Lam Researchが切り拓く3D構造時代 Etch&Dep装置の革新の数々

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デバイス構造の3次元化は、今や半導体産業の主戦場と言える。3D NANDはすでに300層を超え、さらなる高密度化に向けて1,000層を視野に入れた開発が加速している。ロジック側でもFin FETの限界を超える新構造、Gate-All-Around(GAA)の導入が進んでいる。

こうした超多層・ナノ構造時代では、「精度」「選択性」「深さ」といった従来以上に厳しいプロセス要件が求められる。そのなかで、重要となるのがEtch(エッチング)とDep(成膜)の技術革新だ。これが、構造進化の鍵を握っていると言える。

こうした状況の中、エッチング装置のLam Researchはこのような要求に応えるべく、極低温エッチング(Cryo Etch)、選択成膜(Selective Deposition)、高選択エッチング(Selective Etch)といった次世代装置群を市場に展開しはじめている。そして今や超多層構造時代を牽引する存在となっているのだ。本稿ではLam Researchの装置技術を紹介し、それが今後の3D構造時代をどう切り拓いていくかを考察する。

Lam Researchの装置群が支える3Dプロセスの革新

1. Cryo 3.0:1,000層NAND実現へ、冷却が変革する深堀り加工

Lam Researchが2024年に発表した「Lam Cryo™ 3.0」は、3D NAND向けに設計された極低温エッチング装置の最新世代である。

この装置は、ウェハを-100℃前後に冷却しながら高アスペクト比の構造を形成できる点が特徴。具体的には以下のようなメリットがある。

  • アスペクト比100:1以上の深堀りを実現
  • ΔCD(Critical Dimension変動)を9nm以下に抑制
  • エッチング速度:従来比2.5倍
  • 電力消費40%減、CO₂排出を90%削減

また、3D NANDの層数増加は、エッチングの難易度を飛躍的に高める。Cryo™ 3.0は、こうした要件に対応しつつ、環境負荷低減も両立させた「次世代NAND時代の鍵を握る」と呼べる装置である。

2. ALTUS® Halo:モリブデンによる「抵抗革命」と選択成膜の最前線

2025年初頭、Lam Researchは「ALTUS® Halo」という革新的な成膜装置を発表した。この装置では、モリブデン(Mo)を材料とする原子層成膜(ALD)を活用し、ロジックやAI用途の最先端配線に最適化された性能を発揮する。

主な特徴は:

  • タングステンより50%低い抵抗率
  • 空隙のない均一な金属膜を形成
  • 高密度配線でも低RC遅延と高信頼性を両立
  • 選択成膜で不要なエッチング工程を省略

これにより、AI・HPC・データセンター用途の先端ロジックチップにおいて、電力効率とパフォーマンスの両立を実現するキーテクノロジーと位置付けられる。

3. Selective Etch:GAA時代を支えるナノスケール選択除去技術

GAA(Gate-All-Around)構造では、複数の材料層(例:SiとSiGe)が微細に積層されるため、それぞれを選択的に除去できる高精度なエッチングが必要。

Lam Researchはこの領域でも、「Prevos™」「Argos®」「Selis®」といった、同社の選択エッチング技術を応用した製品群を展開している。これらは特に以下の用途で活躍している。

  • ナノシート形成におけるSiGe選択除去
  • 酸化膜と多結晶シリコン間のエッチング
  • 材料間界面のダメージ最小化

GAAでは、エッチングの選択性と均一性が歩留まりを左右する要素となる。Lam Researchの選択エッチング技術は、SamsungやTSMCのGAAプロセスでの実装実績もあり、その性能の信頼性が裏付けられている。

Lam Researchの革新が未来の多構造を可能に

3D構造化の進化により、プロセス装置の役割は「設計の制約を克服する手段」から「多構造を可能にする推進力」へと変わりつつある。

Lam Researchが展開するCryo™ 3.0、ALTUS Halo、選択エッチング製品群は、これまで不可能とされた構造の実装を現実のものにしつつあると言える。

今後、プロセスエンジニアや装置企画担当者にとって、このような装置の革新を正しく理解し、戦略に取り込むことこそが、未来の製造設計力を高める原動力となるだろう。

この記事は SEMICON.TODAY 編集部の坂土直隆が構成を担当しました。

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