2025年12月17日〜19日、東京ビッグサイトで開催される「SEMICON Japan 2025」は、年末の恒例イベントから、「AI×サステナビリティ×半導体」を掲げる戦略ショーケースへと性格を変えつつある。主催者の説明では、半導体製造技術から装置・材料、アプリケーションまでを網羅し、来場者12万人規模を見込む大型展示会として準備が進められている。
今年は、とくに4つの点で変化が際立つ。
第一に、欧州連合(EU)が「EU Business Hub」を通じて、約50社の中小企業・スタートアップから成るEUパビリオンを組成し、ビジネスミッションとして日本市場に乗り込むこと。
第二に、材料とサステナビリティを扱う国際会議「Strategic Materials Conference(SMC)」が日本で初開催され、PFAS(有機フッ素化合物)や温室効果ガス(GHG)に関する代替材料が正面から議論されること。
第三に、日本精工(NSK)が「Beyond 2nm」世代を見据えた超低発塵コンポーネントと高精度アライメントテーブルを、SEMICON Japan初出展として打ち出すこと。
第四に、「AI×サステナ」「検査・計測」「材料サステナビリティ」に焦点を当てた新設サミット群が立ち上がることである。
本稿では、EUパビリオン、材料・サステナビリティ、コンポーネント技術、新設サミット群という四つの観点から、「SEMICON Japan 2025」が示すサプライチェーン再構築の糸口を考察する。
「SEMICON Japan 2025」の全体像

主催者の発表では、「SEMICON Japan 2025」は2025年12月17〜19日に東京ビッグサイトで開催され、「AI×サステナビリティ×半導体」が全体テーマとされていると紹介されている。主なポイントは次の通りである。
・会期:2025年12月17日〜19日
・会場:東京ビッグサイト
・来場者目標:12万人
・カバー範囲:前工程から後工程、装置・材料・アプリケーションまで
・新企画:
- AI x Sustainability x Semiconductor Summit(AIS)
- Metrology & Inspection Summit(MIS)
- Strategic Materials Conference(SMC、日本初開催)
SEMIジャパンの代表は、AIデータセンター需要の拡大に伴い、「前工程よりも後工程が脚光を浴びている」とし、パッケージングや検査・計測の重要性を強調している。検査・計測・測定に焦点を当てたMISや、材料動向を扱うSMCの新設は、その問題意識をそのまま反映したものといえる。
AISは、「AIとサステナビリティに関わるプレーヤーが集うスペシャルサミット」と位置づけられ、AIと半導体技術の進化を背景に、エネルギー効率向上や排出削減、サステナブルなサプライチェーンといったテーマで議論が行われる予定である。
こうした新企画の追加により、「SEMICON Japan 2025」は、従来の「装置・材料展示+個別セミナー」から、「AI」「サステナ」「材料」「検査」に横串を通した議論の場へと構造を変えつつある。
EUパビリオンとビジネスミッション――日本市場に乗り込む“約50社の欧州勢”
1.「世界トップクラスの半導体トレードフェア」に二度目の参加

EU Business Hub運営事務局のプレスリリースによれば、EUビジネスハブは「世界トップクラスの半導体トレードフェア」である「SEMICON Japan 2025」に、EUパビリオンとして参加する。2024年に続き二度目の参加となる。
リリースでは、「SEMICON Japan 2025」について次のように説明している。
・日本最大級かつ最も影響力のある半導体トレードフェア
・開催日:2025年12月17日〜19日
・会場:東京ビッグサイト
・EUパビリオン:西1ホール W1401 に設置
EUパビリオンは、欧州の中小企業およびスタートアップ50社が出展し、プロセス装置、検査・計測、基板・材料、シミュレーションソフトウェア、量子技術、バイオセンサなどの分野で専門性を披露する構成となっている。
2.5日間のビジネスミッションと“フルサービス”支援
EU Business Hub本体のミッション案内ページによると、「EU Business Hub @ Semicon Japan 2025」ビジネスミッションは2025年12月15〜19日の5日間で実施される。プログラムは以下の通りである。
・Day 1:東京到着、ウェルカムレセプション
・Day 2:市場・セクターのブリーフィング、スタディツアー
・Day 3〜5:SEMICON Japan会場での展示、ネットワーキング、B2Bミーティング
選抜された最大50社の欧州企業に対しては、事前の市場インテリジェンスやセクタ別ブリーフィング、日本企業との事前アレンジ済みマッチング、文化・言語支援(通訳など)、宿泊費支援(最大1,000ユーロ)、出展料カバー、翻訳・法務サポートなど最大1,000ユーロのカスタマイズ支援が提供される。
日本側からみれば、「市場理解を一定程度済ませ、事前マッチングされた欧州中小企業が、EUパビリオンを拠点に一気に日本市場へ入ってくる」構図になる。
3.EUが見ている日本半導体市場の姿
EU Business Hubはミッションページの中で、日本市場について以下のポイントを示している。
・日本は世界第4位の経済規模
・日本の半導体市場は2025年に465億ユーロ規模に到達
・日本政府は2030年までに国内半導体売上高15兆円以上を目標
・GX戦略の一環として次世代パワー半導体やグリーンデータセンターを重視
EU側は、日本の政策コミットメントとグリーン成長戦略、そして半導体の売上目標を総合して評価し、その“入口”として「SEMICON Japan 2025」を位置づけている。
材料・プロセスのサステナビリティ最前線――メルクとSMCが示す“日本初”の議論
1.SMC日本初開催と「材料サステナビリティ」の前面化

「SEMICON Japan 2025」では、材料動向を議論する国際会議「Strategic Materials Conference(SMC)」が日本で初開催される。SMCは米国や韓国でも開催され、材料ロードマップや環境規制を議論する場として知られる。
メルクの公開情報では、SMCでEUV-CAR向け水系リンス材料についての講演を行い、「SEMICON Japan」ではPFAS代替とサステナビリティをテーマにしたセッションを予定している。
2.PFAS・GHG課題を“材料”から読み解く
メルクの説明によれば、PFASはレジストやリンスに広く使われ、生体蓄積の懸念がある。
一方、従来型エッチングガスは大気寿命が長くGHG排出の観点から代替が求められている。
同社は、EUV向けリンスや各種レジスト材料でPFAS代替候補を開発し、低GWPのエッチングガスも研究中である。こうした材料選定は、Scope1/2/3に直結するため、サプライチェーン全体の環境負荷と直接リンクする。
日本精工の初出展アライメントテーブル――Beyond 2nm時代の日本発コンポーネント
1.「超低発塵」と「SEMICON Japan」初出展の意味
日本精工(NSK)は、Beyond 2nm世代を見据えた超低発塵シリーズや高精度アライメントテーブルをSEMICON Japanで初披露すると発表している。
高精度アライメントテーブルは、くさび機構と高精度ボールねじ・リニアガイドを組み合わせ、
整定時間短縮と高剛性を両立している。
2.真空・低アウトガス・長期安定稼働
真空環境用XYテーブルは、低アウトガスと長期安定稼働を実現し、モータ位置の工夫で発熱影響を減らしている。
ハイブリッドXYテーブルは、高剛性・超精密位置決めを広ストロークで実現する。
これらのスペックは、Beyond 2nm世代の要件――高精度、真空・高温対応、低発塵・低アウトガス――に直結する。
3.AI×診断技術の状態監視ソリューション
NSKはAIモデルを活用した状態監視ソリューションも紹介している。
ベアリングなどの振動・温度データから異常兆候を検出することで、予知保全を実現する。
“初開催”サミット群が映す検査・後工程重視の潮流――AIS/MIS/SMCで何が議論されるのか

AISはAIとサステナビリティ、MISは検査・計測、SMCは材料サステナビリティが主題であり、従来分散していた議論が「SEMICON Japan 2025」に収束する構造となっている。
戦略イベントへと変貌しつつある「SEMICON Japan 2025」

「SEMICON Japan 2025」は、欧州勢の参入、材料サステナビリティ、そしてBeyond 2nm対応コンポーネントの初出展などを通じ、戦略イベントへと変貌している。
EUパビリオンでは規制・サステナテーマと結びつく技術が集まり、
SMCやAISでは材料・AI・サステナの議論が展開される。
日本精工の展示からは、次世代製造装置に求められるメカトロ要件が読み取れる。
「SEMICON Japan 2025」は、グローバルサプライチェーンの再設計を議論する場として重要性を増しており、その動きをどう企業戦略に取り込むかが今後の競争力を左右する。
*この記事は以下のサイトを参考に執筆しました。
参考リンク