CHIPS Actが米国半導体展示会に与えた影響とは 日本企業がとるべき進路を探る

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ドナルド・トランプ前政権下の2021年に成立した米国の半導体製造支援政策「CHIPS and Science Act(CHIPS法)」は、2025年の現段階では、半導体製造に対する具体的な資金援助へと本格的に移行している。こうした中、2024年7月の「SEMICON West 2024」、2025年5月の「IEEE ECTC 2025」といった米国の半導体業界の展示会は、米国における補助金政策と民間投資がどのように組み合わされているかを可視化する重要な機会となった。

CHIPS法に基づく支援を受けて建設が進む半導体製造拠点と、それに呼応する装置・材料・人材の整備といった「エコシステム形成の動き」が、製造現場から具体的に見えてきたのだ。そして、これらの動きによって日系企業は、米国市場に対するビジネス戦略の練り直しを迫られている。本稿では、米国の半導体展示会からCHIPS法の現況を読み解き、そして日本企業がとるべき進路を考察する。

ビジネス戦略と実需用の交差点:米国半導体展示会から見るCHIPS法の実態

CHIPS法(2022年制定)は、527億ドルの公的資金を通じて半導体の国内生産能力を高めるという、米国の産業再構築戦略である。2024年までにIntel、TSMC、Micronなどに補助金が交付され、各地で製造拠点の建設が進んでいる。

一方で、制度の継続性を疑問視する声が上がり、2025年3月にはトランプ大統領がCHIPS法の廃止と予算回収を公言した。このため、企業や投資家にとっては先行き不透明な環境下での判断が求められている。

こうした不確実性の中でも、展示会は現地の実務と政策が交錯する「観測点」として重要性を増している。以下、主要な2イベントを軸に、技術と投資の接点を読み解く。

1. 建設ラッシュの裏で漂う政策不透明感

CHIPS法(2022年制定)は、527億ドルの公的資金を通じて半導体の国内生産能力を高めるという、米国の産業再構築戦略である。2024年までにIntel、TSMC、Micronなどに補助金が交付され、各地で製造拠点の建設が進んでいる。

一方で、制度の継続性を疑問視する声が上がり、2025年3月にはトランプ大統領がCHIPS法の廃止と予算回収を公言した。このため、企業や投資家にとっては先行き不透明な環境下での判断が求められている。

こうした不確実性の中でも、展示会は現地の実務と政策が交錯する「観測点」として重要性を増している。以下、主要な2イベントを軸に、技術と投資の接点を読み解く。

2. SEMICON West 2024:米国展開を巡る“戦略の可視化”

2024年7月に開催された SEMICON West 2024(米カリフォルニア州)では、CHIPS法を背景に広がる米国内投資と、それに付随する装置・材料・人材の需給構造の変化が焦点となった。

Applied Materials や Lam Research、東京エレクトロンなど大手の製造装置メーカーが相次いで出展し、米州での研究開発拠点の整備方針やサプライヤーとの連携強化をアピール。SCREEN、JSR といった日本企業も、米国内での技術・人材融合への関心を強めている様子がうかがえた。

3. IEEE ECTC 2025:パッケージングに主戦場が移動する兆し

2025年5月の ECTC(Electronic Components and Technology Conference)では、パッケージング領域での技術革新と米国内での実装体制強化が大きなテーマとなった。HPCや生成AI向けに、多層構造の 3D/2.5D/3.5D 実装の高度化などの高密度実装技術が脚光を浴びている。

また、Photonics などが光電融合の量産適用に向けた具体事例の紹介、Koh Young Technology の高信頼性パッケージ生産を実現する AI による 3D 検査技術、imec や Brewer Science の再配線パッケージ(FOWLP)向けの先端材料などの発表が注目を集めた。

さらには、環境配慮・人材、連携エコ設計、次世代技術者育成プログラムの紹介が相次いだ。

これらの傾向は、米国が単なる製造回帰にとどまらず、「付加価値の高い工程まで域内回帰させる」戦略へ移行していることを示している。

日系企業に求められる共創モデル戦略の再構築!

このような展示会の現場から浮かび上がってきたのは、米国が単なる「工場の場所」ではなく、「政策・技術・人材が結節する競争空間」に進化しているという現実だ。

日系企業がこのような米国の動きを乗り切るには、補助金制度を単なる金銭的支援として捉えるのではなく、政策を読み解き、自治体・大学・現地企業との共創モデルを築く視点が不可欠である。調達・開発部門においても、域内製造志向が強まる中で、サプライヤー再編や現地生産比率の見直しが戦略課題として顕在化している。

2025年秋にはアリゾナ州で SEMICON West 2025 が開催され、そこでは CHIPS法の見直し議論や次フェーズの米国半導体戦略が注目されるであろう。日系企業には今後の動きを見据え、共創モデルの構築を念頭に置いた戦略の再構築を急ぐ必要がある。

この記事は SEMICON.TODAY 編集部の坂土直隆が構成を担当しました。

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