避けては通れない脱炭素×先端実装 次世代パッケージング技術の行方

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近年、半導体業界では脱炭素が緊急の課題となっている。製造工程で大量に消費されるエネルギーの多くが後工程、特に加熱や封止工程に集中しているため、低温プロセス・省エネ装置・環境配慮型材料などの導入が進んでいる。これらの技術は、CO₂排出量を削減しつつ、高い歩留まりと信頼性を維持するための鍵を握っている。

本記事では、「地球を守る実装技術」へとシフトしつつある、これら後工程の最新の技術動向とエネルギー削減効果や品質面での動向を紹介し、次世代パッケージ技術を検討する。

1. 低温接合技術は熱負荷削減で品質と省エネの両立へ

最近注目される低温プロセス技術の一つに、Toray EngineeringによるLaser Peel Transfer(LPT)がある。これは厚さ3µm以下の極薄チップをレーザー剥離により高速かつ高精度に転写でき、従来のニードル方式と比べて高い生産効率を達成するという技術。省エネ×高い歩留まりの両立を目指し、2025年度中に商用化が期待されている。

2. 省エネ加熱装置は新省エネ炉普及

これまでは、多くの封止プロセスやリフロー工程は高温・長時間処理が一般的だった。しかし、最近は加熱均一性を担保しつつヒーターの効率を大幅改善するという省エネ炉が普及しつつある。特に、赤外線短波加熱やパルス加熱技術は、設定温度を50~100℃下げつつ、50%以上のエネルギー削減を可能にする。この新技術については、富士通や京セラなど日本企業が産業向け装置に導入を加速中である。

3. 封止剤で進む環境配慮型樹脂の採用

封止剤(アンダーフィルなど)では、環境配慮型樹脂の採用が進んでいる。欧米や日本のメーカーでは、揮発性有機化合物(VOC)を90%以上カットした新材料が登場しており、窒素や水素ガスによる硬化技術との併用で低温化にも成功している。

NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が支援するプロジェクトでは、低温硬化型のフォトイメージャブル樹脂(LT-PID)が開発されており、再配線層(RDL)にも応用が進められている。

4. 高性能・脱炭素に不可欠なフリップチップ技術

フリップチップ技術は、高速・高密度実装に不可欠な手法で、その世界市場規模は2023年で約280億ドル、2030年には450億ドル超が予測されている。

これらの特徴に加え、最近では銅マイクロバンプ化が進み、銅の熱伝導性(400W/m·K)は従来ソルダ(55–60W/m·K)を大幅に上回っている。このため、ヒートマネジメントと信頼性の両面に貢献すると期待されている。

脱炭素性能は「必要不可欠な標準装備」に

このように、後工程で使われる加熱、封止、フリップチップ、実装プロセスを脱炭素化する動きは加速している。そして、低温プロセス、エネルギー効率の高い装置、環境配慮型材料の三位一体により、CO₂削減と高歩留まりの両立が可能になる。もはや「脱炭素性能」はこれまでの単なる付加価値から、必要不可欠な「標準装備」に移行している。パッケージング業界においては、絶対に避けては通れない道なのだ。

※この記事は以下を参考に執筆しています。

参考リンク一覧(出典:直近1年以内、信頼性機関・企業公式より)

(参考:Toray Engineering「超薄型半導体チップ向けパッケージング技術の開発」
(参考:Semiconductor Digest「The Flipping Future: Advancements in Flip Chip Packaging」
(参考:Wevolver「Flip Chip Technology」
(参考:ScienceDirect「Low temperature photo imageable dielectric」
(参考:McKinsey「Advanced chip packaging: How manufacturers can play to win」

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