PS5はなぜ高価で品薄になりやすいのか? PS5や最近のゲームは、どうしてあんなに映像がきれいなのか?
PS5についてはこうした疑問や驚きがつきまいといます。
実はその陰には、必ず半導体の存在があるのです。
ゲーム機の中には、画面を描くチップ、キャラクターの動きを計算するチップ、データを覚えておくチップ、ネットにつなぐチップなど、多くの半導体がぎゅっと詰め込まれています。
どれか一つが欠けても、ゲームとして成り立ちません。
本稿では、PS5がなぜ品薄になりやすいのか、その中で半導体がどのように働いているのかを、次の3点から見ていきます。
• PS5が「買いにくい」状態になりやすい背景
• 美しいゲーム映像をつくるチップの役割
• 冷却・電源・通信といった“裏方半導体”の重要性
PS5が「品薄になりやすくなる」背景にあるもの

PS5は発売からしばらく、抽選販売が続くなど、店頭で手に入りにくい時期が長く続きました。
そのときに不足していたのは、箱やコントローラではなく、中に入っている半導体なのです。
1. 世界中が同じメモリを取り合っている
その原因は一言でいえば、「世界中で同じような半導体、とくにメモリを取り合っていたから」です。
AI向けデータセンター、スマートフォン、PCなど、さまざまな機器がメモリチップを必要としています。
とくにメモリは、AI向けサーバーやクラウドサービスでも大量に使われます。
市場調査会社TrendForceによると、サーバーやPC向けのDDR4メモリは、2025年第2四半期に世界的な供給逼迫を背景に、契約価格が前期比で2桁パーセント台の上昇が見込まれました。
サーバー向けは18〜23%、PC向けは13〜18%の値上がりという予測です。
さらに、2025年第3四半期には、従来型DRAMの契約価格上昇とビット出荷量の増加、AI向け高帯域メモリ(HBM)の伸びにより、世界のDRAM売上高は414億ドルと前期比30.9%増となりました。
PS5に使用されているメモリも、このDRAMファミリーに属します。
AIサーバーなど利益の大きい分野に生産が偏ると、ゲーム機向けメモリの価格が上がったり、必要な量を確保しにくくなったりします。
このため需要が高い時期には、「欲しい人の数に対して、十分な台数が作れない」という状況が生まれやすくなるわけです。
2. 「半導体不足」とPS5品薄の関係
PS5が品薄になりやすい背景には、「最先端チップをつくる工場ラインの取り合い」もあります。
コロナ禍以降、ニュースで「半導体不足」という言葉が何度も登場しました。
工場の稼働制限や物流の混乱、在宅需要の急増などが重なり、車から家電、ゲーム機まで、さまざまな製品で部品不足が起きました。
PS5の心臓部には、CPUやGPUなどをまとめた大きなチップが載っています。
これらは最先端の製造ラインで作られ、以下のような構成です。
• SoC(CPU+GPU):ゲームの計算や映像処理をまとめて担当
• メインメモリ(GDDR6など):データを一時的に置いておく
• 補助メモリ(DDR5):OSなどの処理用
• フラッシュメモリ:ゲームデータ保存
• パワー半導体:電源制御
• 通信チップ:ネット接続
• インターフェースチップ:USBやHDMI対応
どれか1種類でも供給が滞ると、PS5の出荷台数に直接影響します。
ゲーム映像をつくる主役:SoCとGPU

1. SoCは「ゲーム機の頭脳」を集積したチップ
PS5 / PS5 Proには、SIEとAMDが共同開発したカスタムSoCが搭載されています。
• CPU:ゲームのルール、敵の動き、物理演算などを担当
• GPU:キャラクターや背景などの描画処理
SSDや映像出力、サウンドもSoC内で処理され、処理距離が短くなることで、省電力と高性能を実現します。
2. PS5 Proで強化された映像処理
PS5 Proは、高解像度・高フレームレートに加えて、AIによるアップスケーリング技術「PSSR」を搭載。
同じ性能でもより高品位な映像表示が可能となります。
PSSRは輪郭や質感を補完し、よりリアルな映像を実現。
SoCの製造には微細加工が用いられ、データセンターやスマホ用チップと製造ラインを奪い合うことになります。
データを覚える役:DRAMとGDDR6メモリ

1. GDDR6とDDR5の役割分担
PS5 Proでは、GDDR6メモリがGPU用、DDR5メモリがOSなどの処理を担当。
この分担により、GDDR6がゲーム処理に集中でき、応答性や映像の安定性が向上します。
2. メモリ不足はゲーム機にも影響する
メモリの製造優先順位がAIサーバーなどに移ることで、GDDR6やDDR5の供給が難しくなり、PS5シリーズの製造や販売計画に影響が及びます。
冷やす・電気を送る・ネットにつなぐチップたち

1. 冷却を支えるチップとセンサ
PS5 Proは、液体金属や大型ヒートシンクを用いた高効率冷却機構を採用。
温度センサや制御チップがファン回転数を調整し、安全性と静音性を両立しています。
2. 電源を管理するパワー半導体
パワー半導体は、部品ごとに電圧を最適化しながら電力供給を行い、消費電力と発熱を抑制。
これにより、データ破損などのトラブルも防止しています。
3. ネットワークをつなぐ通信チップ
Wi-Fi 7対応モデルも登場し、通信チップがネット品質を最適化。
ラグや切断を抑え、快適なゲーム体験を実現します。
ゲームから半導体の世界が見えてくる

ゲーム機は、最先端と身近さが交差する製品。
ニュースを見るときも「どのチップがどう働くか」に注目すると、より深く理解できるはずです。
シリーズ「半導体の世界をのぞいてみよう」では、今後も半導体産業の構造や戦略などさまざまな側面を解説していきます。
知りたいテーマがあれば、画面右側のコメント欄からお寄せください。
読者の疑問にもできるかぎりお応えしながら進めてまいります。
*この記事は以下のサイトを参考に執筆しました。
参考リンク
- PlayStation®5 Proを分解──凝縮された最新技術とこだわりの工夫の数々を開発者が解説
- PlayStation 5 Pro Teardown: An inside look at the most advanced PlayStation console to date
- Rising Demand and EOL Plans from Suppliers Drive Strong DDR4 Price Growth in 2Q25(TrendForce)
- Global DRAM Revenue Jumps 30.9% in 3Q25, Micron’s Market Share Climbs by 3.7 Percentage Points, Says TrendForce:
- Semiconductors have a big opportunity—but barriers to scale remain(McKinsey)