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中国最高人民法院、AI巡る初の司法判断指針を発表 ディープフェイクや著作権侵害に対応

2026.09.20
この記事を読むのにかかる時間: 2 分

この記事のポイント

  • 中国最高審判機関として初となる、AI関連紛争を対象とした司法判断指針を策定
  • 「ディープフェイク(顔・音声合成)」やネット上の晒し行為、価格差別に対する法的責任を明確化
  • AI生成コンテンツによる著作権侵害では、技術特性や管理能力に応じた責任負担を要求
  • モデル開発における公開データの適法利用など、イノベーション保護に向けた配慮も提示

最高法がAI関連紛争に関する初の司法解釈を発表

中国の最高人民法院(最高裁判所)は先日、『人工知能を巡る紛争案件の法に基づく審理に関する意見』(以下『意見』)を発表しました。全24条からなる本『意見』は、「ディープフェイク(AIによる顔や声の合成)」、「AIの幻覚(ハルシネーション)」による権利侵害、ネット上での個人情報の晒し行為(网络开盒)、既存ユーザーへの割高提示(大数据杀熟)などの重要課題に焦点を当て、司法判断ルールを明確化することで、デジタル時代における民事権利の保護とAI産業の健全な発展を後押しします。

本文書は、国家最高審判機関が発表した初のAI関連司法判断ルールです。最高人民法院の陶凱元副院長は、「AIは新技術であり、それに伴う法的問題も新しい課題です。現在、中国ではAIに特化した単行法はまだ制定されていません」と述べた上で、民法典、サイバーセキュリティ法、著作権法、個人情報保護法、民事訴訟法などの関連規定に基づき、紛争処理の理念と指針を示したと説明しました。

人格権侵害への迅速な救済と悪質行為への責任追及

『意見』によれば、AIを利用して肖像権、名誉権、プライバシー権、音声に関する権利を侵害する行為に対しては、明確な法的責任が科されます。具体的には、本人の同意なく生成AIを用いて特定の個人や故人の氏名・肖像などを処理し、識別可能なデジタルアバターを生成・公開する行為や、生成されたアバター・音声を悪用して不適切な言動を行い社会的評価を低下させる行為は、権利侵害と認定されます。

AIを用いた人格権侵害は、低コストで拡散が早く、被害回復が困難という特性があります。最高人民法院研究室の司艶麗副主任は、「事後的な訴訟による従来の救済モデルでは被害者の迅速な保護が困難なため、人格権侵害差止命令の適用が極めて重要です」と説明しています。AIによる顔のすり替えで虚偽のわいせつ情報を流されるなど、回復不能な損害が生じる恐れがある場合、被害者は裁判所に侵害差止を申し立てることができます。

また、同一商品やサービスにおいてアルゴリズムを用いて不合理な価格差別を行い損害を与えた場合、事業者は不法行為責任を負うと定められました。さらに、AIを用いた「著名人のなりすまし販売」で詐欺が成立する場合、消費者が求める懲罰的損害賠償を裁判所が法に基づき支持する方針も示されました。

著作権侵害の責任ルールと不正競争の防止

「第15次5カ年計画(十五五)」綱要では、AI生成物の権利帰属および開発者・事業者・利用者の責任ルールの策定が盛り込まれており、知的財産保護関連の計画でもAIに対応した著作権制度の改善が求められています。

『意見』は、AI生成コンテンツが他者の著作権を侵害した場合の責任認定ルールを明示しました。最高人民法院民三庭の李剣庭長は、「AIが生成したことのみを理由に責任を免れることはできず、管理能力や注意義務に応じた責任を負うべきです」と説明しています。注意義務の判断においては、技術およびビジネスモデルの特性、当事者が生成過程で果たした役割、学習用データの提供主体、講じられた必要措置、得られた利益などを総合的に考慮します。

さらに、AI生成の画像、動画、アバターを用いてPV数や高評価を偽装したり、AI合成の解説動画を悪用したりする不正競争行為についても、なりすまし侵害や虚偽宣伝にあたると認定される方針が示されました。

イノベーション保護と適法なモデル学習の確保

一方で、『意見』は産業の健全な発展とイノベーションの保護についても配慮を示しています。AIの利用シナリオやリスクの大きさに応じて責任を正確に判断し、「AI製品」の認定を法に基づき厳格に行うことで、過度な製造物責任の拡大を防止します。また、研究開発や応用における革新的な試みに対しては慎重に判断を行う姿勢を打ち出しました。

AIモデルの学習に関しては、法に基づき合法的に公開されている個人情報を合理的な範囲で処理し、かつ本人が明確に拒否していない場合、原則として権利侵害とは認定しない方針が示されました。ただし、個人の権利に重大な影響を及ぼす場合には、法令に従って本人の同意を得る必要があります。

出典: 元記事を読む

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