2025年10月7〜9日、北米最大級の半導体総合イベント「SEMICON West 2025」が開催される。今回は、50年以上続いた米国カリフォルニア州サンフランシスコの「サンフランシスコ・モスコーニセンター」を離れ、米国アリゾナ州フェニックスの「フェニックス・コンベンションセンター」へ舞台を移す。この移動の背景には、米国では生成AIブームに沸く、半導体の製造拠点南西部地域へシフトという現状がある。これについて、主催者のSEMIは、「今回のフェニックスでの開催は、アリゾナ州が半導体製造拠点として重要になっているため」と強調している。
本稿では、「SEMICON West 2025」について、すでに公開済みの講演プログラムや主要出展社の資料を踏まえ、「装置=AI搭載プラットフォーム」へ進化しつつある潮流を読み解く。
検査装置:KLAが切り拓く「AIオンデバイス検査」
検査装置大手の米国 KLA は、最新の欠陥検査プラットフォーム「eSL Gen 4」を参考出展予定である。同機は NVIDIA Blackwell GPUを内蔵し、数十GB級のウエハ画像をリアルタイム推論で解析する。「物理モデル+生成AI」で欠陥タイプを即時判定し、歩留まりを最大2 pp向上することができるという。
GPUをユーザー先のデータセンターではなく、装置キャビネットに直に搭載する構成(AIオンデバイス検査)は、AIによる予測よりもデータ転送における遅延時間を数百分の一に縮めるうえ、機密データを外部に漏らさないという利点もある。
実装装置:アプライドが生成AI向けHBM接合をさらに進化
2025年5月、米国アプライド・マテリアルズは「低温ハイブリッドボンディング用プラズマ活性化装置」を正式発表し、175 ℃以下での接合を実現した。これは、生成AI向けHBM接合(半導体チップを高密度かつ、電気的に接続する技術)で要求される除去された後も物体内部に残る応力の低減に対応する。
NVIDIAが描くAIによるロボティクスやプロセス制御の自律化構想

2025年3月のNVIDIA主催の世界最大級のAIとアクセラレーテッドコンピューティングに関する技術カンファレンス「GTC 2025」で、NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは、2025年後半に登場予定の同社の次世代AIチップアーキテクチャである「Rubin」とともに「AIファクトリー」構想を発表した。これは、AIが、ロボティクスやプロセス制御まで自律的に最適化するという構想だ。
Rubinは、同じく同社のGPUアーキテクチャである「Blackwell」と比べて、AIによる予測や判断の効率を約2倍高め、製造ライン組込みを前提に電力効率が改善されている。
NVIDIAは、SEMICON West 2025では、「AI×装置」セッションを初開催し、そこでソフトウェア開発キットSDKや、装置ベンダーに提供したリファレンス設計を紹介する予定だ(事前公開プログラムより)。
装置そのものが情報処理プラットフォームへと生まれ変わる

今回のフェニックスでの開催が象徴するのは、半導体製造の地理的なシフトだけではない。今後は、装置そのものが情報処理プラットフォームへと生まれ変わり、AIを組み込んで自ら学習・適応することになる。そして、我々は2025年10月に、その変化を実際に目にすることができるのだ。
※この記事は以下のサイトを参考に執筆しました。
SEMICON West 2025 公式サイト(開催概要)
SEMI プレスリリース「Phoenix to Host SEMICON West 2025 for the First Time」(PR Newswire, 2025 06 28)
NVIDIA Blog「Semiconductor Industry Accelerates Design and Manufacturing with Blackwell GPUs」(2025 05 09)
AP News「Nvidia CEO Jensen Huang unveils new Rubin AI chips at GTC 2025」(2025 03 18)
KLA サイト「AI Drives Demand in Advanced Packaging」(2025 07 02))