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未分類 6 min · 2026.10.30

【東京エレクトロン_FQ2-27_決算深堀記事】|SEMICON.TODAYー売上9,350億円(+48%)

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この会社は、半導体ではなく“半導体をつくるための装置”をつくる大手メーカーだ。シリコンの円板(ウエハー)に膜をつけたり、回路の形に削ったり、薬液を塗って模様を焼き付けたりする装置を、世界の半導体工場に納めている。
2027年3月期の第2四半期(2026年7〜9月)は、売上が前年より+48%の9,350億円、営業利益は+86%の2,953億円。上期(4〜9月)は半期として過去最高になった。背景は、AIデータセンター向けの投資拡大だ。注目すべきは“伸びの中身”で、DRAM向けの装置が前四半期から+45%と最も伸び、下期はメモリー向けの比率がさらに上がる。地域別では、中国の比率が前四半期の30%→36%へ戻った。会社は初めて通期予想を示し、売上3兆7,000億円・1株利益381.69円を見込む。

かんたん解説:むずかしい言葉を最小限にして説明します。
●新規装置=新しく納める製造装置。用途別にDRAM・不揮発性メモリー・非メモリーに分けて開示する。
●DRAM=計算中のデータを一時的に置くメモリー。AIサーバーで必要量が増えている。
●不揮発性メモリー=電源を切ってもデータが残るメモリー(NANDなど)。
●フィールドソリューション=納めた装置の部品・保守と、中古装置の改造販売。
●WFE=ウエハーに回路をつくる工程の装置。ここではその世界の市場規模を指す。
●金額=「億円」の概数で示す。会計基準は日本基準(連結)。
売上(7〜9月)
9,350億円
前年比 +48%
前四半期比 +28%
営業利益
2,953億円
前年比 +86%
営業利益率 31.6%
新規装置の売上
7,344億円
前四半期比 +38%
DRAM向けは +45%
通期の売上予想
3兆7,000億円
前期比 +51%
営業利益 1兆1,690億円
年間配当予想
191円
過去最高(分割考慮)
自社株買い 最大1,500億円

1. まず結論——AI投資の波で、半期の過去最高を更新した

今回の東京エレクトロン決算は、売上の伸びより“どの半導体に向けた装置が売れたか”に目を向けたい。下期に向けて、主役がはっきり入れ替わりつつあるからだ。要点は3つだ。

①上期は半期で過去最高。 上期の売上は1兆6,674億円(+41%)、営業利益は5,067億円(+67%)で、半期として過去最高になった。7月に示した上期の予想(売上1兆6,200億円・営業利益4,580億円)も上回った。

②メモリー向けが加速。 第2四半期の新規装置の売上は7,344億円と、前四半期から+38%伸びた。なかでもDRAM向けが+45%と最も伸びた。会社は下期、メモリー向けの比率がさらに高まるとみる。

③通期予想を初めて開示。 これまで示していなかった通期予想は、売上3兆7,000億円(+51%)、営業利益1兆1,690億円(+87%)。売上・利益のすべてで過去最高を見込み、配当も過去最高の191円を予定する。

2. 会社全体の成績——売上の伸びを、利益が大きく上回った

第2四半期の売上は9,350億円で、前年同期比+48%、前四半期比+28%。売上総利益率は47.8%と、前年から2.6ポイント上がった。販管費の伸びは+20%と売上を大きく下回り、営業利益は2,953億円(+86%)、営業利益率は25.1%→31.6%へ上がった。純利益は2,125億円(+72%)。営業活動で得た現金は3,511億円と厚く、上期には顧客から先に受け取る前受金も843億円増えた。装置の需要の強さが、利益と現金の両面に表れている。

図1:四半期の売上(棒)と営業利益(線)。下期は会社予想の四半期平均でさらに伸びる(緑・点線)。

3. 事業別——新規装置が急伸、保守も堅調

東京エレクトロンは「半導体製造装置」の単一事業で、事業別の売上は開示していない。代わりに、新しく納める“新規装置”と、納めた装置の部品・保守や中古装置の改造を担う“フィールドソリューション”に分けて示している。第2四半期の新規装置は7,344億円で、前年同期の4,550億円から+61%と大きく伸びた(編集部算出)。フィールドソリューションは1,910億円(+19%、編集部算出)で、うち部品・サービスが1,443億円を占める。(一度装置を売ると、その後も継続的に稼げる“ストック型”のビジネスだ)。

図2:新規装置とフィールドソリューションの売上(灰=前年同期、色=今期)。新規装置が急伸した。

4. 伸びの中身——DRAM向けが加速、下期はメモリーが主役に

この決算最大の論点は、装置が“どの半導体に使われるか”の変化だ。第2四半期の新規装置のうち、DRAM向けは34%と1年前の27%から上がり、金額は前四半期比+45%と用途別で最も伸びた。会社の下期予想では、新規装置1兆5,600億円のうちDRAM向けが35%、不揮発性メモリー向けが14%を占める。2026年3月期の上期に61%あった非メモリー(ロジック・ファウンドリーなど)の比率は、下期に51%まで下がる見通しだ。AIの普及でCPU・GPUの周りに置くデータが増え、サーバーの保存容量も膨らむと会社は説明する。

図3:新規装置売上の用途別構成比(半期)。下期はDRAMと不揮発性メモリーの比率が高まる見通し。

5. 地域別——中国が戻り、韓国・台湾も大きく伸びた

第2四半期の地域別売上は、中国が3,399億円で最大だった。全社に占める比率は、前四半期の30%→36%へ上がった。ただし1年前の40%よりは低く、金額は前年同期から+34%伸びている(編集部算出)。韓国と台湾もそれぞれ4〜5割伸び(編集部算出)、北米は前年の約2倍になった。日本や欧州、東南アジアも含め、すべての地域で前年を上回った。中国の比率が下がっても金額は増える“分母効果”の典型で、需要の裾野が中国以外にも広がっていることが分かる。

図4:主な地域の売上(灰=前年同期、色=今期)。中国の比率は40%→36%でも、金額は伸びた。

「過去最高」という見出しの内側で起きているのは、装置需要の“主役交代”だ。AIが求めるメモリーの増産に向けて、DRAM向けの装置が急伸している——東京エレクトロンは、その製造ラインの要所を押さえている。
ワンポイント=東京エレクトロンは“半導体をつくる装置”のメーカー。AI向けのチップやメモリーの増産が進むほど、この会社の装置の出番も増える。

6. 数字を読むときの注意点

■ 地震の費用は特別損失:熊本地震の影響で、建物や設備の原状回復などの費用62億円を特別損失に計上した。営業利益には含まれていない。

■ 1株利益は分割後の値:2026年10月1日に1株を5株に分けた。過去の1株利益や配当は、分割後の株数に置き直して比べる必要がある。

■ 四半期の振れが大きい:前年の第3四半期は売上5,520億円と落ち込んだ。四半期ごとの振れが大きく、半期や通期でならして見たい。

■ 前受金は売上ではない:顧客からの前受金は上期に843億円増え、3,549億円になった。現金は厚くなったが、まだ売上ではない。

7. この先のシナリオ

会社は通期で売上3兆7,000億円(前期比+51%)、営業利益1兆1,690億円(+87%)、純利益8,650億円を見込む。下期だけで売上2兆325億円、営業利益6,622億円と上期をさらに上回り、営業利益率は32.6%へ上がる計画だ。新規装置の売上は下期に1兆5,600億円、通期では前期比+59%の伸びを見込む。研究開発費は前期の2,778億円から3,350億円に増やし、宮城県では2027年夏の竣工に向けて新しい生産拠点を建設している。

8. この先のチェックポイント

■ 下期の新規装置売上:1兆5,600億円の計画に届くか。上期の1兆2,657億円から、さらに2割強の上積みが要る(編集部算出)。

■ メモリー向けの比率:DRAMと不揮発性メモリー向けが、計画どおり5割近くまで高まるか。

■ 中国向けの行方:比率が再び上がった中国の需要が、下期も続くか。

■ 自社株買いの進み具合:最大1,500億円の枠を、2027年3月末までにどこまで使うか。

9. 市場環境

会社は、WFEの市場が2026年に1,600億ドル程度、2027年には2,100億ドル以上へ広がるとみる。生成AIに加え、自ら作業をこなすエージェント型AIが広がることで、GPUやHBM、CPU、DRAM、NANDのすべてで需要が増えるという。AIが扱うデータと計算の量の増加が、AIインフラ全体の半導体需要を押し上げる構図だ。メモリーの増産投資が本格化する局面で、その重要な工程を担う装置メーカーの存在感は一段と増す(編集部の見立て)。

10. 主要データ

注:本文・カード・図は概数、表は一次資料の値。新規装置・フィールドソリューション・地域別の前年比、下期予想の四半期平均は編集部算出。用途別の構成比は新規装置の売上に対する比率で、フィールドソリューションを含まない。1株利益は2026年10月の株式分割を考慮した値。

11. 出典・ご注意

■ 出典:東京エレクトロン 2027年3月期第2四半期(中間期)の決算短信と決算説明会資料(日本基準・連結)。

■ 見通しは会社の予想:通期予想や下期の装置売上、市場の見通しは会社の予想で、実際の結果は異なり得る。

本記事は公表資料にもとづく決算の解説で、投資を勧めるものではありません。中間期の決算短信は、公認会計士または監査法人のレビューの対象外です。「過去最高」は会社の説明によるものです。1株利益と配当は株式分割を考慮した値です。前年比の一部と下期の四半期平均は、会社開示の数値からの編集部の算出です。金額は「億円」の概数で、丸めにより合計が一致しない場合があります。投資の判断はご自身の責任でお願いします。

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