JEP・JEITA・SEMIの2025年化学規制アップデート

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2025年、半導体業界に規制の波が訪れている。その波とはPFAS(有機フッ素化合物)をはじめとする化学物質規制である。EUや米国を中心に環境対応、輸出管理、製品トレーサビリティの強化が本格化し、さらには日本の半導体製造にも大きな影響を与えている。

このような中、JEP(日本電子回路工業会)、JEITA(電子情報技術産業協会)、SEMI(日本半導体製造装置協会)といった日本の半導体業界団体は、2024年後半から相次いで規制への備えとガイダンスを発表している。

本稿では、半導体業界の化学物質規制対応のポイントと、業界団体の対応策を解説する。

PFAS規制の最新状況と業界団体の対応指針

1. PFAS規制の現状

PFASとは、耐熱性や撥水性に優れる有機フッ素化合物群で、半導体製造におけるフォトレジスト、エッチングガス、配線材、Oリング・シール材などに広く使われている。しかしその残留性の高さや生体蓄積性の高さ(生物の体内への蓄積しやすさ)から、EUではREACH規制(化学物質の登録、評価、認可、制限に関する規則)による使用制限が2025年以降本格化し、米国でも規制強化の動きが進んでいる。

一方、日本ではSEMIが2023年に、PFASに関する基礎解説資料(日本語版)を公開し、企業向けの教育活動を強化している。

また、欧州では「GENESISプロジェクト」により、代替材料や持続可能な製造プロセスの開発が進められている。

さらに、TechInsightsやThe Guardianといった専門調査・報道機関も、半導体用途における代替開発の進展と政治的圧力の高まりを報じている。

2.半導体製造におけるPFAS使用剤と代替候補

以下に半導体製造におけるPFAS使用剤とその代替候補を記す。
• フォトレジスト → 非フッ素系樹脂
• ドライエッチングガス → COF系等代替あり
• 配線絶縁膜 → ポリイミドなど一部代替候補あり
• シール材 → PTFE代替素材の開発進行中

3. JEP、SEMI、JEITAの対応

安全保障上の観点から、米国が先端半導体や製造装置の対中輸出規制を強化しているが、日本も2023年の輸出貿易管理令改正を皮切りに、先端製造装置の管理対象拡大を進めている。

JEPは2024年度から、装置メーカー向けに「輸出管理 書類チェックリスト」の整備を開始している。またJEITAも、電子部品や製造装置の輸出に関するリスクアセスメントガイド(対策を講じるための手順や方法をまとめたガイド)を策定中である。

また、欧州での「企業サステナビリティ報告指令(CSRD)」施行により、サプライチェーン全体のGHG排出量(Scope 3)の開示が必須となる。これに対応して、JEITAは電子部品のカーボンフットプリント(CFP)データベースを構築。2024年にはLCA算定用の標準ガイドラインも改定した。

またSEMIは「ESG Reporting Standards」などを通じて、各社が共通仕様で情報を管理・開示する基盤整備を進めており、欧州のグリーンディール(気候変動対策と経済成長を両立させるための戦略)や欧州半導体法対応とも連携している。

業界団体のガイドラインやツールを活用し、変化を乗り切ろう

2025年に施行される制度変化は、技術や品質と同じく企業の競争力を左右する要素になりつつある。PFAS代替の遅れは調達や生産の停滞を招きかねず、輸出管理違反はサプライ停止リスク、GHG排出の不開示は海外顧客との取引機会を失う可能性がある。

こうした複雑な法規制に対応するには、法務・品質保証・SCM・製造・経営企画が横断的に連携し、業界団体が示すガイドラインやツールを積極的に活用する必要がある。JEP・JEITA・SEMIといった団体の資料を規制対応マニュアルとして社内に浸透させることがが、この制度変化を生き残るための第一歩ではないだろうか。

参考リンク一覧
(参考:SEMI:「PFAS基礎情報(PFAS Explainer)」日本語版公開
(参考:SEMI:「GENESISプロジェクト」発表
(参考:JEITA:「電子部品の環境負荷データ(LCI/CFP)公開」)
(参考:JEITA:「電子部品LCAガイドライン(2022)」PDF
(参考:TechInsights:「PFAS in Semiconductor Manufacturing」
(参考:The Guardian:「Industry acts to head off regulation on PFAS」
(参考:The Guardian:「US EPA fast-tracking PFAS approvals」
(参考:ScienceDirect:「PFAS除去に関するナノフィルトレーション研究」
(参考:EMSNOW:SEMI PFAS Consortium 技術研究の概要

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