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NIST熱力学・カイネティクス研究グループ、先端材料設計や計算科学ツールを推進

2026.10.13
この記事を読むのにかかる時間: 3 分

この記事のポイント

  • 金属や半導体、無機材料の熱力学・動力学、微細構造進化を解明する測定手法やデータ基盤を開発
  • CALPHAD法、第一原理計算(DFT)、機械学習(ML)を統合した計算ツール群を提供
  • JARVISデータベースや原子間ポテンシャルリポジトリなど、信頼性の高い材料データを公開
  • 積層造形(AM)向けデジタルツインや電子・機能性材料の探索など、幅広い実用プロジェクトを推進

熱力学・カイネティクスグループの概要

米国立標準技術研究所(NIST)の材料測定研究所・材料理工学部門に所属する「熱力学・カイネティクスグループ(Thermodynamics and Kinetics Group)」は、金属、半導体、無機材料など、産業技術上重要な材料の熱力学、動力学、相変態、微細構造の進化、および物性に関する測定手法、モデル、データ、標準規格を開発しています。
当グループはこれらの知見を活用し、プロセス・構造・特性(PSP)の相関関係を明確化することで、先端材料の設計期間の短縮を推進しています。

提供される計算ツール群

材料設計の高度化に向けて、微細構造解析から原子レベルのシミュレーションまで、多様なオープンソースおよび独自ソフトウェアを展開しています。

  • 微細構造解析ツール:Materials Knowledge System(MKS)のPythonフレームワークである「PyMKS」や、実測・シミュレーション画像からマクロな物性を有限要素法で解析する「OOF」を提供しています。
  • 相平衡・状態図計算ツール:多成分系の熱力学計算を実行するオープンソースソフトウェア「Open Calphad」を活用しています。
  • 原子シミュレーションおよびポテンシャル開発:物理知見とニューラルネットワークを融合した「PINN」、原子間ポテンシャル学習用パッケージ「pyfit-FF」、大規模原子系解析用ライブラリ「AtomMan」、物性評価計算を設計する「IPRPy」などを扱っています。
  • ハイスループットDFTツール:データ生成・解析用スクリプト群「JARVIS-Tools」や、2D材料の仕事関数やバンドアライメント解析を行う「JARVIS-Heterostructure」を展開しています。
  • インフラおよびワークフロー:シミュレーションデータの再現性を担保するWeb基盤「CoRR」、フェーズフィールド法のコミュニティ基盤「PFHuB」、機械学習予測モデル「JARVIS-ML」、材料設計統合フレームワーク「Materials Design Toolkit」などを備えています。

オープンデータリソース

研究者が高精度な計算やモデル検証を行えるよう、豊富なデータベースリポジトリを公開しています。

  • Interatomic Potential Repository:原子間ポテンシャル(力場)や評価ツールを提供し、モデルの適用性判断を支援します。
  • JARVIS-FF:LAMMPS計算に基づく力場データベースで、結晶構造、生成エネルギー、フォノン状態密度、バンド構造、表面エネルギー、欠陥生成エネルギーなどを網羅しています。
  • JARVIS-DFT:VASP計算による3次元バルク、2次元単層、1次元ナノワイヤ、0次元分子系のDFTデータベースです。バンド構造、状態密度、キャリア有効質量、熱電特性、弾性定数などを収録しています。
  • Phase-Based Data Repository:多成分系の熱力学および動力学データを含む相特性データベースです(1960〜1980年の拡散文献をまとめたNIST Diffusion Data Centerも収録)。
  • AM-BenchMarking Data Repository:金属積層造形(AM)のプロセスシミュレーション精度向上に向けた、NISTのAMベンチマーク試験データ群です。

注力プロジェクトと研究領域

当グループでは、理論計算と実測を組み合わせた実践的なプロジェクトを継続的に実施しています。

積層造形向け材料デジタルツイン:
入力と出力の特性を直接結びつける機械学習モデルに対し、材料構造や組織特性を考慮したデジタルツインフレームワークの開発を進めています。

持続可能な金属プロセスと合金開発:
実験データと熱力学・動力学計算を機構論的モデルと統合し、合金設計の最適化と持続可能な製造プロセスの基盤測定技術を確立しています。

電子・機能性用途向けの先端材料設計:
機械学習・AI技術とハイスループットDFT計算を連携させ、特定特性を持つ半導体や量子材料の探索を加速しています。直近では半導体ヘテロ界面のバンドオフセット予測フレームワーク「InterMat」などの成果を発表しています。

構造用途向けの新規合金設計:
統合計算材料工学(ICME)のアプローチにより、Ni基超合金に類似した規則FCC(L1_2)相で強化された新たな高温Co基超合金の開発などを進めています。

出典: 元記事を読む

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