サブ10nm世代に突入した現在、半導体の製造工程ではこれまで以上に高精度な洗浄が求められている。特に注目されているのが、露光・エッチング後に行われる「ウェハ洗浄」工程だ。
表面に残るナノサイズの微粒子や金属汚染物は、歩留まりや信頼性に大きな影響を及ぼす。これらの「見えない敵」を洗浄・除去し、次世代デバイスの製造を支える要素技術として、SCREENセミコンダクターソリューションズが2024年に発表した枚葉式洗浄装置「SU-3400」が注目されている。環境負荷の低減、パターンダメージの抑制、そして粒子除去性能の強化という複数の課題に同時対応したこの装置は、今後の最先端ロジック・メモリ製造における重要な役割を担うと見られている。本稿では、この「SU-3400」の詳細と、今後のウェハ洗浄に与える影響などを考察する。
歩留まりと環境性能の両立:「SU-3400」が起こした革新

1. 高密度化と構造複雑化に対応する「6段タワー構造」
SCREENが開発した「SU-3400」は、従来機の構造から大きく刷新された6段タワー型プラットフォームを採用している。この設計により、装置設置面積を約30%削減しつつ、最大1,200枚/時の処理能力を実現。微細化が進む中で、量産対応力も維持できる設計が大きな特徴である。
また、高密度化したプロセスでは、パターン間距離が極めて狭くなるため、洗浄中の液の挙動や流速、表面張力による材料ストレスへの配慮が不可欠。これに対し、SU-3400は、薬液供給の均一性と液残りを防ぐ気流制御技術を強化し、洗浄ムラやリンス不良を最小化することで対応する。
2. ナノ粒子除去を可能にするメガソニックと薬液制御の進化
SU-3400では、メガソニック(高周波振動)洗浄技術がさらに進化している。ナノスケールの粒子(特に10nm以下)を取り除くためには、過度な物理力に頼らず、液中のキャビテーション(空洞現象)を精密に制御する必要がある。SCREENは振動周波数・液供給・バブリングなどを統合制御することで、除去性能とパターン保護を両立させた。
また、薬液供給では必要な化学反応を最適なタイミングと位置で誘発する設計がなされており、過洗浄や材料侵食を防ぎながら、選択的除去性能が向上している。これにより、新材料(SiGe、Ruなど)を用いるプロセスにも対応可能となっている。
3. 環境負荷低減とスマート化
SU-3400は単に高性能な洗浄装置ではなく、環境配慮型の設計になっていることも大きな特徴。薬液使用量を従来比で大幅に削減し、全自動気流制御による排気流量の最適化によって、装置稼働時の環境負荷を約20%削減している。
また、プロセス条件や装置状態を常時センシングし、装置ごとのパフォーマンスや安定性を可視化するスマート制御技術も導入されており、開発段階・量産段階ともに工程最適化が可能となっている。
見えない粒子を制する者が、品質を制する時代が本格化

これまで半導体製造の主役は露光装置や成膜装置とされてきたが、製品品質と信頼性が一層重要視される現在、洗浄工程の重要性が再評価されている。
SCREENの「SU-3400」は、単なる装置更新ではなく、ウェハ洗浄の役割そのものを再定義するものだと言える。材料・構造の多様化と微細化が進むこれからの製造現場において、「見えない粒子を制する者が、品質を制する」時代が本格化しつつあるのだ。
SCREENの取り組みは、プロセスエンジニアや材料技術者にとって、これからの製造技術を見通す上で欠かせない「静かな革命」となるだろう。
この記事は SEMICON.TODAY 編集部の坂土直隆が構成を担当しました。