この記事のポイント
- 山東省済南市で2026年人工知能産業大会が開催され、300社を超える国内外の大手企業や研究開発機関が集結しました。
- 単一モデルの開発から、半導体製造や鉄鋼、港湾など特定業界に特化した「バーティカル大規模モデル」のクラスター展開へと移行しています。
- 展示にとどまらず、製鉄現場の自動制御や石油化学プラントの調変時間短縮など、生産ライン直結の実績が相次いでいます。
- 個別受託開発からモデルのバッチ納入への転換が進み、計算基盤やデータ連携を軸にした産業エコシステムの構築が加速しています。
単一モデルの研究開発から産業クラスター型の展開へ
10月14日から16日にかけて、山東省済南市で「2026年人工知能産業大会」が開催されました。国内外から300社を超えるAI(人工知能)大手企業や研究開発機関が参加し、最新の技術成果の披露やビジネスマッチングが行われました。
大会のテーマは「人工知能による新型工業化の加速推進」であり、会場では「生産ライン」「シナリオ」「社会実装」といった言葉が頻繁に交わされました。
AIをあらゆる産業へ普及させるにあたり、山東省は特定分野に特化する方針を打ち出しています。鉱山採掘、港湾の配船、半導体製造、設備研究開発などに向けて、海若、天智、星際、雲鼎、星港、尚智、奇智孔明という7種類の垂直領域特化型大規模モデル「斉魯七星」が公開されました。強みを持つ産業に向けたスマートマトリクスを構築することで、単一モデルの技術開発からクラスター化された布陣への転換を示しています。
山東省は41の工業大分類を網羅しており、生産現場に蓄積された大量の実データが存在します。山東大学機械工程学院の周軍教授は、「汎用大規模モデルが『どちらがより賢いか』を競うのに対し、バーティカル大規模モデルは『どちらがより業界に精通しているか』を競います」と語っています。
展示会場では、工業インターネットに基づく「カオスター(COSMOPlat)天智大規模モデル」が製造業のデータ活用や意思決定の課題を解決する仕組みを提案しました。また、「星港大規模モデル」は青島港における船舶の着岸・離岸計画を1〜2分で作成し、90%以上の採用率を誇ります。「雲鼎鉱山大規模モデル」は採炭や機電など280以上のシナリオをカバーし、「奇智孔明大規模モデル」は半導体や自動車設備、電力エネルギー分野の1800社超の企業に導入されています。さらに、珞石機器人(ROKAE)の人型ロボット製品群なども注目を集めました。あわせて、済南市では製造分野の産業用ソフトウェアを対象とする国家人工知能応用パイロット試験基地の整備も始動しています。
展示の実演から生産ラインでの価値創出へ
今回の大会では、AIが展示ブースのデモンストレーションから工場の最前線へ進出し、技術を直接的な生産効率へと変換する事例が多数紹介されました。
鉄鋼分野では、山鋼集団が排ガス、映像、音声、プロセスデータを統合した「尚智大規模モデル」を開発しました。従来は炉長の目視と経験に依存していた転炉製鋼において、ワンクリックで自動指令を出すエージェントを構築した結果、温度の的中率が95%以上に向上し、コスト低減と品質安定を実現しています。
危険度の高い石油化学の現場では、中国移動(China Mobile)山東と弘潤石化が共同で製油・化学プラント向けの特化型モデルを構築しました。原料温度の変動に対し、バルブや温度・圧力の調整パラメータを迅速に出力することで、水素化分解操作の平均応答時間を従来の4時間から2時間に半減させました。この仕組みはすでに10社以上の同業他社へ展開されています。
製薬分野では、魯南製薬が独自開発した「魯南智擎」大規模モデルとAI創薬システムを活用し、新薬開発における1万回以上のプロセス検証を実施しました。加水量や抽出温度などのノウハウを高精度な標準パラメータへと変換しています。
また、計算能力(演算性能)を支えるハードウェアとして、華為(Huawei)の「昇騰(Ascend)950」超ノードが展示され、工業やエネルギーなどの重負荷シナリオに向けた高信頼な計算基盤を提供しています。
個別受託開発からバッチ納入による産業エコシステムへ
AI産業の持続的な発展には、技術革新に加えてエコシステムの成熟が欠かせません。会場では「モデルを使ってモデルを作る」アプローチが話題となりました。
浪潮(Inspur)の「海若トークンファクトリー」では、業界データを安全審査・アノテーションした上でベースモデルに適用し、即座に利用可能なモデルとしてパッケージ化する生産ラインが稼働しています。2025年初頭の稼働以来、全国300社以上の顧客に導入され、約1000個のエージェントを提供してきました。数カ月を要していた従来の個別受託開発から、データを投入すればモデルが出力される工業製品のようなバッチ納入へと転換し、開発期間とコストを大幅に抑制しています。
これを支えるため、山東省は製造業31分類をカバーする35のデータコーパスの構築を進め、22カ所の省級スマート計算センターを稼働させています。さらに山東省は「AI+製造」の100のシナリオ需要を公表し、2026年第1弾として総投資額116.58億元にのぼる726件の先行プロジェクトを策定しました。稼働後の年間売上増加額は170億元を超える見通しです。
2025年における山東省のAIコア産業の売上高は1289.3億元(前年比39.2%増)に達し、モデル開発、エージェント、計算能力、データ関連の重点企業は1124社に達しています。
出典: 元記事を読む
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