたうえで、先端ノードで競合に先んじることでleading shareを維持する方針を示した。さらに、advanced EUV nodesの主要サプライヤーとしての地位維持と、ångström世代の開発・認定を顧客と進めていることも明記している。

HOYAの2025年10月6日付FAQも同じ方向を補強する。そこでは、顧客が微細化に向けた研究開発活動を継続していることを背景に、EUVブランクス需要は中長期で安定的に拡大する見通しであり、2nm以細ノードの認定活動で先行していると説明した。加えて、EUVブランクスやFPDの生産キャパシティ拡大に伴い、減価償却費が四半期ごとに増加するとの見通しも示している。これは、EUVブランクスが研究開発段階の話ではなく、能力増強と収益管理を伴う事業段階に入っていることを示している。

ASMLとアイメックが前面に出す全体最適化

注目すべきなのは、ASML自身がHigh-NAを露光装置単体の話として説明していない点である。ASMLはcomputational lithography(計算機リソグラフィ)を、ナノスケールで求められる生産歩留まりと性能を実現するための技術と位置づけ、これなしでは最新ノードの製造は不可能だとしている。さらに、metrology & inspection(計測と検査)の製品群についても、computational lithographyやpatterning control software(プロセス管理・計測ソフトウェア)と組み合わせることで、量産時の高歩留まりと高性能を支える構成だと説明している。High-NAの量産準備は、露光機の能力だけでなく、計算補正、測定、検査、制御をつないだ閉ループの完成度として理解する方が実態に近い。

アイメックの2026年3月18日の発表も、この見方を補強している。アイメックは「EXE:5200」をpatterning tools(微細なパターン形成)、metrology tools(計測機器/測定工具)、materials(材料)と直接統合し、フォトマスクメーカー、材料・レジストサプライヤー、計測技術の専門家を含むエコシステムとの連携で学習サイクルを高めるとしている。さらに、同機のフル認定は2026年Q4を見込むとした。現在のHigh-NAは、装置の搬入それ自体よりも、周辺技術を組み込んだかたちで量産水準へ引き上げる段階にあると言える。

露光の次の競争力の量産条件とは?

High-NA EUVを巡る次の焦点は、「どの企業が最新装置を導入したか」だけでは捉えにくい。ASMLが示す装置・補正・計測検査の一体運用、アイメックが進める包括的な評価環境、TOPPAN・テクセンドフォトマスクによる1.Xnm世代を見据えた展示、HOYAの先端ブランクス認定活動を重ねると、競争の重心がフォトマスク周辺技術へ広がっていることが見えてくる。微細化の速度が上がるほど、露光の競争力は装置単体ではなく、ブランクス、マスク、補正、計測・検査を量産条件でつなぎ切れるかどうかで測られる局面に入る。High-NA量産準備局面とは、まさにその構図が表面化し始めた段階だ。

*この記事は以下のサイトを参考に執筆しました。

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