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製造大省の中国・山東省、現場密着の「業界特化型AIモデル」で製造業の知能化と高度化を加速

2026.10.15
この記事を読むのにかかる時間: 4 分

この記事のポイント

  • 山東省では170社以上のAIモデル関連企業が集積し、2025年の省内業務収入は63.75億元(前年比104.5%増)に達する見込みです。
  • 汎用AIのパラメータ競争ではなく、港湾、鉱山、化学プラントなど産業現場の課題を解決する「垂直領域AIモデル」に注力しています。
  • 官民連携による重点業界コーパス(データセット)の構築や実証環境の提供により、2028年までに包括的な産業特化型AI体系の確立を目指しています。

産業チェーンから生まれる100以上の特化型モデル

山東港口青島港のばら積み貨物埠頭自動制御センターでは、運行管理者がマウスを操作するだけで、船便の運航スケジュールや接岸順序を考慮した計画表がAIモデルにより自動生成されます。かつては180以上の業務ルールと132の影響要素を作業員が手作業で調整しており、天候や通関の変更があれば半日以上をかけて再調整する必要がありました。現在では、AIがプロセス全体の作業ルートを高精度に可視化し、作業効率を大幅に引き上げています。

山東省では、垂直領域の大規模AIモデルを実体経済支援の突破口と位置づけ、13の重点分野をカバーする100件の重点モデルを選定・普及させています。山東省工業・情報化庁によると、現在同省で重点モニタリング対象となっているAIモデル関連企業は170社を超えています。2025年の省内AIモデル業務収入は前年比104.5%増の63.75億元に達し、今年上半期時点でも59.6億元を達成するなど、通年で倍増する見通しです。

山東省工業・情報化庁データ産業推進処の孫志強処長は、「汎用モデルは日常業務をこなせても、工作機械のパラメータや生産計画、ラインの稼働状況までは理解できません。製造業にとって真に重要なのは、各産業の現場に根ざした垂直領域のAIモデルです。パラメータ数や計算能力の規模を過剰に競うのではなく、現場でどれだけ実効性を発揮できるかが焦点となっています」と指摘します。

海爾(ハイアール)グループの「卡奥斯(COSMOPlat)」は、4700以上の知見モデルを統合した「天智大模型」を開発しました。また、山東能源グループ傘下の雲鼎科技は炭鉱業界初のAI訓練センターを開設して「雲鼎鉱山大模型」を運用しており、山東鋼鉄グループ傘下の山鼎雲科は製鉄ノウハウを組み込んだ冶金AIモデル「尚智」を展開しています。浪潮集団(Inspur)も1300種以上の化学品生産ノウハウを蓄積した「海若大模型」を開発するなど、各社が蓄積した現場データをAIモデルへ転換しています。

実体経済の深層へ浸透する産業用AIエージェント

産業現場におけるAIの導入は、「監視・予知保全」から「プロセスの最適化」、さらには「工程全体の協調制御」へと進化を遂げています。

山東能源の興隆庄炭鉱では、460台以上のカメラと740系統の映像を「雲鼎鉱山大模型」に常時接続しています。設備の異常や作業員の危険行動を95%以上の精度でリアルタイム検知し、巡回点検の効率を3倍以上に高めました。これにより、人による監視からAIによる能動的な安全管理へと移行しています。

製造プロセスの最適化においても実績が出ています。陝西延長石油では、ブチルアルデヒドとバレルアルデヒドの分離蒸留工程において、従来は手作業で温度や圧力、流量を微調整していました。「卡奥斯天智大模型」のプロセス最適化AIエージェント(AI Agent)を導入したことで、現場データをリアルタイムに収集して最適パラメータを算出し、製品精度を従来の2倍に向上させました。

さらに、工程全体の再構築も進んでいます。人工知能企業の創新奇智(AInnovation)は、世界的なガラス繊維メーカーに対し、原料配合、窯炉の溶解、紡糸成形の3工程に専用モデルとAIエージェントを配置しました。原材料の変動に伴うトラブルを未然に防ぎ、断糸やライン停止のリスクを抑えることで、一部プロジェクトの立ち上げ期間を15か月から5か月に短縮しました。

卡奥斯が手がけた無人エアコンプレッサー施設では、6つのAIエージェントが連携して巡回、制御、最適化を行い、常駐人員を1名に抑えて人件費を70%低減、エネルギー消費を5%削減しました。山東省内では現在、国家生成AIサービス届出を通過したモデルが51件あり、全国の産業用AIモデル上位50件のうち10件を山東省勢が占め、全国最多となっています。

データ資産と実証環境の整備で進む産業変革

山東省は2024年に「大規模モデル産業の高品質発展加速に関する指導意見」を策定し、モデル開発やデータ利用に対する財政支援策を整備しました。毎年30件の優秀な革新モデル製品を表彰・支援しているほか、170件以上の重要技術開発プロジェクトを推進しています。

AI開発の燃料となる産業データの整備にも注力しています。山東省では2025年より「掲榜掛帥(オープンコンペ方式の開発委託)」を通じて重点産業のコーパス(学習用データセット)構築を進めており、これまでに35件の重点業界コーパスを整備し、主要製造業31分類すべてをカバーしました。

青島市に進出した山東極視角科技(Extreme Vision)のように、地元企業から豊富な実証シーンと実データの提供を受けて急成長する企業も増えています。同社は現在、1500種以上のアルゴリズムと10億件以上の業務データを蓄積しています。

山東省工業・情報化庁党組副書記の安文建副庁長は、「山東省は第15次5カ年計画に向けてAI産業の発展目標を定め、2028年までに特色ある産業特化型AIモデル体系の確立を目指します。実用価値の高い製造業向けAIユースケースを創出し、実体経済の高度化を強力に牽引していきます」と述べています。

出典: 元記事を読む

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