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SEMICON.TODAY 5 min · 2026.10.26

Samsungの営業利益107兆ウォン見通し、AIメモリ相場はどこまで続くのか―AI需要が押し上げるメモリ市況と、その循環リスク

この記事を読むのにかかる時間: 5 分

Samsung Electronicsは2026年10月8日、2026年第3四半期(7〜9月)の業績ガイダンスを発表した。営業利益の見通しは107.3兆〜107.5兆ウォン。前年同期の12.17兆ウォンから大きく伸びる。メモリ市況が再び半導体業界の中心に戻ったことを示す数字だが、これは速報値であり、メモリには“循環”という宿命もある。

この記事のポイント
■ Samsungは2026年10月8日、2026年第3四半期の業績ガイダンスを発表した
■ 連結売上高は194兆〜196兆ウォン(中央値約195兆ウォン)、営業利益は107.3兆〜107.5兆ウォン(中央値約107.4兆ウォン)の見通し
■ 営業利益は前四半期(89.49兆ウォン)比で約2割増、前年同期(12.17兆ウォン)比で約8.8倍(倍率は編集部計算)
■ 正式決算ではなく速報値・見通しである。事業別の内訳は後日の正式決算で確認が必要
■ メモリ市況は循環性が強く、AI需要が強いからといって価格上昇が永続するとは限らない

AI向けのメモリが飛ぶように売れ、Samsungの四半期の利益は1年前の約9倍に膨らむ見通しになった。ただし、メモリは「好況のあとに不況が来る」ことを繰り返してきた商品でもある。数字の大きさと、相場の持続性は分けて考える必要がある。

何が発表されたのか

Samsungは10月8日、2026年第3四半期の業績ガイダンス(速報値)を公表した。連結売上高は194兆〜196兆ウォン、営業利益は107.3兆〜107.5兆ウォンの見通しである。同社は、それぞれの中央値として売上高約195兆ウォン、営業利益約107.4兆ウォンを示している。韓国メディアによると、四半期の営業利益が100兆ウォンを超えるのは韓国企業として初めてである。

図1 営業利益の推移

出典:各社・各団体の公表資料をもとにSEMICON.TODAY編集部作成

図2 売上高の推移

出典:各社・各団体の公表資料をもとにSEMICON.TODAY編集部作成

前四半期と比べると、営業利益は約2割、売上高は約1割強の増加になる。前年同期と比べると、営業利益は約8.8倍、売上高は約2.3倍である(いずれも中央値をもとに編集部が計算)。

基礎から理解する:なぜHBMだけでは説明できないのか

この数字をHBMだけで説明するのは危うい。AI需要には複数の層がある。学習ではHBMが重要になり、推論ではDRAMやCXLメモリ、データセンター向けSSD(eSSD)も効く。RAGでは検索用データベースやモデルデータの保存が必要になり、Agentic AIではKV CacheやContext Cacheが膨らむ。AI需要はメモリの階層全体に波及している。

図3 AI需要とメモリ業績の関係製品別の寄与は正式決算で確認が必要

出典:各社・各団体の公表資料をもとにSEMICON.TODAY編集部作成

メモリ市況は“循環”する

メモリ市況は循環性が強い。需要が強い時期には価格が上がり、メーカーの利益が急増する。各社が増産に動き、供給が増えすぎると価格が下がり、収益は急速に悪化する。そして各社が投資を絞ると、再び需給が引き締まる。AI需要が強いことと、メモリ価格が永続的に上がり続けることは同じではない。

図4 メモリ市況の循環一般的なイメージ

出典:各社・各団体の公表資料をもとにSEMICON.TODAY編集部作成

1ビットあたりの製造コスト(cost per bit)も、ビット密度だけでは決まらない。歩留まり、工程のコスト、層数、製造にかかる時間、パッケージング、テストが関わる。HBMでは、TSV、薄化、積層、接合、熱、テストのコストも大きい。

日本企業への示唆

日本企業にとっては、DRAMの前工程、HBMの後工程、NANDの高層化、eSSD、検査、薬液、特殊ガス、接合材料への需要を読む材料になる。次の焦点は、正式決算で製品別の内訳、設備投資の方針、在庫の水準を確認することである。

注意すべき点

今回の数字は業績ガイダンス(速報値)であり、正式な決算ではない。事業別・製品別の内訳は示されておらず、どの製品がどれだけ利益に貢献したかは正式決算で確認する必要がある。

メモリ市況は循環性が強い。AI需要があっても、供給過剰や価格下落のリスクは残る。足元の数字の大きさだけで、相場の先行きを判断するのは避けたい。

まとめ

Samsungの第3四半期ガイダンスは、AIメモリ需要がメモリメーカーの業績を大きく押し上げている可能性を示す。営業利益107.3兆〜107.5兆ウォンという見通しは、AIサーバー向けのHBM、DRAM、NAND、eSSDの需要の強さをうかがわせる。

ただし、これは速報値であり、正式決算ではない。メモリ市況は循環する。正式決算での内訳、設備投資、在庫の動きが、相場がどこまで続くかを読む次の手がかりになる。

用語解説

用語説明
業績ガイダンス企業が正式決算の前に公表する業績の見通し(速報値)。後日の正式決算で内訳が確認される。
K-IFRS韓国で採用されている国際会計基準。
HBMDRAMを積層した高帯域メモリ。AIアクセラレータと組み合わせて使われる。
eSSDデータセンター向けの高性能・高信頼なSSD。RAGやモデルデータの保存で重要になる。
メモリ市況DRAMやNANDの需給、価格、在庫、稼働率の状況。
Cost per bit1ビットあたりの製造コスト。

出典(Sources)

・S1|Samsung Electronics|Samsung Electronics Announces Earnings Guidance for Third Quarter 2026|2026-10-08

本文での主な参照箇所:売上高194兆〜196兆ウォン、営業利益107.3兆〜107.5兆ウォン、中央値、2Q26・3Q25の比較値

・S2|Samsung IR|Public Disclosure: 3Q 2026 Pre-Earnings Guidance|2026-10-08

本文での主な参照箇所:ガイダンス、速報値、リスク注記

・S3|The Korea Times|Samsung Electronics 1st Korean firm to top W100 tril. in quarterly operating profit|2026-10-08

本文での主な参照箇所:韓国企業として初の四半期営業利益100兆ウォン超

※本記事は各社・各団体の公表資料および報道をもとに作成したものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の公開情報に基づきます。

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