この記事のポイント
- 中国工業情報化部が『「AI+ソフトウェア」特定行動実施方案』を発表し、2028年までに2万社のソフトウェア企業への普及を目標に設定。
- AIエージェントソフトウェアの育成を急ぎ、提供形態が「製品の販売」から「機能や能力の提供」へとシフト。
- 基礎ソフトウェア企業と半導体チップ・サーバーメーカーの協調最適化に向け、15カ所以上の適合センターを建設予定。
- 計算能力(演算リソース)のコスト低減や高品質データセットの整備、標準化を通じて開発環境を整備。
2028年に向けた「AI+ソフトウェア」行動計画の策定
中国工業情報化部が発表したデータによると、今年1〜8月における中国のソフトウェア業務収入は前年同期比8.8%増の10兆2820億元に達しました。利益総額は前年同期比1.3%増の1兆1837億元と堅調に推移し、ソフトウェア業務の輸出額も前年同期比12.5%増の459億9000万ドルと高い伸びを維持しています。なお、2025年のソフトウェア業務収入は15兆4800億元に達し、2012年比で6.2倍、年平均複合成長率は15.1%となっています。
こうした中、急速に進展する人工知能(AI)による産業構造の変革を受け、同部は新たに『「AI+ソフトウェア」特定行動実施方案』(以下、『実施方案』)を策定しました。『実施方案』では、2028年までにソフトウェアおよびITサービス業のインテリジェント化水準を大きく高める方針を掲げています。具体的には、一定規模以上のソフトウェア企業2万社への普及、ソフトウェア企業の知能化に向けた技術改修プロジェクト100件の実施、重点産業におけるAIエージェント(スマートエージェント)ソフトウェアのモデル活用100件の創出、優れたオープンソースプロジェクト5件以上の育成などを目指します。
AIがもたらす開発手法と製品形態の変革
現在、中国では国産の基本ソフト(OS)やデータベースなどの基礎ソフトウェアの性能が向上し、産業用ソフトウェアも重点分野を網羅する体制が整いつつあります。また、国産大規模言語モデル(LLM)を中心としたオープンソースエコシステムの影響力も高まっており、2026年6月時点で日平均のトークン(詞元)利用量は500兆を突破しました。
工業情報化部情報技術発展司の王威偉副司長は、AIによるソフトウェア産業の再構築は「生産方式の変革」「製品形態の再構築」「サービスモデルの再構築」の3点に表れていると指摘します。要件定義からコード生成、テスト運用まで全工程をAI開発ツールが担うことで、開発効率の大幅な向上と参入障壁の低減が進んでいます。また、ソフトウェアは受動的なツールから自律的に課題を解決するパートナーへと進化し、製品を販売する形態から「サービスとしてのモデル(MaaS)」や「サービスとしてのエージェント(AaaS)」のように機能や価値そのものを提供する形態へと転換が進んでいます。
業務現場におけるAIエージェントの導入成果
実際のビジネス現場でも導入効果が現れています。例えば同仁堂科技は、浪潮海岳Manoエンタープライズ・スマート実行システムを基盤とし、AI対話、データ分析、財務報告、モバイル向けスマート機能の4領域にマルチエージェント協調技術などを導入しました。これにより、わずか30秒で完全な分析ダッシュボードを生成可能となったほか、経費精算の差戻し率が60%低減し、ナレッジ取得効率が80%以上向上したとされています。
中国電子情報産業発展研究院の朱敏副院長は、AIエージェントソフトウェアの普及に向けて、専用のアプリケーションストアやスキルパッケージのリソース整備が重要であると提言しています。業界ごとの専門知識を組み込んだ高品質なスキル群の開発を促し、オープンソース環境を整備していく構えです。
半導体チップとの垂直統合と計算能力基盤の強化
基礎ソフトウェアや産業用ソフトウェアの領域では、主要な性能向上が進む一方で、コア技術や根幹の独自開発力には依然として課題が残されています。AIとの融合手法としては、既存構造にAI機能を追加する「AIアシスト型」と、AIモデルがソフトウェアの中核を担う「AIネイティブ型」の2つのアプローチが挙げられます。
こうした課題を克服するため、工業情報化部は基礎ソフトウェア企業と半導体チップやサーバーなどのハードウェアメーカーによる下位レイヤーでの最適化・共同研究開発を支援する方針です。国内に15カ所以上の適合検証センターを設立し、ハードウェアとソフトウェアが一体となった協調技術体系の確立を急ぎます。
また、AIとソフトウェアの融合には安定したインフラ基盤が不可欠です。『実施方案』では、計算能力(演算リソース)、高品質データセット、標準化の3つを重要基盤として位置付けています。中小企業向けの「計算能力補助券(算力券)」などの政策支援を活用して利用コストを抑制し、幅広い事業者が高度な計算資源を利用できる環境を整えていくとしています。
出典: 元記事を読む
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