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Futuristic data center corridor with glowing blue AI chip at the end and holographic data visuals surrounding the racks.
SEMICON.TODAY 5 min · 2026.10.23

AppliedとBesiの協業拡大、AI時代の実装はHybrid BondingからPanelへ進む―先端パッケージングは、もはや“後工程”ではない

この記事を読むのにかかる時間: 5 分

半導体製造では長く、回路を微細化する前工程が技術競争の中心とされてきた。しかしAI半導体の時代には、チップを“どうつなぐか”が性能を左右する。半導体製造装置大手のApplied Materialsと、接合装置のBesiが2026年10月1日に発表した協業拡大は、その最前線を示している。

この記事のポイント
■ Applied MaterialsとBesiは2026年10月1日、AIの性能向上に向けた次世代パッケージングの協業拡大を発表した ■ BesiはAppliedがシリコンバレーに設ける研究開発拠点「EPIC Center」にInnovation Partnerとして参加する
■ 研究開発の対象は、ハイブリッドボンディングの新プラットフォーム、TCB(熱圧着)の高度化、die-on-wafer/die-on-die/die-on-panel、CPO向けのフォトニクス接続に広がる
■ AI半導体の性能向上は、前工程の微細化だけでなく、チップレット、HBM、3D IC、パネルレベル実装で決まる段階に入っている
■ パネルレベルの実装は有力だが、歩留まり、反り、位置合わせ、標準化に課題が残る

AIチップは、複数のチップを積み重ねたり並べたりして1つにまとめる時代に入った。AppliedとBesiは、チップ同士を“より細かく、より短く”つなぐ技術と、大きな四角いパネルでまとめて作る技術を、共同で開発する範囲を広げた。

何が発表されたのか

Applied MaterialsとBesiは10月1日、AIの性能向上(AI scaling)に向けた次世代パッケージングの戦略的協業を拡大すると発表した。BesiはAppliedがシリコンバレーに設けるEPIC Centerに、Innovation Partnerとして参加する。協業はハイブリッドボンディングの枠を超え、新しい接続のアーキテクチャへと広がる。

両社の協業は2020年に始まった。同年、シンガポールにあるAppliedの先端パッケージング開発センターに共同のCenter of Excellenceを設け、その成果として、ダイとウエハを接合するハイブリッドボンディング装置「Kinex」を生み出している。

図1 Applied MaterialsとBesiの協業領域Applied発表より

出典:各社・各団体の公表資料をもとにSEMICON.TODAY編集部作成

図2 協業のタイムライン

出典:各社・各団体の公表資料をもとにSEMICON.TODAY編集部作成

基礎から理解する:ハイブリッドボンディングとは

ハイブリッドボンディングは、銅の電極同士と絶縁膜同士を直接貼り合わせ、チップ同士やチップとウエハを高密度につなぐ技術である。従来の「マイクロバンプ」(はんだの小さな突起)に比べて接続の間隔を細かくでき、配線が短くなるため、電力効率と帯域を高められる可能性がある。

図3 接合方式の違い概念図

出典:各社・各団体の公表資料をもとにSEMICON.TODAY編集部作成

パネルで作れば安くなるのか

die-on-panelは、大型のパネル上にチップを配置して接合する考え方である。円形のウエハに比べて四角いパネルは面積を無駄なく使えるため、理論上はコスト低減につながる可能性がある。しかし、パネルはウエハより大きく、反り、熱膨張、位置合わせ、搬送、欠陥密度が課題になる。パネルにすれば必ず安くなるわけではない。

図4 ウエハレベルとパネルレベルの実装概念図

出典:各社・各団体の公表資料をもとにSEMICON.TODAY編集部作成

日本企業への示唆

日本企業にとっては、CMP、洗浄、接合材料、熱材料、検査、計測、搬送、精密ステージ、基板材料が重要になる。AI向けの実装が高度になるほど、表面の平坦化、清浄度、低温での接合、反りの制御、壊さずに中を調べる非破壊検査の価値は高まる。

注意すべき点

今回の発表は研究開発の協業範囲の拡大であり、新しい製品の発売や量産時期を示したものではない。協業の金銭的な条件も開示されていない。

パネルレベルの実装は有望だが、歩留まり、反り、位置合わせ、標準化といった課題を解決できるかは今後の開発次第である。

まとめ

Applied MaterialsとBesiの協業拡大は、AI半導体の性能向上が前工程の微細化だけでは進まないことを示す。ハイブリッドボンディング、TCB、die-on-wafer、die-on-die、die-on-panel、フォトニクス接続は、ロジック、HBM、チップレット、光をまとめて統合するための重要技術である。

先端パッケージングは、もはや後工程ではない。前工程と同じレベルの材料工学、表面制御、洗浄、検査、信頼性評価が求められている。

用語解説

用語説明
ハイブリッドボンディング銅の電極同士と絶縁膜同士を直接接合し、チップ同士を高密度につなぐ技術。
TCBThermo-Compression Bondingの略。熱と圧力でチップを接合する技術。HBMや高密度パッケージングで重要。
die-on-panel大型のパネル上にチップを配置・接合する実装方式。面積効率の向上が期待される。
チップレット機能ごとに分けた小さなチップ。組み合わせて1つの大きなチップのように使う。
3D IC複数のチップを縦方向に積み重ねて接続する集積技術。
EPIC CenterApplied Materialsがシリコンバレーに設ける、半導体製造装置とプロセス技術の研究開発・事業化の拠点。

出典(Sources)

・S1|Applied Materials|Applied Materials and Besi Expand Strategic Partnership to Advance Next-Generation Packaging for AI Scaling|2026-10-01

本文での主な参照箇所:協業拡大、EPIC Center参加、ハイブリッドボンディング、TCB、die-on-panel、フォトニクス接続、2020年からの協業、Kinex

・S2|Applied Materials IR|Applied Materials and Besi Expand Strategic Partnership to Advance Next-Generation Packaging for AI Scaling|2026-10-01

本文での主な参照箇所:EPIC Center、Innovation Partner、研究開発領域

※本記事は各社・各団体の公表資料および報道をもとに作成したものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の公開情報に基づきます。

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