深堀記事一覧へ戻る
未分類 6 min · 2026.11.04

【AMD_3Q26_決算深堀記事】|SEMICON.TODAYー売上134億ドル(+45%)で過去最高

この記事を読むのにかかる時間: 6 分

この会社は、パソコンやサーバーの“頭脳”にあたるCPUと、AIの計算を担うGPUを設計する米国の半導体大手だ。製造は外部の受託メーカーに頼っている。
2026年度の第3四半期(7〜9月期)は、売上が前年より+45%の134億ドル、1株利益(Non-GAAP)は+74%の2.09ドルと、ともに過去最高だった。背景はAIだ。注目すべきは“伸びの中身”で、データセンター事業がほぼ2倍になり、売上に占める比率は47%→64%へ上がった。地域別の開示はないが、最新のAI向けシステムを動かす顧客にはAnthropic、Meta、Microsoft、OpenAIなどが並ぶ。次の四半期(10〜12月期)は売上170億ドル前後を見込む。

かんたん解説:むずかしい言葉を最小限にして説明します。
●CPU/GPU=CPUは幅広い処理を担う“頭脳”。GPUは大量の計算を同時にこなし、AIの学習や推論に使う。
●EPYC/Instinct=AMDのサーバー向けCPUと、AI向けGPUの製品名。
●Helios=GPUとCPUをラック(棚)単位で組み合わせた、AMDのAI向けシステム。
●ワラント=決められた条件で株式を取得できる権利。AMDは一部の顧客に発行している。
●Non-GAAP=株式報酬や買収関連費用、保有株の評価損益などを除いた会社独自の指標。金額は「億ドル」の概数。
売上(7〜9月期)
134億ドル
前年比 +45%
前四半期比 +16%
粗利率(Non-GAAP)
56%
前年 54%
前四半期 56%
1株利益(Non-GAAP)
2.09ドル
前年比 +74%
GAAPは1.46ドル
データセンター売上
85億ドル
前年比 +97%
売上の64%
次四半期の売上見通し
170億ドル
±3%
前年比 約+66%

1. まず結論——データセンターがほぼ倍増、増収分をすべて稼いだ

要点は3つだ。

①過去最高を更新。 売上は134億ドルで前年より+45%と、会社の見通しの上限も超えた。Non-GAAPの営業利益は39億ドル(+75%)、1株利益は2.09ドル(+74%)で、いずれも過去最高だ。売上以上に利益が伸びており、規模拡大の効果が表れている。

②主役はデータセンター。 データセンターは85億ドルとほぼ2倍になり、売上に占める比率は47%→64%へ上がった(編集部算出)。全社の増収額41億ドルに対し、この事業だけで42億ドル増えた。

③次はさらに加速。 会社は次の四半期の売上を170億ドル前後、前年比約+66%と見込む。AI向けシステム「Helios」とサーバー用CPU「Venice」の生産を広げる局面だ。在庫は前四半期から35%増え、手元に残る現金(フリーキャッシュフロー)は5.5億ドルにとどまった。

2. 会社全体の成績——利益が売上を上回る伸び

売上は134億ドルで、前年同期比+45%、前四半期比+16%だった。Non-GAAPの粗利率は54%→56%へ上がり、会社は製品構成の改善が理由だと説明する。売上に対する営業費用の比率も30%→27%へ下がり、営業利益率は24%→29%へ改善した。一方、営業活動で得た現金は前年の18億ドルから12億ドルへ減り、フリーキャッシュフローは15億ドルから5.5億ドルへ縮んだ。期末の現金と短期投資は158億ドルと過去最高だが、8月に47.5億ドルの社債を発行した分も含み、負債総額は32億ドル→71億ドルへ増えている。

図1:売上(棒)と1株利益(線)。次の四半期はさらに加速する見通し(点線、利益見通しは非開示)。

3. 事業別——データセンターが急伸、ゲーム向けは縮小

AMDの事業は3つに分かれる。データセンターは85億ドル(+97%)で過去最高だ。会社は、サーバー用CPU「EPYC」の強い需要と、AI向けGPU「Instinct MI450」シリーズの投入が理由だと説明する。パソコンとゲームを合わせた「クライアント&ゲーミング」は37億ドル(△8%)と減った。パソコン用は29億ドル(+7%)と伸びたが、ゲーム向けが8億ドル(△40%)へ落ち込んだ。顧客専用に作るセミカスタム品とグラフィックス製品の減少が響いた。組み込みは11億ドル(+29%)で、航空宇宙・防衛、自動車、通信、産業機器向けが伸びた。

図2:事業別の売上(灰=前年同期、紺・橙=今期)。データセンターだけが突出して伸びた。

4. 伸びの中身——売上も利益もデータセンターに集中

この決算最大の論点は、成長と利益がどこまで1つの事業に集まったかだ。前年からの増収41億ドルに対し、データセンターの増収は42億ドル。パソコン用と組み込みの増加ではゲーム向けの減少を埋めきれず、全社の増収はほぼこの事業だけで生まれた。利益も同じ構図だ。データセンターの営業利益は29億ドル(+168%)で、営業利益率は25%→34%へ上がった。3事業の営業利益に占める比率は48%→74%へ跳ね上がる(編集部算出)。一方、クライアント&ゲーミングの営業利益率は21%→15%へ下がった。稼ぎの柱が“AIとサーバー”へ入れ替わったことが分かる。

図3:前年からの売上の増減(橙=データセンター)。増収はほぼ1事業が担った。

5. 地域別——開示はなく、手がかりは事業構成と顧客

AMDは今回の資料で、地域別の売上を開示していない。代わりに読み取れるのは、売上の重心が“どの事業”へ移ったかと、顧客の顔ぶれだ。データセンターの比率は1年前の47%から前四半期の58%、今期の64%へ上がり、クライアント&ゲーミングは44%→28%へ下がった(編集部算出)。最初のHeliosでは、Anthropic、Meta、Microsoft、OpenAI、Oracleのクラウド部門がAIモデルや処理を動かしている。欧州ではスーパーコンピューター「LUMI-AI」への採用も決まった。

図4:事業別の売上構成比。地域別の開示はないが、重心はデータセンターへ移った。

「過去最高」という見出しの内側で起きているのは、会社の“重心”の移動だ。1年前は5割に満たなかったデータセンターが、いまや売上の6割超を占める——AMDは、AIの計算基盤を担う会社へ姿を変えつつある。
ワンポイント=AMDはCPUとGPUを設計する会社。AIの計算が増えるほど、この会社のチップとシステムの出番も増える。

6. 数字を読むときの注意点

■ 「過去最高」の利益は調整後:会社が記録とする利益はNon-GAAPの数値。GAAPの1株利益は1.46ドルで、2.09ドルとは差がある。

■ 顧客向けワラントの再評価:株価などで動く評価の変化が、GAAPの利益を11億ドル押し下げた。Non-GAAPでは除いている。

■ GAAP利益は税が押し上げ:税引前利益19億ドルに対し、税金は逆に約6億ドルのプラス。純利益24億ドルはその分を含む。

■ 現金は在庫と売掛金へ:両者の増加に合計49億ドルが回り(編集部算出)、買掛金の増加23億ドルが一部を支えた。

7. この先のシナリオ

会社は第4四半期(10〜12月期)の売上を170億ドル前後(±3%)と見込む。中央値で前年同期比約+66%、前四半期比約+27%と、今期より伸びが加速する。CEOはHeliosとVeniceの生産拡大を理由に挙げ、今後数年にわたる高い増収と収益性の改善に自信を示した。Non-GAAPの粗利率は約55%と今期の56%から小幅に下がり、営業費用は約37.5億ドルへ増える見通しだ。1株利益の見通しは示していない。TaalasとWorld Labsの買収は、規制当局の承認などを条件に年内の完了を見込む。

8. この先のチェックポイント

■ Heliosの立ち上がり:生産の拡大が、見通しどおりの売上に結びつくか。

■ 粗利率の行方:売上が急増するなかで、約55%の見通しを保てるか。

■ 在庫と現金の回復:115億ドルの在庫が出荷に変わり、現金が戻るか。

■ 部材の確保:会社がリスクに挙げるメモリーなどを、調達できるか。

9. 市場環境

会社は、AI向けGPUとサーバー用CPUの需要が強まり続けているとみる。AMDの製品はチップ単体からラック単位のシステムへ広がり、CPUとGPUの組み合わせを顧客が選べる設計図「Helion」を打ち出した。推論用チップ技術のTaalas、AIモデル研究のWorld Labsの買収も決め、守備範囲を広げている。一方で会社は、輸出規制、メモリーなど部材の確保、大口顧客の喪失、顧客向けワラントを通じた株価の影響をリスクに挙げる。需要の強さは追い風だが、急拡大を供給と現金の両面で支えきれるかが次の試金石になる(編集部の見立て)。

10. 主要データ

注:本文・カード・図は概数、表は一次資料の値(未監査)。事業別の構成比、営業利益の比率、増減額は編集部算出。「—」は今回の資料に記載がない項目。地域別の売上は開示されていない。

11. 出典・ご注意

■ 出典:AMD 2026年度第3四半期の決算プレスリリース、財務諸表、決算説明会資料(米国会計基準・Non-GAAP)。

■ 見通しは会社の予想:次の四半期の見通しは会社の見込みで、実際の結果は異なり得る。

本記事は公表資料にもとづく決算の解説で、投資を勧めるものではありません。決算発表の数値は未監査です。「過去最高」のうち利益は調整後(Non-GAAP)ベースです。事業別の比率は構成の変化を示すもので、金額の増減とは分けて読む必要があります。金額は「億ドル」の概数で、丸めにより合計が一致しない場合があります。投資の判断はご自身の責任でお願いします。

この記事で取り上げた分野では、現在も採用が活発です。以下は、semicon.todayの編集部が記事のテーマをもとに選定した求人情報です。広告・PRではありません
※採用状況により求人内容が更新される場合があります

※現在お読みいただいているこの記事は、国内外のニュースソース等から取得した情報を自動翻訳した上で掲載しています。

内容には翻訳による解釈の違いが生じる場合があり、また取得時の状況により本文以外の情報や改行、表などが正しく反映されない場合がございます。

順次改善に努めてまいりますので、参考情報としてご活用いただき、必要に応じて原文の確認をおすすめいたします。

この記事は参考になりましたか?ぜひシェアしてください。