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SEMICON.TODAY 5 min · 2026.10.09

CXMTのG5 DRAM量産―中国メモリは“追随”から自立へ進むのか

この記事を読むのにかかる時間: 5 分

中国のDRAMメーカーCXMTが、第5世代のDRAM技術プラットフォーム「G5 Platform」の量産を発表した。中国半導体のニュースには「規制を突破」「世界大手に追いついた」といった強い見出しが付きがちだ。だが、メモリの実力は1つの数字では測れない。何が確認でき、何がまだ確認できないのかを整理する。

この記事のポイント
■ CXMTは2026年9月、安徽省合肥で開かれたWorld Manufacturing Conventionで、第5世代DRAM技術プラットフォーム「G5 Platform」の量産を発表
■ 同時にLPDDR5X製品のラインアップも発表。SAQPを用いて、メモリアレイのactive area half-pitchを11.95nmにしたと説明
■ TrendForceは、G5により前世代比でウエハ当たりのダイ数が50%以上増えたと報じた
■ 中国DRAMの進展はスマートフォン、AIクラウド、サーバー、国内サプライチェーンに影響するが、HBMや最先端DRAMで大手3社に追いついたと断定する段階ではない

CXMTは、1枚のウエハから取れるDRAMチップの数を大きく増やす微細化を、EUVに頼りすぎない手法で量産にこぎつけた。中国メモリの自立に向けた重要な一歩だが、「世界大手と同じ土俵に立った」とはまだ言えない。

何が発表されたのか

CXMT(ChangXin Memory Technologies)は公式発表で、G5 Platformが量産に入ったこと、LPDDR5X製品のラインアップを同時に発表したこと、SAQPによってメモリアレイのactive area half-pitch(セルが並ぶ間隔の半分)を11.95nmにしたことを説明した。TrendForceも、G5 DRAMにより前世代比でウエハ当たりのダイ数が50%以上増えたと報じている。

図1 G5によるウエハ当たりダイ数の変化指数

出典:各社・各団体の公表資料をもとにSEMICON.TODAY編集部作成

ウエハ当たりのダイ数が増えるということは、同じ設備・同じウエハから、より多くのメモリチップを作れるということだ。1ビットあたりの製造コスト(cost per bit)の低減につながる、メモリ事業の競争力の根幹である。

基礎から理解する:SAQPとは

SAQP(Self-Aligned Quadruple Patterning)は、1回の露光で描いたパターンを出発点に、成膜とエッチングを繰り返して線の密度を4倍にするマルチパターニング技術である。最先端のEUV露光装置を使わずに、あるいはEUVへの依存を抑えながら微細なパターンを作る手法として使われる。

図2 SAQPの概念図

出典:各社・各団体の公表資料をもとにSEMICON.TODAY編集部作成

「G5」を他社の世代名と単純比較しない

G5という世代名を、Samsung、SK hynix、MicronのDRAM世代名と単純に並べないことが重要である。メモリアレイのハーフピッチ、DRAMセルの構造、周辺回路、製品の速度・電力・容量、HBMへの対応など、何を基準に世代を区切るかはメーカーごとに異なる。

中国市場にとっての意味

中国国内では、スマートフォン、EV、エッジAI、AI PC、クラウドサーバー向けにメモリ需要が増えている。低消費電力DRAM規格であるLPDDR5Xを国内で安定供給できることは、中国の端末メーカーにとって調達面の意味を持つ。

ただし、LPDDR5Xの量産と、HBMやサーバー向け最先端DRAMの競争力は分けて考える必要がある。HBMでは、DRAMダイの積層、TSV、マイクロバンプ、ハイブリッドボンディング、熱設計、歩留まり、GPUとの組み合わせ検証が必要になる。

図3 CXMT G5をめぐる評価の整理

出典:各社・各団体の公表資料をもとにSEMICON.TODAY編集部作成

注意すべき点

CXMTのG5 DRAM量産は、中国メモリ産業にとって重要な節目である。しかし、世界市場で大手3社と同じ立場になったことを意味しない。国際市場での採用には、品質、長期供給、顧客認証、性能、価格、地政学リスクが関わる。

メモリの技術進展は、微細化、歩留まり、量産規模、製品ラインアップ、顧客採用、コスト、信頼性、装置・材料の供給網を分けて見る必要がある。単一の数字だけで「追いついた」と判断するのは避けたい。

まとめ

CXMTは、SAQPによってactive area half-pitch 11.95nmを実現したG5 Platformの量産に入り、LPDDR5Xラインアップを発表した。ウエハ当たりダイ数が前世代比50%以上増えたとの報道もあり、コスト競争力の向上につながる進展である。

中国メモリは“追随”から自立へ一歩を進めた。ただし、HBMや最先端のサーバー向けDRAM、海外顧客での採用はこれからの論点である。次に注目すべきは、歩留まりと量産規模、そして中国国外への広がりだ。

用語解説

用語説明
CXMTChangXin Memory Technologiesの略。中国のDRAMメーカー。
SAQPSelf-Aligned Quadruple Patterningの略。1回の露光パターンから線の密度を4倍にする微細加工技術。
Active area half-pitchDRAMセルアレイの微細さを示す指標の一つ。繰り返しパターンの間隔(ピッチ)の半分。
LPDDR5Xスマートフォンなどで使われる低消費電力DRAMの規格。
Cost per bit1ビットあたりの製造コスト。メモリ事業の競争力を測る重要な指標。
ウエハ当たりダイ数1枚のウエハから切り出せるチップの数。多いほど製造コストが下がる。

出典(Sources)

・S1|CXMT|CXMT Announces Mass Production of 5th-Generation DRAM Technology Platform|2026-09

本文での主な参照箇所:G5 Platform量産、LPDDR5X、SAQP、11.95nm half-pitch

・S2|TrendForce|CXMT G5 DRAM Enters Mass Production with 50%+ Higher Dies Per Wafer|2026-09-21

本文での主な参照箇所:ウエハ当たりダイ数50%以上増、業界評価

※本記事は各社・各団体の公表資料をもとに作成したものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。
記載内容は執筆時点の公開情報に基づきます。

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