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2つの世界大会から見る中国ロボット産業の現在地と実用化への課題

2026.09.18
この記事を読むのにかかる時間: 3 分

この記事のポイント

  • ロボット産業の展示方針が「スペック競争」から「実現場での遂行能力」へと変化しています。
  • 2025年の中国ロボット産業(規模型企業)の売上高は3,000億元を突破し、自動車製造や物流現場での検証が加速しています。
  • 具身知能(Embodied AI)の大規模導入には、作業効率や汎用性の向上が共通の課題として指摘されています。

展示の焦点は「性能アピール」から「現場での遂行力」へ

8月22日に国家速滑館で開幕した第2回世界ヒューマノイドロボット競技大会には、16カ国から666チーム、2,056台のロボットが参加しました。同時に、北京亦庄では2026世界ロボット大会が開催され、世界中の先端技術と産業成果が集約されています。

展示内容の変化は、産業の展示ロジックが大きく変わったことを示しています。かつてのような動作の派手さやパラメータの数値を誇る段階から、現実の利用環境で「確実に作業を成し遂げる」ことを競うフェーズへと移行しました。

ハーフマラソンで走行実績のある「天工」は、北京人形機器人創新中心が発表した「具身天工3.0」技術プラットフォームをベースに、梅花杭(飛び石のような障害物)の歩行や階段の昇降、匍匐前進などの多タスク実演を行いました。また、銀河通用は「1つの頭脳で複数の機能」を担う方案を示し、朝食の調理タスクにおいて観客がパンを動かしたりボトルの口を塞いだりしても、自律的に対処するデモンストレーションを実施しました。

競技会を通じた研究開発と部品の精密化

競技大会の種目数は初回の26種目から51種目へと大幅に増加し、そのうち21種目が実用シーンを想定した種目となりました。長時間の稼働や安定性だけでなく、短距離での高速移動や急旋回といった動作の限界に挑戦しています。

北京市経済情報化局の姜広智局長は、「跳躍力を1センチ引き上げ、重量を1キロ多く持ち上げる背景には、エンジニアによる関節モーターや減速機の継続的な最適化と精密な検証が存在します。こうした現場手前の技術を磨くことで、競技での成果がそのまま実際の受注や現場導入へ直結します」と述べています。

急成長する市場規模と産業現場への浸透

工業・情報化部のデータによると、2025年における中国ロボット産業の一定規模以上の企業(規模型企業)による売上高は3,000億元を突破し、過去5年間の年平均成長率は20%を超えました。2026年上半期の売上高は1,655億元に達し、前年同期比24.5%増を記録しています。

専門家の間では、具身知能(Embodied AI:身体性を持つ人工知能)製品が「小規模な試験利用」から「大規模な現場導入」への転換点にあるとの認識が共有されています。

  • 公共・民生サービス:北京市の14の市営公園では、72台のロボットが路面の清掃や巡回監視などの公共サービスに投入されています。
  • 自動車製造:小米(シャオミ)、比亜迪(BYD)、上汽、一汽など約10社の大手自動車メーカーが、実際の生産ラインにおいて部品搬送やローディング・アンローディング作業の検証を進めています。
  • 物流現場:荷役作業の自動化に向けて、専用のバーティカル大規模言語モデルを活用し、不規則な荷物や混載貨物の位置や把持力を自動調整して1時間あたり最大1,000個を搬送するシステムが開発されています。
  • 過酷環境:高温や溶接ヒュームが発生する環境において、作業者が位置指示ペンで指定するだけで自動溶接を行うロボットが、建築用鉄骨や造船、橋梁建設などの現場に導入されています。

中国電子学会の徐暁蘭理事長は、具身知能産業には1対10の乗数効果があり、データ分析者、ロボット行動トレーナー、人機協調スケジューラー、スマート運用保守エンジニアなどの新たな職種を創出すると指摘しています。大会で発表された報告書では、今年の中国におけるヒューマノイドロボットの完成品生産台数が10万台を突破する見込みであると予測されています。

普及に向けた課題:効率と汎用性の壁

市場の盛り上がりに対し、冷静な視点も求められています。技術が研究段階から産業全体へ普及するには、依然として課題が残されています。家庭や医療現場での支援ロボットは、まだ実証実験の域を出ていません。

宇樹科技(Unitree Robotics)の創業者である王興興氏はフォーラムにおいて、「大規模な普及に至っていない最大の要因は、作業効率と汎用性の不足にあります。簡単な組み立て作業は可能になったものの、人間と比べて効率が低く、新しいタスクが発生するたびに再トレーニングが必要になります。これは世界共通の技術的ボトルネックです」と課題を述べています。

具身知能は、人工知能、モーションコントロール、先進製造、新材料、バイオメディカルなど多岐にわたる先端技術の複合体であり、エコシステム全体での連携が不可欠とされています。

出典: 元記事を読む

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