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中国「第15次5カ年計画」で石油・天然ガス体系を強化、再エネ急拡大下でも「安全の土台」を維持

2026.09.21
この記事を読むのにかかる時間: 3 分

この記事のポイント

  • 中国政府が「石油天然ガス発展第15次5カ年計画」を通達し、2030年に向けた現代的石油・天然ガス産業体系の確立を提示
  • 新エネルギーの変動性補完や製造業の原料供給において、石油・天然ガスは代替不可能な「安全の土台」と位置付け
  • 2030年に国内供給4.4億トン(原油換算)を目標に掲げ、生産・輸送・備蓄・輸入の全サプライチェーンを強化
  • CCUSの大規模導入や水素混入など多エネルギー融合を進め、脱炭素とエネルギー安全保障の両立を加速

石油・天然ガスが担う代替不可能な「安全の土台」

中国国家発展改革委員会および国家エネルギー局は先ごろ、「石油天然ガス発展第15次5カ年計画」(以下、「計画」)を通達しました。エネルギー安全保障とグリーン・低炭素発展という2大任務を見据え、2030年までに自主供給能力の継続的向上、高効率なパイプライン網の連結、柔軟かつ十分な備蓄調整、環境に配慮した低炭素な生産方式などを備えた現代的石油・天然ガス産業体系の構築を明記しています。

現在、中国では新型エネルギー体系の構築が加速し、エネルギー構造の脱炭素化が進展しています。しかし、新エネルギーの開発と石油・天然ガスの供給確保は対立する関係ではなく、「先に新たな基盤を立ててから旧来のものを破る(先立後破)」という原則に基づく協調・共生の関係にあります。石油・天然ガスの安定生産が新エネルギー技術の成熟や産業拡大のための猶予期間を確保し、新エネルギーの規模拡大が石油・天然ガスへの消費依存度や海外依存度を段階的に低減させることで、双方でエネルギー安全保障の防衛線を強固にします。

供給の安定性という観点では、風力発電や太陽光発電には間欠性や出力変動という固有の課題があり、エネルギー貯蔵技術も現時点では高コストや容量制限といった課題を抱えています。そのため、全天候かつ全域での安定供給は困難です。一方、石油・天然ガスは制御性が高く、柔軟な調整や輸送・貯蔵の利便性に優れており、新エネルギーの発電不足を正確に補填し、電力網の安定運用や産業・民生用エネルギーの連続性を担保できます。2025年時点でも、石油・天然ガスは中国の一次エネルギー消費の約27%を占め、短期間で新エネルギーへ完全に代替することは困難です。

また産業用途の側面でも、石油・天然ガスは動力源にとどまらず、ハイエンド製造業や農業用化学肥料、新素材産業において不可欠な基礎原料であり、完全に代替できる成熟技術は存在していません。戦略安全面においても、石油・天然ガスの戦略備蓄は国家の中核的備蓄資源であり、サプライチェーンの維持や経済社会の安定に直結しています。

サプライチェーン全体で供給確保能力を強化

現在、中国の原油の海外依存度は約70%、天然ガスは約40%に達しています。国際市場のリスクを緩和するためには強固な国内生産能力が必要であり、「計画」では2030年における国内の石油・天然ガス供給目標として4.4億トン(原油換算)を掲げました。また、単なる増産にとどまらず、「生産・輸送・備蓄・販売」のサプライチェーン全体を連携させ、弾力性の高いシステム的供給体系を構築します。

【生産体制の強化】
2030年の供給目標達成に向け、東部の既存地域における精細な探査、中西部や海域での集中探査、新規領域のリスク探査を強化します。石油の埋蔵量代替率1以上を維持し、天然ガスではさらなる向上を図ります。また、海洋石油・天然ガス生産量を億トン規模へ引き上げるプロジェクトや、大慶や勝利などの既存油田の長期安定生産を推進し、オルドス、渤海湾、四川・重慶などに戦略保障拠点を設置します。

【輸送網の緊密化】
「計画」では長距離パイプラインを2万キロメートル新設し、パイプライン網の総延長を22万キロメートル超へと拡大することを明確にしました。「川気東送2期」などの戦略ルートを整備するほか、既存インフラを活用した大口需要家への直供・直販を支援し、供給コストを低減します。さらに、天然ガスへの水素混入や、石油製品パイプラインによるクリーンエネルギー輸送の転用など、多エネルギー統合に向けた高度化も進めます。

【多角的な備蓄体制】
石油分野では、政府備蓄、企業の社会的責任備蓄、商業在庫が連携する備蓄体制を整備します。天然ガス分野では、2030年までに天然ガス備蓄が消費量に占める比率を13%超とする目標を掲げ、地下貯蔵施設の開発や沿岸部の液化天然ガス(LNG)受入拠点を拡充します。オルドスや哈密などでの石炭由来油ガス戦略拠点の建設も進め、緊急時の代替能力を高めます。

【輸入ルートの最適化】
2030年までにLNG受入能力2億トン/年、陸上パイプライン輸入能力1140億立方メートル/年を目指します。陸上の戦略輸入ルートを強固にしつつ、海上LNGの調達国を多角化することで地政学リスクを分散し、国内パイプライン網との円滑な接続を図ります。

「双炭」目標に向けた低炭素転換と多エネルギー融合

石油・天然ガス産業の低炭素化は事業規模の縮小ではなく、技術革新とエネルギー融合を通じた新たな成長機会の創出を意味します。

生産現場では、全プロセスの脱炭素化を中核とし、省エネ改修やエネルギー効率の向上を図ります。メタンや揮発性有機化合物(VOC)の排出監視を常態化するほか、効率の低い石油精製設備を抑制し、「油から化学品へ、油から特殊品へ、油から機能性材料へ」という高付加価値化を進めます。

また、脱炭素化の切り札としてCCUS(二酸化炭素回収・利用・貯留)技術の確立を推進します。「計画」では2030年にCCUSによる二酸化炭素の年間注入量を1000万トンとする目標を設定しました。低コストな回収技術や効率的な貯留技術の開発に注力し、大規模な実証プロジェクトの展開や炭素市場を活用した収益化メカニズムを構築します。

さらに、単一の石油・天然ガス生産から脱却し、風力、太陽光、水素エネルギー、地熱などを組み合わせた「油・ガス・熱・電・水素・蓄電」が相互補完するエコシステムの構築を目指します。油田の遊休地を活用した新エネルギー開発、天然ガスへの水素混入、グリーン電力を用いた採油技術などを導入し、石油・天然ガス企業を単なるエネルギー採掘企業から総合エネルギーサービス企業へと進化させていく方針です。

出典: 元記事を読む

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