この記事のポイント
- 中国政府が「AI+」行動の全面実施を打ち出し、伝統産業の変革や次世代スマートデバイスの応用を加速。
- 人型ロボットの現場投入が進み、AI対応スマートフォンやパソコンでは独自半導体チップなどの開発競争が激化。
- 2025年の中国AI産業規模は1.2兆元超を見込み、基礎研究から実体経済への融合まで3大好機が到来。
政策主導で「AI+」行動を全面推進、次世代スマートデバイスの実装へ
人型ロボットの工場導入、スマートコネクテッド新エネルギー車の普及、AI搭載スマートフォンやパソコンの需要拡大など、人工知能技術は生産や生活の各分野へ急速に浸透しています。中国において先ごろ通達された「新質生産力の発展に関する意見(以下、意見)」では、「AI+(人工知能+)」行動の全面実施が明確に打ち出されました。
本「意見」では、AIによる伝統産業の刷新を推進し、スマートコネクテッド新エネルギー車、AIスマートフォンおよびパソコン、人型ロボットなどの新世代スマートデバイスの活用シーン拡大を急ぐ方針が示されています。また、基礎理論や中核技術のブレークスルー、演算性能・アルゴリズム・データの効率的な供給強化を掲げました。地域や業界の特性に応じたパイロットプラント(中試基地)の整備や高付加価値シナリオの創出を進めるとともに、安全で信頼性の高い運用を確保するための技術監視・リスク早期警戒・緊急対応体制の構築も盛り込まれています。
産業現場で進む量産化:人型ロボットとAIデバイスの進化
政策の後押しを受け、産業の現場でも急速な進展が見られます。業界で「量産元年」と位置づけられる2026年に向け、工業・情報化部および国務院国有資産監督管理委員会は6月、人型ロボットと具身智能(Embodied AI)の実証訓練アクションを始動し、年内に1万台規模の導入能力形成を掲げました。すでに繊維、自動車、民生用電子機器などの製造現場で実稼働が始まっています。
企業動向としては、启元机器人のグローバル旗艦店が上海に開設されたほか、优必选が広西チワン族自治区柳州に構える年産1万台超を計画したスマート工場が9月に正式稼働しました。また、智元机器人の2026年上半期出荷台数は8600台を超え、10倍規模の急成長を記録するなど、人型ロボットは量産出荷から多業界への実装フェーズに移行しています。
一方、AI対応スマートフォンやパソコン市場でも新製品の投入が相次いでいます。华为、小米、苹果、荣耀、vivo、OPPOなどの主要メーカーがフラッグシップ端末を相次いで発表しており、競争の主軸は折りたたみ形状や自社開発の半導体チップ、AIエージェント(智能体)を統合したシステムレベルの領域へと進展しています。
急成長する産業基盤とスマート経済がもたらす3大機会
中国情報通信研究院の試算によると、2025年における中国の人工知能産業規模は1.2兆元を超え、前年比40%増に達する見込みです。内訳は、インフラなどの基礎層が前年比59%増、モデル・フレームワーク層が同189%増となり、アプリケーション層の規模が全体の55%を占めています。2026年6月時点でのAI関連企業数は6600社を突破し、世界シェアの15%を占めるなど、基盤から応用までを網羅する産業エコシステムが確立されつつあります。
国家発展改革委員会の関係者は、AIと実体経済の高度な融合を通じて伝統産業の高度化や新興産業の育成を支援し、スマート化による産業全体の高付加価値化・グリーン化を推進する狙いを説明しています。
同済大学国家イノベーション発展研究院の研究員である宮超氏は、今回の政策推進によりスマート経済に以下の3つの機会がもたらされると分析しています。
- イノベーション手法の変革:AI for Science(科学研究向けAI)による基礎研究の促進や、大規模モデル・公共の計算能力の普及により研究開発コストを低減し、成果の実用化を加速する。
- 実体経済の高度化:製造・農業・サービス業などの伝統産業にAIを導入し、人と機械の協調によって全要素生産性を高め、産業の転換を後押しする。
- 新領域と生産要素の拡大:スマートデバイス、産業特化型モデル、AIエージェントなどの新市場を創出するとともに、データや計算能力、アルゴリズムといった新たな生産要素を活性化させる。
出典: 元記事を読む
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