半導体の微細化が進む中、EUV技術(極端紫外線リソグラフィ)は2nm以下のプロセスノードに対応するための重要技術として最新技術開発を突き進めている。
この技術を支える中心が、EUVレジストと呼ばれる感光材。この分野では、日本の材料メーカーが強く、その中でも特にJSR、信越化学工業、東京応化工業(TOK)が、世界をリードする存在となっている。
本稿では、これら3社それぞれの企業が、どのようにEUVレジスト市場で技術革新を進め、国際競争を続けているのかを紹介する。
EUVレジスト市場の動向と日本企業の戦略
1. 市場規模と成長予測
Verified Market Reports の「EUVレジスト市場規模、洞察、SWOT分析、2033年予測」によると、EUVリソグラフィ市場は2024年には約2,700億円に達しており、2029年までに約8,000億円に拡大すると予測しており、EUVレジストの需要も同時に増大するとみている。
(参考:https://www.verifiedmarketreports.com/product/euv-resist-market)
そのEUVレジスト世界市場は、QY Researchの「EUVフォトレジスト産業調査」によると 2030年までに約6.5億米ドルに達し、予測期間中の年平均成長率は23.6%になると予測されている。
(参考:https://www.qyresearch.co.jp/news/6943/krf–arf-and-euv-photoresist)
2. 有望なその未来
QY Researchの予測によると、このように市場は高い成長率で推移する。そして、世界のEUVフォトレジスト市場は今後数年間、急速な成長を維持するという。
特に中国市場では、半導体産業の勃興と国内代替プロセスの加速に伴い、EUVフォトレジスト市場の需要はさらに高まるとみている。
日本企業の市場シェアと戦略

さて、ここで冒頭にあげた日本企業3社の戦略を見ていこう。同じくQY Researchの「EUVフォトレジスト産業調査」によると、EUVフォトレジスト世界市場は、上位5社で市場の約95%を占めている。この5社とはJSR、信越化学工業、東京応化工業(TOK)、住友化学、そして富士フイルム。これらはすべて日本企業である。ここでは、上位3社の戦略を見ていく。
1. JSR:メタルオキサイドレジスト(MOR)へ注力
JSRは米Inpria社を買収し、MORの技術の商用化に注力している。このため、日本の研究開発拠点を増設したほか、韓国清州市にMOR生産工場を新たに立ち上げる計画を発表した(2026年立ち上げ予定)。
2. 信越化学工業:高精度化学薬品の供給強化
信越化学工業は、EUVレジストに不可欠な高精度薬品の供給体制を拡充しており、2024年年次報告書にてもR&D投資を強化する方針を明示している。
3. TOK:スマートファクトリーで製造組織を高度化
TOKは、福島県にEUVレジスト用の新たな製造棟を建設し、スマート化で高品質な感光材提供を目指している(2026年下期稼働予定)。
日本の材料技術が導く半導体の未来

EUVリソグラフィの進化は、半導体業界においては必要不可欠な存在となっている。そして、それを支えるEUVレジストは技術革新の根底を成す重要な部品なのだ。
日本の材料メーカーは、質の高さと製造技術で世界市場をリードしている。今後も研究開発と製造基盤の強化によって、半導体業界の未来を支え続けると期待される。
この記事は SEMICON.TODAY 編集部の坂土直隆が構成を担当しました。